これまでとは違う“ノンPC”の世界を作る――UQが見据えるWiMAXの未来(1/2 ページ)

» 2010年06月07日 20時47分 公開
[田中聡,ITmedia]

 7月1日でUQ WiMAXの商用サービス開始1周年を迎えるUQコミュニケーションズ。同社は6月7日に開催した記者発表会で、2010年度の事業プランと今後の戦略を説明した。

photo 左からUQコミュニケーションズ 代表取締役社長 田中孝司氏、インテル代表取締役社長の吉田和正氏、マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏、UQコミュニケーションズ 顧問の野坂章雄氏

ストレスのない高速通信がUQの生命線

 6月14日に同社顧問から代表取締役社長に就任予定の野坂章雄氏は「UQの価値を世間に伝え、少し停滞感のある日本の市場になんとか風穴を空けたい」と意気込みを話した。同氏が「UQの生命線だ」と強調するのが「ストレスのない高速通信」。「PCを起動したらすぐにつながる快適さは、体感しないと分からない。日経BPの顧客満足度調査では、速度と料金でUQが1位という結果も出ている」と同氏は胸を張る。サービスを認知してもらうためには売り場の環境も重要になるため、「家電量販店の売り場も拡大し、UQの価値を伝えて売り込んでいく」(野坂氏)。

photophotophoto UQコミュニケーションズのこれまでの歩み(写真=左)。UQコミュニケーションズ 顧問の野坂章雄氏は、6月14日に同社社長に就任する予定。かつてはKDDIアメリカ上級副社長やKDDI中国総代表を務めた(写真=中、右)
photophoto UQは「便利」「安心(料金)」「快適」の3点から価値を提供する(写真=左)。ヤマダ電機、ビックカメラ、ヨドバシカメラなど、主要量販店での売り場も拡大している(写真=右)

 UQ WiMAXの加入数は、2010年5月現在で19万2600だが、2010年度末には80万に増やすことを目指す。そのカギを握るのが「エリア」で、「顧客満足度調査で唯一悪かったのがエリアなので、最大の課題として取り組んでいる」と野坂氏も意気込む。UQは2009年度までに7013局の基地局を開設したが、2010年度には8000局を増やし、計1万5000局とする見通しだ。特に首都圏の通勤路線のエリアを重点的に整備する。

photophotophoto UQの加入者数は2011年3月で80万、基地局は8000局の増加を目指す(写真=左、中)。首都圏のエリアを重点的に拡充する(写真=右)

 WiMAXの実効速度改善にも積極的に取り組んでおり、現在の下り最大20Mbpsから、2010年8月には30Mbps、12月には40Mbpsへと高速化する計画だ。「LTEの通信速度は下り最大37.5Mbpsなので、UQがシステム最速となる」と野坂氏も胸を張る。さらに、2012年の商用化を予定しているWiMAXの次世代規格「IEEE802.16m」では、下り最大330Mbps、上り最大112Mbpsの速度を実現する見通しだ。

photophoto 2010年12月には下り最大40Mbps、上り最大15Mbpsの実効速度を実現する予定(写真=左)。2012年の商用化を目指し、IEEE802.16mも導入する(写真=右)

WiMAX対応ルータ「WiMAX Speed Wi-Fi」を拡充する

photo 「WiMAX Speed Wi-Fi」のラインアップ

 WiMAXを利用できる製品には、データ通信端末やWiMAX内蔵PC、無線LAN(Wi-Fi)機能を内蔵しているWiMAX対応ルータが含まれる。WiMAXルータがUQ製品に占める割合は現在10%ほどだが、UQは新ブランド「WiMAX Speed Wi-Fi」を立ち上げるとともに新製品も追加し、ラインアップを拡充する。今回はモバイルタイプでは、シンセイコーポレーション製の「URoad-7000」とソフトアンドハード製の「Egg iWWR-1000J」、据え置きタイプではNECアクセステクニカ製の「AtermWM3400RN」とアイ・オー・データ機器製の「WMX-GW02A-BK」を新たに発売する。

 URoad-7000のボディサイズは約104(幅)×14.8(高さ)×62(厚さ)ミリ、重さは約117グラム。バッテリー使用時間は約3.5時間、同時接続台数は最大5台。ボディカラーは3色を用意。発売は6月の予定。

