米ネバダの砂漠でGALAXY S IIの打ち上げを見てきたSpace Balloon プロジェクト(1/3 ページ)

» 2011年09月09日 20時09分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 7月15日から17日にかけて実施されたSamsung電子の「Space Balloon プロジェクト」は、「GALAXY S II SC-02C」を気球に取り付け高度3万メートルまで上昇させ、Twitterやmixiなどから受信した投稿メッセージを画面に表示、それをカメラを通して地上に中継しながらUstreamでライブ中継するという前代未聞の壮大なプロジェクトだ。画面で表示された投稿メッセージのアーカイブサイトは8月12日に公開され、さらにはGALAXY S IIを宇宙へ運んだ宇宙飛行士をモチーフにした充電スタンドの抽選プレゼントも8月19日から開始されている。砂漠の中で行われた中継や配信の様子をリポートしよう。

携帯も通じない? 遠い遠いブラックロック砂漠

 Space Balloon プロジェクトが実施されたのは米ネバダ州にあるブラックロック砂漠。ネバダといえばラスベガスが有名だが、ブラックロック砂漠はネバダ第2の都市、リノから車でアクセスすることになる。リノは「リトル・ラスベガス」という印象の都市で、砂漠の中にカジノホテルを中心とした繁華街が広がる中規模な街だ。ロサンジェルスから飛行機で約1時間20分と、それほど遠い場所ではない。もちろんホテルにはネット回線もあり、街中には携帯事業者の店舗もある。カジノ街なのでマクドナルドも24時間やっているなど、小さいながらも十分ここは「都会」だ。

photophoto ロスから1時間20分でリノ到着。ラスベガスをかなり小さくした雰囲気だ

 リノで1泊した翌日、次の目的地であるガーラックという町へ向かった。リノ市街を抜ければあとは岩山と草原のみという代わり映えしない景色の中を車でひたすら走り続けることになる。途中には信号もほとんどなく、2時間ちょっとでガーラックに到着した。プロジェクトが行われる砂漠の中には宿泊施設も食事を取る場所もないため、最も近い町であるこのガーラックを拠点とするわけだ。ブラックロック砂漠までは往復1時間の距離でそれほど遠くもない。

 それにしてもガーラックの町はとても小さい。車で到着したのは平屋のレストラン兼バーの前で、これがなんと町に唯一ある飲食店なのだ。そしてモーテルはその裏にあるペンション風の平屋の建物のみ。固定電話はあるもののインターネットは衛星回線を使ったものしかないそうだ。また訪問前に調べたところ、大手携帯電話事業者のカバーエリア外であり携帯電話は使えない。ロスからわずか数時間の町がこんな状況とは、アメリカ大陸とは本当に広いのだと実感してしまう。

photophoto ひたすら荒野の中を走り続ける。到着したガーラックの町、唯一のレストランがこちら
photophoto 泊まったモーテル。宿泊施設も少ない。そばには観光施設のようなものもあったが、昼間は人通りが少ない
photo ガーラックでつかんだ地元事業者。大手事業者のカバーしていないエリアでサービス展開している

 だがガーラックの町では住民の方はもちろん、プロジェクトのスタッフも皆携帯電話を使っているではないか。手持ちの携帯電話でネットワーク検索をしてみたところ、「USA-Commnet」という見慣れない事業者の名前が見つかった。アメリカには大手事業者以外に地域事業者がいくつかあるが、さらに各地の小さな都市や町をカバーする小規模なローカル事業者がいくつもあるそうだ。このCommnetもその1つのようで、大手事業者と国内ローミング契約を結ぶことで、このような地域でも携帯電話が使えるのである。ただし国際ローミングには対応していないので、日本から持ち込んだ携帯電話は使えなかった。

 7月14日の午前9時にリノのホテルを出発、ガーラックに到着したのは11時過ぎだった。モーテルにチェックインした後は唯一のレストランで昼食を取り、軽く休んでからさっそくブラックロック砂漠へと向かうことにした。Space Balloon プロジェクトの本番は現地時間で翌日の早朝。この日の午後に最後のリハーサルが行われた。

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