対応フォーマットは、当初は雑誌やマルチメディアコンテンツの視聴などを想定した次世代XMDFを中心に展開する。ただ、業界で一般的に使われているHTMLやPDF、ePUBなどのデファクトフォーマットには対応していく。次世代XMDFは、日本語特有の縦書きやルビなどに対応するなど、日本の出版社の意見や協力を得ながら、日本の書籍文化に配慮した形で進化してきたフォーマットの最新バージョンということもあり、GALAPAGOSの電子書籍サービスに最適なフォーマットという位置付けだ。しかし、それ以外のフォーマットを排除することはなく、他のフォーマットでも利用できるようにする。
端末は、前述のとおり主に家庭で利用することを想定した10.8インチ液晶搭載モデルのホームタイプと、外に持ち歩いて電車の中などでも利用することを考慮した5.5インチ液晶搭載モデルのモバイルタイプを用意。どちらもタッチパネルを利用して操作するタイプのスレート型端末で、5.5インチモデルには、片手で操作しやすいようにトラックボールを備える。ホームタイプは1色、モバイルタイプは2色で展開予定だ。
どちらもAndroidベースの専用端末となっており、電子書籍サービス向けのアプリのほか、WebブラウザやSNS対応アプリ、ゲームアプリなども提供する。ただしAndroidマーケットからAndroidアプリをインストールしたりはできない。Androidのバージョンも非公開となっている。
端末の販売方法などは、発売が近づいた段階で改めて発表するとしている。価格は既存の同じような機能を持った端末と同じくらいになるとした。ただ、端末はスタンドアローンで売ったらおしまい、というモデルではなく、サービスとセットで販売することになるので、何らかの契約を結ぶことになる可能性はある。新しいビジネスモデルについて量販店などとも話し合っているという。
またGALAPAGOSの専用端末だけでなく、シャープのスマートフォンなどに向けたサービスも提供予定だ。現在開発していることを明らかにしている3D液晶を搭載したスマートフォン向けに、3D対応コンテンツの提供も行う。GALAPAGOSを利用し、液晶TV AQUOSへ情報を配信することも検討中だ。Android向けやiPhone・iPad向けのアプリケーション提供の可能性も、具体的な計画があるわけではないとのことだったが、否定はしなかった。
今後は電子ブックにとどまらず、映像や音楽、ゲーム、Eコマース、広告、教育、ヘルスケアといった分野へもGALAPAGOSの領域を広げていくGALAPAGOS。具体的には2011年春頃に映像、映画、ゲーム、音楽などの配信サービスの開始を検討しており、電子教科書などへの発展も考えている。コンテンツ料金は日常的にユーザーが買っているような価格にしたい考え。飛び抜けて高くもない代わりに、劇的に安くして価格破壊を起こすわけでもないようだ。
海外展開も視野に入れており、欧米を中心に通信事業者などと話をしている段階だという。
国内販売の目標は「100万台」を掲げる。2011年の早い段階でこの台数を実現したい考えだ。「とにかくユーザーの数を増やすのが重要」と執行役員 情報通信事業統轄の大畠昌巳氏が話すとおり、プラットフォームの拡大を積極的に行う。
シャープがストアサービスと一体の端末を展開し、独自のコンテンツ流通プラットフォームを作り上げる。端末やサービスはニーズに応じて適宜バージョンアップし、進化する――。こうしたビジネスモデルは、すでにAppleのiTunesのような成功モデルもあり、サービスに対応する端末が広く普及すれば、その上でさまざまな新しいビジネスを展開できる可能性が広がる。
「シャープはケータイやZAURUSなど、いろいろな端末を作り、日本のユーザーの厳しい目の中で使いやすさを追求してきた。世界のデファクトをベースに、シャープの中で培ってきた使いやすいUIやきめ細かな使い心地のよさを生かして、サービスが進化するGALAPAGOSにしていきたい」(岡田氏)
変化に敏感に対応し、ユーザーのニーズに応えて満足度の高い製品の展開を目指すシャープ。家電メーカーの中では売上高もシェアも決して高くない同社だが、従来の売り切り型の商品から、進化するGALAPAGOS型商品への転換を図り、勝負をかける。
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