 Egg iWWR-1000Jのボディサイズは約110(幅)×28.3(高さ)×61.8(厚さ)ミリ、重さは約130グラム。バッテリー使用時間は約5時間、同時接続台数は最大7台。ボディカラーは5色を用意。7月9日に全国のヤマダ電機主要店舗などで発売する予定。価格は1万9800円。

 AtermWM3400RNのボディサイズは約67(幅)×94(高さ)×35(厚さ)ミリ、重さは約140グラム。同時接続台数は最大10台。発売は7月下旬の予定。

photophotophoto WiMAX対応PCは、9メーカーから37機種が発売されている(写真=左)。発売中のモデルも含め、WiMAXルータはWiMAX Speed Wi-Fi製品として展開する(写真=中)。他社のモバイルWi-Fi機器とUQのWiMAXルータの比較(写真=右)
photophoto シンセイコーポレーションの「URoad-7000」
photophoto ソフトアンドハード製の「Egg iWWR-1000J」。手の中に収まるサイズを実現している
photophoto 裏面に電源がある(写真=左)。側面にWiMAXとWi-Fi、電源のランプが点灯する(写真=右)
photo 新たにブラックを追加した、アイ・オー・データ機器製の「WMX-GW02A-BK」

 イー・モバイルの「Pocket WiFi」をはじめ、他キャリアもモバイルルータを発売しているが、野坂氏は「WiMAXの通信速度は最大40Mbps。3G回線を使う他社のルータは下り最大7.2Mbpsなので圧倒的に違う。我々はスピードをウリにしていきたい」とWiMAXの優位性を強調した。

 NECアクセステクニカ 代表取締役執行役員社長の中村隆介氏は、同社の新製品AtermWM3400RNについて、「ボタンを押すだけで簡単に無線設定ができ、自動更新にも対応するなど、簡単機能を充実させた」とアピール。UQではWiMAX機器追加オプションとして、2台目以降のWiMAX対応機器は月額200円で利用できることにも触れ、「回線工事をせずに簡単にブロードバンド環境を構築できるのも魅力だ」と利便性の高さを強調した。

photophoto NECアクセステクニカ 代表取締役執行役員社長 中村隆介氏(写真=左)。NECアクセステクニカのWiMAX対応ルータ「AtermWM3300R」(写真=右)

デジカメやゲーム機にもWiMAXを搭載したい

photo UQコミュニケーションズ 代表取締役社長 田中孝司氏

 野坂氏は、UQが目指す今後の成長戦略に「携帯電話モデルとの差別化」「オープンモデルの加速」「グローバル展開」を挙げた。

 「固定サービス並みの高速通信を持ち出せるようにしたのがWiMAX。ケータイとは違い、もともと音声サービスを提供していなかったことを生かして差別化したい」と説明。また、現在UQ WiMAXを利用できるデバイスはPCが多くを占めているが、今後はデジタルカメラや携帯ゲーム機など、PC以外のデバイスにもWiMAXモジュールを搭載していく構えだ。「音声サービスも、アプリケーションの1つとして展開することを考えていきたい」(野坂氏)

 同社代表取締役社長から6月14日に取締役会長に就任予定の田中孝司氏は、「WiMAXはネットワークの遅れが少ないことが3Gケータイとの大きな違い。WiMAXでSkypeをすれば(3G回線よりも)映像の乱れが少ないといった特長が、新たなアプリケーションを生むきっかけになる。これまでとは違ったノンPCの時代が作れる」と期待を込めた。

 海外展開についても、国際ローミングなどを積極的に進めていく考え。米国のClearwire Communications(35都市)やロシアのYota(6都市)をはじめ、WiMAXは世界148カ国でサービスを展開されている。今後は韓国や台湾など、アジアでもサービスが始まることを受け、ローミングエリアを拡大していく。

photophotophoto UQはデータ通信に特化したサービスを展開してケータイとの差別化を図る(写真=左)。オープンプラットフォームを活用し、PC以外の端末にもWiMAXを搭載していく(写真=中)。国際ローミングも積極的に展開する(写真=右)
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