Penryn世代の「iMac」は最大28%性能アップ――アップル説明会「今でも最高のオールインワン」

» 2008年05月01日 05時00分 公開
[後藤治,ITmedia]

 アップルは4月30日、コンシューマー向け液晶一体型PC「iMac」の新モデルについて、製品説明会を実施した。今回の新iMacは、昨年8月に発表された「アルミとガラス」のデザインを踏襲しつつ、45ナノプロセス世代の新型Core 2 Duoを全モデルで採用し、さらに価格を引き下げてきたのがポイントだ。

デスクトップ市場シェアでMacが1位の月間も!? とっても好調なiMac

 説明会ではまず、アップルのプロダクトマーケティングディレクター服部浩氏が、最近の業績を振り返った。それによると、同社のデスクトップPCの販売台数は、ワールドワイドベースで前年比37%の成長を見せており、さらに国内市場においては49%(2008年1〜3月期)にまで達したという。

 もっとも、これはWindows Vistaの不振が影響しているかもしれない。実際、Windowsマシンの販売が振るわない中(BCNのデータによればデスクトップPCの国内販売台数はここ1年以上マイナス成長を続けている)、アップルのデスクトップPCは最新Mac OS X Leopardが発売された2007年10月と前後して急激に伸びている。

 また、2008年1月〜3月までに国内直営店のApple Storeで販売されたiMacのうち、その半数は従来Windowsマシンを使っていたユーザーが購入したものだという。ちなみに、首都圏のデスクトップPC販売シェアでは、2007年10月以降にアップルが1位に躍り出た月も何度かあったようだ。

「中身を大幅にパワーアップ」――処理性能を最大28%向上

新iMacの主な強化点

 冒頭で触れたように、今回のアップデートでは、アルミとガラスという2つの素材を採用した外装に変更はない。しかし、その中身は大幅に変わっている。同社の製品は今年に入ってMac Proを皮切りに、MacBook ProMacBookと、Penryn世代(45ナノメートルプロセスルール)のCPUに移行しているが、今回のiMacでも同様に新型のCore 2 Duoを採用した。

 これにともないFSBは800MHzから1066MHzに引き上げられ、2つのコアで共有する2次キャッシュ容量が4Mバイトから6Mバイトに増加したほか、新命令セットのSSE4などにより、システム性能を向上している。同社はこれを「プロセッサのレベルが1段階上がった感じ」と表現し、28%ほど高速化したFinal Cut Proのレンダリングなど、アプリケーションベンチマークテストの結果をスライドで示した。

 また、メモリクロックも667MHzから800MHzに高速化されており、上位2モデルには標準で2Gバイトのメモリを実装した。このほか、24インチのiMacには、3.06GHzで駆動するCore 2 Duo(詳細は非公開)と、NVIDIA GeForce 8800 GS(GDDR3 512Mバイト)をオプションに加えている。コンシューマー向けPCに位置するiMacに、よりハイパフォーマンスなオプションを用意した点について、同社は「現在iMacはプロ/アマを問わず、クリエイティブな用途にも使われており、さらに高い性能を求めるユーザーに応えた」と説明している。

Penryn世代のCore 2 Duoを採用。CTOオプションでは、インテルが現状で通常のCore 2 Duoのラインアップに用意していない3.06GHzモデルも選択できる(写真=左)。SafariやiTunes、Photoshopなど、なじみのあるソフトウェアを使ったアプリケーションベンチの結果。全体的に20%前後の性能向上が見られるようだ(写真=中央)。2.8GHzのCore 2 Duoを搭載した24インチiMacで、ATI Radeon HD 2600 ProとNVIDIA GeForce 8800 GSの性能を比較。Quake 4ベンチでは2.2倍というスコアになったという(写真=右)

 そのほかの仕様は、前モデルをほぼ完全に踏襲しており、20インチワイド(1680×1050ドット)/24インチワイド(1920×1200ドット)のクリアワイドディスプレイをはじめ、スロットローディングの2層式SuperDriveや内蔵iSight、各種インタフェースなどに変更はない(ただし、細かいところではBluetoothが2.0から2.1に上がっている)。

内蔵iSightやSuperDrive、各種インタフェースは従来と同じだ

「デスクトップPCを買うならiMacしかないと思う」

液晶一体型による接続性の高さに加えて、アプリケーションスイートのiLife'08を標準で付属する。「初心者の方でも買ってきてすぐに使える“オールインワンPC”だ」(同社)

 説明会で同社が特に強調していたのは、iMacのコストパフォーマンスの高さだ。例えば最下位モデルの13万9800円という価格は、国内メーカーが発売するWindows Vista搭載の液晶一体型PCではエントリークラスの価格帯に位置し、Core 2 Duoを装備するモデルは少ないと指摘。また、16万9800円のミドルレンジモデルも同様に、2.66GHzという高いクロックのCore 2 Duoや外付けグラフィックスを搭載している点でアドバンテージがある。

 液晶ディスプレイに関しても、同クラスの製品では、19インチワイドで1440×900ドット、もしくは22インチワイドで1680×1050ドット表示のパネルが一般的であるとし、より画面サイズが大きく、デスクトップ領域の広いiMacのメリットをアピールした。「デスクトップを買うならiMacしかないと思います」(同社)。

2.4GHzのCore 2 Duoを搭載した20インチモデルが13万9800円、2.66GHzの20インチモデルは16万9800円、そして24インチモデルは19万9800円になった。また、CTOオプションには1TバイトHDDなどに加えて、3.06 GHzのCore 2 Duoと、NVIDIA GeForce 8800 GS(GDDR3 512Mバイト)が用意された


 確かに、今回のiMacでは24インチモデルが20万円を切っており(従来は24万9800円)、アップルがコストパフォーマンスの高さを強調するのもうなづける。もっとも、米Apple Storeの価格は、下位モデルから1199ドル/1499ドル/1799ドルと、前モデル(2007年8月発表)の価格設定と同じで、国内のApple Storeが、下から13万9800円/16万9800円/19万9800円と、2万円〜4万円ほど下げているのだ。これについて同社が直接円高の影響に言及することはなかったが、米国の卒業シーズン向けに投入された今回のiMacで本当に“買い”のタイミングにいるのは、実は日本のユーザーなのかもしれない。

 今からちょうど10年前の1998年に初代iMacが登場したことを考えると(そしてそれまで“どん底”だったアップルを救ったことを考えると)、好調な“ガラスとアルミのiMac”に感慨を覚える人も少なくないだろう。服部氏は「そもそもオールインワンはアップルが作ったカテゴリ。その最先端であるiMacが今でも最高のオールインワンだと思う」と自信を見せた。

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