既報の通り、アップルがノート型Mac「MacBook Pro」のラインアップを一新した。従来同様に13.3型ワイド/15.4型ワイド/17型ワイド液晶を搭載する全6モデルが用意される。今回のバージョンアップでは、大きく分けて、CPU、グラフィックス、バッテリー性能、価格の4点が主なトピックだ。
まず13.3型ワイドのMacBook Proだが、CPUの動作クロックが従来の2.26GHz/2.53GHz Core 2 Duo からそれぞれ2.4GHz/2.66GHz Core 2 Duoに高速化している。Arrandale(開発コード名)世代への移行は見送られたが、これは「価格と性能、そしてバッテリー駆動時間のバランスを追求した結果」(同社)だという。一方、グラフィックス機能はこれまでのGeForce 9400MからGeForce 320Mに改められた。今回のMacBook Proで初めて採用されたGeForce 320Mは、「市販の統合型GPUでは最も高速」(同社)であり、実際の性能でも従来比で最大180%のパフォーマンスを発揮するとしている。さらに電源効率の向上によって、バッテリー駆動時間が最長約10時間と3時間ほど延びたのもポイントだ(同社に確認したところバッテリー容量は従来モデルと同じとのこと)。なお、価格も下位モデルは11万4800円からと4000円ほど安くなった。


CPUは前モデルと同じCore 2 Duoを採用するが、動作クロックが高速化している(写真=左)。GPUは統合型のGeForce 320Mを搭載(写真=中央)。バッテリー駆動時間も最大10時間と大幅に延びた(写真=右)基本アーキテクチャを踏襲する13.3型モデルに対して、“待望”のCore i5/i7を採用したのが15.4型ワイド/17型ワイドの両モデルだ。CPUにはArrandale(開発コード名)こと32ナノプロセスルールのCore i5-520M(2.4GHz)/540M(2.53GHz)/Core i7-620M(2.66GHz)が採用される。15.4型ワイドの上位モデルに搭載されるCore i7はデュアルコアでは最速となる。また、4スレッドまで同時に処理するHyper-Threading Technologyやシングルコア動作でクロックを引き上げるTurbo Boost Technology(Core i7-620Mで最大3.333GHz)にも対応。これにより従来機種(2.8GHz Core 2 Duo+GeForce 9600M GT)との比較では最大50%の性能向上が見られたという。
グラフィックス機能も刷新され、従来のGeForce 9600M GTに比べて「約20%程度」(同社)性能が向上したという。具体的には、15.4型ワイド/17型ワイドの全モデルで、ディスクリートGPUを実装し、CPU統合型のIntel HD Graphicsと、GeForce GT 330Mの組み合わせに変更されたほか、これまでGPUの切り替えに設定変更および一時ログアウトが必要だったのに対して、新しいシステムではアプリケーションによって自動的にGPUが切り替えられる仕様になった。これにより、日常的なタスクとゲームなどで最適なGPUが選択され、ユーザーが意識することなく自動的にGPUを使い分けられる。また、性能を向上しながら最長8〜9時間というバッテリー駆動時間を実現したのも特徴だ。


Arrandaleのコード名で知られるデュアルコアのCore i5/i7を採用(写真=左)。CPU統合のIntel HD Graphicsと、ディスクリートのGeForce GT 330Mを搭載する(写真=中央)。GPUの切り替えは自動化され、ユーザーが意識することはなくなった(写真=右)ちなみに、GPU自動切り替えではNVIDIA Optimus Technologyが思い浮かぶが、アップルの説明によるとMacBook Proのスイッチ機能は独自技術であり、各アプリケーションがCore AnimationやOpenCLなどを使っているかどうかで判断しているため、新しいアプリケーションが登場してもプロファイルなどの更新は必要ないとしている。なお、デフォルト設定では2つのGPUを自動で切り替え、手動で設定をオフにするとGeForce GT 330Mが使用される(Intel HD Graphicsだけを使う設定はない)。


15.4型ワイド/17型ワイドモデルは、GPUとしてIntel HD GraphicsとGeForce GT 330Mの2つを搭載。切り替えは自動で行われ、これまでのように設定変更やログアウトする必要はなくなった(写真=左)。省エネルギーの項目で自動切り替えのチェックを外すと常にGeForce GT 330Mを利用する(写真=中央)。ガラス製のトラックパッドがiPhoneやMagic Mouseでおなじみの慣性スクロールをサポートした(画面=右)価格は13.3型ワイドモデルが11万4800円〜、17型ワイドモデルが21万8800円〜と従来のラインアップに比べて全体的に価格を下げている。特に17型ワイドモデルは既存のモデルに比べて3万円近く安くなっており、BTOでCore i7(+20160円)を選択しても安価な設定でコストパフォーマンスの高さが光る。また、今回は15.4型ワイドモデルのBTOオプションに、標準解像度の1440×900ドットよりも一回り広い1680×1050ドットのパネルが用意されているのも目を引く(高解像度パネルは光沢が+1万80円、非光沢が1万5120円)。
「さらに性能を向上し、バッテリー駆動時間を延ばしたMacBook Proなら、いつでもどこでも最高のパフォーマンスを発揮できます」(同社)
なお、発表から一夜明けたアップルストア銀座にはすでに新型MacBook Proが店頭に並んでおり、実際に触って試したり、スタッフの説明に耳を傾ける人を多数見かけた。また、Apple Storeでは出荷予定が4営業日となっている13.3型ワイドモデルも夕方入荷されていたので、「今すぐ欲しい」という人はアップルストア銀座へ。


入荷が早いと言われるアップルストア銀座では、13.3型を含む全モデルが店頭に並んだ(ただ、取材時は15.4型ワイドの高解像度液晶モデルは入荷していなかった)。同店スタッフの説明を熱心に聞いている女性を見かけた
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