フリーテルが他社SIMフリースマホの取り扱いをついに始めた。しかも、1年間利用すれば、新しいスマホに取り替えても、残債を支払わなくてもいい「とりかえ〜る」にも対応している。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年4月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
一見するととてもお得そうに見えるが、当然のことながら注意すべき点も多い。このあたりは、普段、一緒にニコ生をやってくれている中山智氏が詳しく解説した記事がEngadget日本版にアップされているので、そちらを参考にしてもらいたい。
自分でも計算してみたが、たとえば、arrows M03を購入した場合、1年間で端末代金として2万4624円支払うことになる。ここで新しい端末に取り替えることはできるが、当然、arrows M03は回収となる。
ユーザーとしては、1年ごとに新機種に取り替え続けていくことが、最もお得な使い方ということになる。
「毎年、新製品のSIMフリースマホを使い続けたい」という人には最適なプランだろう。
しかし、フリーテルが、将来にわたって毎年、各メーカーの最新モデルを扱い続けるという保証はない。
さらに気をつけなくてはいけないのが、このプランを一度契約すると、解約して他社に乗り換えようと思っても、タイミングを合わせないと多額の残債を精算しなくてはいけなくなるということだ。
フリーテルではarrows M03の端末価格として、総額7万3872円(税込み)を設定。もし、1年が終わったときにフリーテルを解約するとなると残債として、5万円弱の支払いが求められてしまうのだ。
フリーテル端末の場合、購入から半年経過すれば新機種へのとりかえ〜るが可能であったが、他社端末は「購入後1年間を過ぎてから」と長期間化している。このあたりが若干、お得感に欠けている部分と言える。
今回、このサービスが始まるにあたり、フリーテルのとりかえ〜るの説明ページを見てみたが、説明不足でとにかくわかりにくいという印象であった。
このプランは、割引キャンペーンが適用されたり、2年目以降は支払額が異なっていたり、複雑な設計がされている。しかも、辞めるのには、多額の精算が必要となることがあるだけに、もうちょっとわかりやすい説明をすべきではないか。
また、残念なのが、フリーテルは発表会において、増田薫社長が「私は縛るのが大嫌い」といっていたにもかかわらず、キャリアに肩を並べるほどの「縛りプラン」になっているということだ。
これまで格安スマホのなかには「キャリアとは違う」という姿勢をアピールしたくて、「縛らない」ことを売りにしてきたところも多い。しかし、ユーザーを獲得したものの、あっさりと他社にMNPしていく顧客の多さに辟易し、最近では、端末の割賦と組み合わせて、ユーザーをなんとか縛ろうというMVNOが後を絶たない。
結果として、そこにユーザーが気軽に選べるという「自由度」がなくなりつつあるように思う。
MVNO市場は、競争が激しく、どこかが値下げしたら、すぐにMNPできるという柔軟性の高さが魅力であったはずだ。どの会社でも端末と組み合わせて、ユーザーを縛るようでは、キャリアとやっていることは変わらない。
「縛ることが嫌い」といっていたフリーテルが、ちっともフリーではなくなってしまったのが残念でならないのだ。
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