インテルが2010年に力を入れる「3つのテーマ」

» 2010年01月15日 15時46分 公開
[長浜和也,ITmedia]

不況下の投資が功を奏した32ナノプロセスCPU

インテル取締役副社長の宗像義恵氏

 インテルは、1月15日に2010年最初の記者会見を行った。インテル取締役副社長の宗像義恵氏は、2009年の業績を振り返った後、2010年にインテルが注力する「3つのポイント」を紹介した。

 宗像氏は、2009年の業績について、「2008年末から続く金融危機の影響を受けた、不透明な状況からのスタートだったが、2009年の後半から景気回復の兆しが鮮明になってきた。インテルは2009年初めに約70億ドルの生産設備投資を発表し、2010年初めに32ナノメートルプロセスルールを採用したCPUを一気に投入できた。このように、インテルは不況でも技術革新に関する投資を続け、それが、次の活動の源泉になると確信している」と振り返った。

 また、2010年もインテル全体で、研究開発に約62億ドル、生産設備投資に約48億ドルの投資を行い、次の成長に向けた投資をこれからも着実に続けていくことを明らかにしている。

記者会見会場に展示された32ナノメートルプロセスルールによる300ミリウェハ。2010年初頭にこのプロセスルールを採用した多数のCPUを一気に展開できたのも、たゆまぬ投資のおかげ、とインテルは説明する(写真=左)。インテルがMID向けに2010年の投入を予定しているMoorestownプラットフォームの開発用リファレンスデバイス。このような開発用プラットフォームでデバイスメーカーを支援する(写真=右)

日本のメーカーを支えていきたい2010年のインテル

 2010年の事業展開に関する説明では、特に注力する項目として「日本のPC市場の拡大」「日本PCメーカーの海外進出におけるサポートの強化」「PC以外の成長分野に対する取り組み」の3テーマが紹介された。

「日本のPC市場の拡大」では、新しいCPUと新しいOSへのアップグレードをきっかけに、2009年後半からのコンシューマー市場におけるPC需要は2010年に入っても伸び、景気回復によるIT関連投資の増加によって、ビジネス向けPCやサーバ需要傾向も続くという考えを示している。

 コンシューマー向けPC市場では、2009年に出荷台数増加に寄与したNetbookから、携帯性がNetbookと同等ながら性能は通常のノートPCに相当するCULV版CPUを搭載した「モバイル・サブノートPC」へ需要がシフトすると予想する。また、Netbookで活性化したモバイルコンピューティングの需要は2010年も引き続き強く、その市場の成長にモバイルブロードバントが必須と訴求するとともに、インテルはUQ WiMAXを積極的に後押しして、モバイルWiMAXの普及に貢献すると語った。

「日本PCメーカーの海外進出のサポート強化」については、2010年1月現在、中国やインドといった新興国や地域がPC販売の拡大に大きく貢献しており、日本のPCメーカーもそのような地域に対してビジネスを展開しようとしている現状を踏まえたうえで、インテルは、そのビジネス活動のサポート体制を強化し、販売支援などで日本のPCメーカーに協力していくことを明らかにした。

「PC以外の成長分野への取り組み」では、従来からのMobile Internet Devire(MID)やNetbookに続き、家電などへの組み込み需要を取り上げている。「たくさんの電子機器がインターネットに接続していく。2015年には150億台のデバイスがインターネットに接続する」と、インテルがこれまでもIDFなどで紹介してきたデータを示したうえで、宗像氏は、注目する組み込み系市場として車載情報機器における取り組みを紹介した。この分野でインテルは「GENIVIアライアンス」を立ち上げており、デバイス開発で各企業が連携することで普及に弾みをつけたいと説明した。

発表会会場には、インテルプラットフォームを採用したノートPCが展示されたが、2010 International CESで披露された“Arrandale”採用の未発表モデルは姿を見せなかった。教育市場向けの取り組みとして紹介された「クラスメイトPC」では、クラムシェルとタブレットの両方で使えるコンバーチブルノートPCが展示されていた


 宗像氏は、「2009年は先行きが暗い中で年が明けた。しかし、CESの成果を聞くと、各メーカーの革新的な取り組みなどが目立つなど、2010年は明るい兆しの中で始まった。タッチパネルスクリーンや省電力プロセッサなどを採用した新しい製品が新たな需要を創造する。さらに、こういう市場を日本のメーカーは得意としている。インテルは日本のメーカー各社とともに、この新しい市場を開拓していきたい」と述べるなど、日本のメーカーとの連携を強め、そのビジネスをサポートしていくインテルの姿勢をアピールした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年01月25日 更新
  1. 「GeForce RTX 5090」を速攻テスト! 約40万円からだが“異次元”のうたい文句はダテではない ただし電源容量と冷却面に注意 (2025年01月23日)
  2. 心地よいメモ書きから録音、ChatGPTによる要約、Kindleまで “仕事に使える”電子ペーパーAIスマートノート「iFLYTEK AINOTE Air 2」を試す (2025年01月23日)
  3. Shokz「OpenFit 2」を速攻で試す! イヤーカフは苦手だけどオープンイヤーがいい、ながら聞きイヤフォンを探している人は試してほしい (2025年01月24日)
  4. 「Windows 11 2024 Update(バージョン24H2)」の既知の不具合まとめ【2025年1月14日現在】 (2025年01月14日)
  5. AYANEOが宇宙に進出!? 地上で“爆速”を実現するかもしれない「AYANEO AG01 Starship Graphics Dock」開封レビュー (2025年01月24日)
  6. ゲーミング押し寿司「笹Crysta」登場! GigaCrysta10周年企画で芝寿しとコラボ (2025年01月24日)
  7. アイ・オー、“データ全消失ゼロ”をうたうストレージ冗長化技術のブランド名を「RAIDeX(レイドエックス)」に変更 (2025年01月24日)
  8. Dynabook初のCopilot+ PC「dynabook XP9」「dynabook X94」登場 ローカル処理で使える仕事に役立つAIアプリ搭載 (2025年01月23日)
  9. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  10. アンカーの3in1ロボット掃除機「Eufy Robot Vacuum 3-in-1 E20」が1月24日発売 スティック/ハンディ掃除機にもなって9万9900円 (2025年01月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2025年