「EZwebは?」「沖縄セルラーは?」「Windows 10 Mobileスマホは?」――KDDI株主総会で出た質問と回答をまとめてみた(3/3 ページ)

» 2016年06月22日 21時30分 公開
[井上翔ITmedia]
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書面での事前質問(3問)

 株主から書面で事前に寄せられた質問は大きく3問寄せられ、両角副社長が一括して応答した。

―― フリーキャッシュフローの使途として、自然災害に対しての投資にはどう対処するのか。

回答(両角氏) 当社では東日本大震災の経験を踏まえ、自然災害、特に地震に対して「ネットワークの信頼性向上」「早期復旧に向けた対策」「事業・業務の継続性確保」3つの観点で対策に取り組んでいる。

 ネットワークの信頼性向上の事例としては、首都圏直下型地震や南海トラフ地震に耐えうる、全国通信網の多ルート化を実施した。今後も新たなルートの構築を行い、さらなるネットワークの堅牢(けんろう)化を図っていく計画だ。

 早期復旧に向けた取り組みとして、電源や回線の絶断により周辺の基地局の多くが停止した場合に起動し、半径約7km以上のエリアをカバーする、災害用大ゾーン基地局を配備した。また東日本大震災以降、基地局バッテリーの24時間化やトライブリッド基地局の配備、衛星を利用した車載型基地局の増設などに積極的に取り組み、今後も継続する計画だ。船舶搭載型基地局については、当社独自の取り組みとして2012年から海上保安庁の協力の下、実用化に向けた実証実験を重ねている。

 一方、(非常時の)事業・業務継続の取り組みとして、全国のauショップや家電量販店などに配備したモバイルタブレット端末からセキュアなリモートアクセスが可能なネットワーク環境を構築し、被災エリア内での業務継続はもちろん、被災地の臨時店舗においてもタブレット端末を使ったお客様応対を実現した。

 東日本大震災以降、これらの投資を継続して実施しており、今後も継続する。

ネットワークの多ルート化 災害対策としてネットワークの多ルート化を実施
大ゾーン基地局移動基地局やトライブリッド基地局 災害時に通信を確保するための取り組みも実施
お客様応対用モバイルタブレット端末で業務継続可能な体制を整える お客様応対用モバイルタブレット端末を使った業務継続体制を確立

―― KDDIは企業の革新に対してどんな信念(コンセプト)を持っているか

回答(両角氏) 昨年度(2015年度)までは「3M戦略」を推進し、主に国内通信事業において確固たる成長企業を目指してきた。直近はスマートフォンの普及に加えて端末や料金の同質化が進む中、お客様に選んでいただける企業への変革の必要性を強く認識している。従って、今後3年間の事業運営方針として「お客様体験価値」を追求していくつもりだ。

 国内では「通信企業」から「ライフデザイン企業」への変革を目指す。お客様のライフステージに合わせて、コマース(商業)、金融、電気などさまざまなサービスを提案し、「お客様体験価値」を提供する基盤を強化する。非通信領域の利用拡大を通じ(顧客)満足度の向上と解約率低減を目指す。お客様との接点としてのオンラインの「auスマートパス」とオフラインの「auショップ」も強化し、オムニチャネル化を推進する。

 ビジネスの革新に向けて、他企業との協業や提携を相手先に合わせた枠組みで積極的に進めている。(例えば)シードステージでの支援は「KDDI ∞ Labo」で行い、技術開発は「KDDI研究所」での共同研究を推進する。一方、サービスは既に完成し、事業拡大資金が必要という場合は「KDDI Open Innovation Fund」を通じた資本・業務提携を行っている。KDDIと一体となってサービスを提供する場合も、KDDI本体による資本・業務提携により(会計の)連結化も視野に入れて取り組む。

国内事業について 「ライフデザイン企業」への変革を目指す施策を実施(参考記事
協業について ビジネス上の協業・提携についても、さまざまな枠組みを使って推進

―― (コーポレート)ガバナンスコード(企業統治の指針)ができた。企業統治に抜かりはないか。

回答(両角氏) KDDIにとってコーポレートガバナンスは持続的な成長と中長期的な企業価値向上のための重要な課題であると認識している。ガバナンスコードの順守と、役員・従業員が共有すべき考え方・価値観・行動規範としての「KDDIフィロソフィー」「KDDI行動指針」の実践を会社経営上の両輪として積極的に取り組み、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現していく。

 KDDIのガバナンスコードの各原則に対する対応状況は、「コーポレートガバナンス報告書」(PDF)に記載・公表した通りだ。「原則4-11」を除く全ての原則を実施(Comply)している。なお、原則4-11については今回の株主総会の4号議案の承認をもって実施する予定だ。

 (コーポレートガバナンスの)実行面でも、適正かつ効率的な業務執行と適切な監査・監督機能の観点から、独立社外取締役を複数選任するとともに、過半数の社外監査役を含む監査役会と連携する体制を既に採用している。取締役・監査役候補の指名や役員報酬について透明性・公正性を確保するため、取締役会の諮問にもとづき審議・助言する機関として「指名諮問委員会」と「報酬諮問委員会」も設置している。

ガバナンスコードの順守と「KDDIフィロソフィー」「KDDI行動指針」の実践を会社経営上の両輪とする ガバナンスコードの順守と「KDDIフィロソフィー」「KDDI行動指針」の実践を会社経営上の両輪とする
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