ドコモ、KDDI、ソフトバンクの決算会見を振り返る――今後の高速通信サービスは?石野純也のMobile Eye(7月22日〜8月2日)(3/3 ページ)

» 2013年08月03日 11時30分 公開
[石野純也,ITmedia]
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Sprintの戦略を発表したソフトバンク、UQへの電波割当には不満爆発

 このUQコミュニケーションズへの割当に対して、決算説明会で不満を爆発させたのがソフトバンクの代表取締役社長兼CEOの孫正義氏だ。ソフトバンク傘下のWireless City Planningも同時に割当希望を出しており、落選した格好になった。これに対して孫氏は「行政訴訟の最終決断は行っていないが、それをせねばいけないと思うぐらい、納得がいっていないということ」と前置きし、次のように語っている。

photo 決算説明会でも怒りを爆発させた孫正義社長

 「申し入れの内容は、(割当を)延期してください、直接的な再審議をしてほしいというもの。現在、(2.5GHz帯で)我々は30MHz、UQコミュニケーションズも30MHzの電波の許認可を持っている。我々は30MHzだが、そのうち10MHz分はすぐに使えない。これは許認可があってもすぐに使えないものだ。(中略)2.5GHz帯は30対30でイコールフッティングのようだが、実質は使えない。新たに許認可するときは、100歩譲っても10ずつ割り振りがある(のが適当ではないか)。

 この国には(電波)オークションという制度がないが、こういう状況になるならオークションの方がマシ。(中略)今日現在のルールにおいては、総務省の方々が許認可を与えるが、まさかこれが結果的に50対20、将来的に見えても50対30になるとは思わなかった。(中略)正式な認可の付与というプロセスはあるが、正式な付与までの間に、せめて公開ヒアリングをしてほしい。(中略)場合によっては、法的措置はやむをえない」

 電波監理審議会から適当の答申は受けたのはUQコミュニケーションズだったが、割当までにはもう一波乱ありそうだ。孫氏は「ソフトバンクのサービスを得たいと思って入ったユーザーに、窮屈な電波でサービスを行わなければいけない。黙ってやり過ごすのはユーザーに対して申し訳ない」と力説していたが、サービスインを待ち望んでいるユーザーは、UQコミュニケーションズやKDDIにもいる。電波は国民の財産であり公平性も重要だが、一度答申を出した以上、総務省にはスムーズに割当を行ってもらいたい。

 また、孫氏は同じ会見で、ソフトバンクがVodafoneを買収したときに出したコミットメント(約束)を引き合いに出しつつ、7月に正式に買収が認可されたSprintの成長戦略についても語っている。4つのコミットメントとは、「端末」「ネットワーク」「営業/ブランディング」「サービス/コンテンツ」を充実させるというもので、まさにキャリアの王道。ソフトバンクはVodafone買収以来、着実にこれを実践してきた。Sprintに対しても、同様の姿勢で臨むというのが、孫氏の描く青写真だ。

 「アメリカでもこれは同じ。どちらもベースボールであればベースボール。ダルビッシュが優れた選手であれば、アメリカでもストレートを投げる。剛速球を投げるというのは、アメリカでもなんら変わらない。ベースボールの選手が、突然サッカーをやるわけではない」

photophoto Vodafone買収時に掲げたコミットメントを、アメリカでも実践してくという

 ネットワーク戦略については日米で共通点が多いと指摘する孫氏。ソフトバンクグループは、Wireless City Plannigの2.5GHz、ソフトバンクモバイルの2GHz帯、1.7GHz帯、900MHz帯を持つ一方で、SprintグループもClearwireの2.5GHz帯、Sprintの1.9GHz帯、800MHz帯でサービスを行っている。2.5GHz帯は共にTD-LTE(ソフトバンクは100%互換のAXGP)で、FDD方式のLTEをサービスインしているのも同じだ(ただし、Sprintの3GはKDDIと同じCDMA方式という違いはある)。ソフトバンクが培ってきた基地局建設のノウハウも、Sprintに注ぎこんでいくという。方式が同じため、端末の共同調達も視野に入れやすい。孫氏は「この6年で培ってきたノウハウは、アメリカでも生きる」と自信をのぞかせた。

photophoto ネット―ワークについては、日米で共通点が多いと指摘する孫氏(写真=左)。日本で培ったノウハウで、基地局を増やしていく方針だ(写真=右)
photo 買収直後の7月11日には、Sprintが新料金プランを発表した。これもソフトバンクとの協議によるものだ

 こうした戦略を実行し、さらには米国発の新技術を吸収するために、ソフトバンクはシリコンバレーに大規模なオフィスを開設する。シリコンバレーオフィスは「9月に事務所開きをしたい。今、ビルの契約は終わり、内装などの準備を開始しているところ。規模はちょうどツインビルで、巨大なビルではないが、総勢で言うと1000名を超える社員が入る。いきなり1000名ではなく、数百人規模から開始する。ソフトバンク出身とSpritの出先オフィスを兼ねたものになる」という。シリコンバレーは、スマートフォン関連技術の中心地になりつつある。ここでの活動は、Sprintのみならず、ソフトバンクにとってもプラスになりそうだ。

photophoto シリコンバレーに新拠点を設立し、商品開発に最新の技術を取り込んでいく構えだ。ソフトバンクとSprint、両方の社員が入居する

 なお、ソフトバンクの決算もKDDIと同様、増収増益となった。連結売上高は8810億円、営業利益は3910億円で、前年同期の7259億円/2033億円から、ぞれぞれ21%/92%増を記録した。

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