ここでジョブズ氏が「実はOne more thingがあるんだ」と告げると、会場からは歓声が上がったが、「いやいや」と人差し指を左右に振り「小さな発表だ」と付け加えた。
そのOne more thingとは「iTunes Match」というサービスだ。iTunes in Cloudサービスによって、iTunesから購入した曲であれば、簡単に再ダウンロードができるようになるが、CDから取り込んだ曲を大量に持っているというユーザーもまだまだ多い。そこで、年間24.99ドルを支払うと、CDなどから購入した曲も自動的に曲認識して、iTunes in Cloudに対応してくれるようになる。このiTunes Matchで認識された曲は、256Kbps AACのDRMフリー形式でダウンロードされる。
アップルはすでに米国最大の音楽配信業者となっている。最近になってAmazonやGoogleも同様のサービスを発表しているが、これらは取り込み済みの音楽データすべてをインターネット経由でアップロードすることを求めており、データ転送だけでもかなりの時間がかかる。しかも、使いやすいアプリケーションが用意されているわけではなく、Webブラウザからの利用だ。さらに(利用料金が発表されていないGoogleは不明だが)、Amazonのサービスは、曲数によって値段が変わってしまい、割高になっていく。ジョブズ氏は「我々のサービスは業界で最も“お得”な内容になっている」と念を押す。
サービスを一通り紹介したところで、ジョブズ氏はこう切り出した。「もし我々が真剣ではないと思っているなら、あなたは間違っている」。そう断言して、ノースキャロライナ州メイデン市に建造している同社3つ目のデーターセンタの写真を披露した。人が豆粒ほどに見えてしまう巨大な施設でありながら、非常にエコフレンドリーな最新技術で建造されており、その中には最先端の高価なサーバ群がびっしりと詰まっている。
ジョブズ氏は、これらの施設を使ってiCloudサービスの提供を開始することが待ちきれない、と講演を締めくくった。
→WWDC 2011基調講演リポート(5)に続く
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