初めて“フルスイング”したOne Sonyのスマートフォン――平井社長と田嶋氏が語る「Xperia Z1」(2/2 ページ)

» 2013年10月30日 14時00分 公開
[田中聡,ITmedia]
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リングアンテナを採用して“継ぎ目のない”アルミフレームを実現

 「1枚の板を作る」というXperia Zのデザインコンセプトは、Xperia Z1も継承しているが、Z1ではフレームにアルミを用いている。アルミ……となると、アンテナへの影響が心配されるが、このフレームの中にリングアンテナを採用することで、アンテナと金属の問題を解消したという。アンテナ特性を測るのに時間がかかるため、Xperia Zへの搭載は間に合わなかったが、Z1で晴れて搭載となった。

 さらに、同じく金属フレームを用いているiPhone 5/5sには、フレームにプラスチックの継ぎ目があるが、Xperia Z1には継ぎ目がない。アンテナは携帯電話をデザインする上での制約となるため、「アンテナをどう処理するかが一番のテーマになっている」と田嶋氏。2012年には透明アンテナを搭載した「Xperia S」や「Xperia NX」を発表して話題を集めた。Xperia Z1でも、アンテナとデザインを見事に融合させたといえる。

 背面にガラスを用いているのも、Zから続くZ1のシンボルともいえる。「(背面に)メタルは考えていない」(田嶋氏)とのことで、“ガラスの板に何かを付けること”をデザインの基本思想としている。

photophoto フレームにアルミ、背面にガラスパネルを採用した

 アルミを用いたことで、重さがXperia Zの約146グラムから約170グラム(SO-01FとSOL23は約171グラム)にアップしたのは少々気になるが、実際に手にすると、思ったほどずっしりとは感じない。「見た目が軽いけど、持ったときに重いとがっかりしてしまいますが、金属の価値を感じていただければ、そうしたギャップは少ないと思います。『持ってみると意外と軽い』と言っていただけるのでは」と田嶋氏は話す。「ただし軽量化は必要だと思っているので、まだまだ進化の余地はあります」とも付け加えた。

ウェアラブル端末がヒットする可能性

photo 日本でも発売された「SmartWatch 2 SW2」

 ここ最近、脚光を浴びている新しいデバイスが、腕時計型をはじめとするウェアラブル端末だ。ソニーはXperiaとBluetooth接続してさまざまな情報をやり取りできる「SmartWatch 2 SW2」を世界で発表し、日本でも10月25日に発売する。SmartWatch 2は、同様の製品としては3世代目にあたり、ソニーが力を入れてきた製品群の1つだ。平井氏も「市場としては非常に伸びる可能性があると思っています」と話すが、一方でヒットに至るには、まだ時間がかかると見ているようだ。それはSamsungの「GALAXY Gear」のような競合製品との競争に加え、これまで使っている腕時計やブレスレットなどとの競争が激しいと考えるからだ。

 「モバイル端末は複数をカバンやポケットに入れられますが、ウェアラブル端末のブレスレット、スマートウォッチ、グラスを同時に着用することはあり得ません。人間の身体は非常に価値が高いので、そこに1つブレスレットを着けてもらうだけでもハードルが高い。だからこそ、可能性もチャレンジもあると感じています。『使えるね』と言っていただける商品なら絶対にハマると思いますし、可能性は見守っていきたいです」

 田嶋氏も「現在の5インチタッチパネル(スマートフォン)よりも優れた操作性は、ウェアラブルの領域ではできていないので、スマートフォンからウェアラブルへの移行には時間がかかるでしょう。技術の革命がもう1つ必要だと思っています」と話す。今後は「スマートフォンでできることをカバーしつつ、行動履歴や生体情報を正確に取れるなど、腕に付けているからこそできる新しい体験」(田嶋氏)が重要になるとみる。

デジタルカメラとの差別化、ライバルに対する優位性

 カメラが大きく進化したXperia Z1だが、ソニーはデジタルカメラも開発しているだけに、どのように差別化を図っていくのかは気になるところ。平井氏は「普及価格帯のサイバーショットの売れ行きが鈍ってきている中で、スマートフォンで写真を撮りたいというお客さんが、他社に流れてしまうことは絶対にあってはならない」と力を込める。つまりこれまでサイバーショットを使っていた一部のユーザーに、Xperia Z1を訴求していくことになる。その中で、「『DSC-RX100』や『RX1』などのように徹底的にプレミアムな方向に振って、スマートフォンでは表現できないような映像の世界をこれから極めていく。そういったことが明確になりました」と平井氏は話す。スマートフォンが進化することで、ソニーの家電ビジネスの方向性が見えてきたともいえる。

 Xperia Z1ではカメラやディスプレイに注力したが、そのほかの分野はどうだろう。例えば、Z1の音楽機能はZからほぼ据え置きとなったが、(すでに対応Walkmanも発売されているが)ハイレゾ音源への対応も期待される。平井氏も「ソニーの商品展開をしていく中で、差異化できる技術や機能はまだいろいろとあります。Xperiaをさらに魅力的な商品にするために、徹底的に議論して投入していきます。それが他社にない財産ですし、有効活用していくことが大事であると思います」と話す。

 Xperia Z1の発表直後に、Appleが「iPhone 5s」と「iPhone 5c」を発表し、iPhone 5s/5cの2モデル合わせて3日で900万台が世界で売れているなど好調だ。特に日本でNTTドコモがiPhoneの取り扱いを始めたことは、ソニーにとっては見過ごせない事実だ。iPhone 5s/5cが発売された約1カ月後に、日本でXperia Z1が発売され、2013年の「ワンツーパンチ」の2発目を放った格好だ。そんなiPhoneをはじめとするライバル製品に対して、どう戦っていくのか。

 平井氏は「ソニーの持っている技術を、事業部を超えてさまざまな商品に入れること」にこだわる。「ソニーの強みは、100%子会社化したソニーモバイル。ソニーグループとして持っている強い部分を、事業部を超えてスマートフォンへ徹底的に投入していきます。ソニーが持っている映像技術を評価いただけるスマートフォンを作ることで、ソニーファンの中に広まっていくことが大事だと思います」と同氏。ようやく1つの形になったOne Sonyだが、ソニー(ソニーモバイル)の“真っ向勝負”は始まったばかり。その行方を注視したい。

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