2012年冬〜2013年春にかけて、5インチ・フルHD(1080×1920ピクセル)表示のディスプレイを搭載したスマートフォンが増えてきた。5インチフルHDスマホのピクセル密度は約440ppiにも及び、“Retina Display”を備える「iPhone 5」(640×1136ピクセル)の326ppiを上回る。日本で初めて登場した5インチフルHDスマホは、auの2012年冬モデル「HTC J butterfly HTL21」(HTC製)だ。NTTドコモから2013年春モデルとして発売された「ELUGA X P-02E」(パナソニック モバイルコミュニケーションズ製)、「Xperia Z SO-02E」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)、「ARROWS X F-02E」(富士通製)と、4月に発売予定の「Optimus G pro L-04E」(LGエレクトロニクス製)も、5インチフルHDディスプレイを備える。
これら5機種はディスプレイに留まらず、バッテリーやプロセッサー、カメラなどハードウェア全般の性能が高く、この冬から春にかけて、機能やスペックを重視する人には要注目の製品と言える。そこで、これら5機種の主なスペックや、気になる機能を比較していきたい。今回は外観と基本スペックについてリポートしよう。
まずはサイズと持ちやすさを見ていこう。スマートフォンで5インチものディスプレイを備えると、必然的に端末のサイズも大柄になってしまう。最新のiPhone 5でさえディスプレイサイズは4インチだ。サイズの中でも特に気になるのが「幅」だろう。幅が大きい、つまり太いと片手で持ちにくくなり、両手を使っての操作を余儀なくされる。片手で操作しにくいと、特に外出先で使いにくくなる。
5機種の中で最も幅が小さいのは、68ミリのELUGA Xだ。Xperia ZとHTC J butterfly(71ミリ)よりは3ミリ、Optimus G pro(70ミリ)よりは2ミリ小さい。これは大きな差だろう。ELUGA Xには、幅がわずか約3ミリというメタルフレームをディスプレイのガラス面に覆い被せることで、極限まで狭額縁化を実現している。実際に手にしてみても、5インチながら、片手でしっかりとホールドできる。次いで幅69ミリのARROWS Xも、この中では細い部類に入る。
厚さはフラットなボディを持つXperia Zの7.9ミリがこの中では最薄だが、実際に手にすると、HTC J butterflyの方がスリムに感じる。HTC J butterflyの厚さはスペック上では9.2ミリだが、これはあくまで最厚部。HTC J butterflyの背面はラウンド形状になっており、側面はさらに薄い。この側面の最薄部は5〜6ミリほどなので、スペック以上に薄く感じる。幅が広いのはやや気になるが、HTC J butterflyのフィット感は非常に良い。また、140グラムは5機種の中では最軽量だ。一方、Xperia Zは角は削がれているのでフィット感はまずまずだが、側面の丸みがいまひとつで、加えて(背面のガラスを保護するために設けた)側面の淵(ふち)が手に当たるのが、少し気になった。ARROWS XとOptimus G proのボディは、適度に丸みを帯びていて持ちやすい。
筆者の主観的な感想も含まれるが、片手での持ちやすさならELUGA X、薄さと軽さならHTC J butterfly、丸くて持ちやすいボディならARROWS X、Optimus G proといったところだ。
ARROWS X F-02E | Optimus G pro L-04E | ELUGA X P-02E | Xperia Z SO-02E | HTC J butterfly HTL21 | |
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幅 | 約69ミリ | 約70ミリ | 約68ミリ | 約71ミリ | 約71ミリ |
高さ | 約140ミリ | 約139ミリ | 約139ミリ | 約139ミリ | 約143ミリ |
厚さ | 約10.3(最厚部約10.7)ミリ | 約10(最厚部約10.1)ミリ | 約9.9(最厚部約10.2)ミリ | 約7.9ミリ | 約9.2ミリ |
重さ | 約157グラム | 約160グラム | 約152グラム | 約146グラム | 約140グラム |
外観の大きな違いの1つが、ディスプレイ面に物理キーを搭載しているか否か。ELUGA Xはこの中では唯一、戻る/ホーム/メニューの3つとも、物理キーとして搭載している。またOptimus G proは、ホームボタンのみ物理キーで、ほかの2つはセンサーキーだ。ホームボタンが物理キーであることのメリットは、ホームボタンを押せばスリープから復帰できること。デザイン性を考えると、物理キーによって凹凸ができてしまうのでマイナスかもしれないが、利便性を考えると物理キーの方が望ましいだろう。
Xperia Z、HTC J butterflyはディスプレイ面に物理キーを搭載していないので、スリープから復帰するには電源キーを押す必要がある。ARROWS Xも物理キーを搭載しないが、背面のスイッチ式指紋センサーを押せば復帰するので問題ない。Xperia Zは右側面に大きな電源キーを備えているので、片手でも押しやすい。最も不便に感じたのがHTC J butterfly。電源キーは上端部にあるが、小さいので片手では押しにくい。せめて側面に電源キーを置いてほしかった。
また、ARROWS XとXperia Zは、画面下部の「ナビゲーションバー」に3つのキー(オンスクリーンキー)を備えているので、これらキーがある分、表示領域が狭くなってしまう。アプリケーションによっては全画面表示も可能だが、たいていのアプリでは、オンスクリーンキーが表示されたままなので、せっかくの5インチがフルに生かされず、もったいないと思う。物理キーを搭載したくないのなら、HTC J butterflyのようにオンスクリーンキーではなくセンサーキーを別途搭載してほしいと思う。
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