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» 2011年11月21日 09時30分 UPDATE

ユードー南雲氏が語る:ぬくもりを感じながら自己顕示欲を満たせる――「テガキモンスター」の狙い

ユードーが11月18日から配信している「テガキモンスター」は、自分で描いたモンスターでバトルができるゲーム。ユードーの南雲玲生氏が同作に込めた想い、そしてソーシャルゲームのあり方を語った。

[田中聡,ITmedia]

 アプリ開発を手がけるユードーが11月18日、同日に提供開始したiPhone向けソーシャルゲームアプリ「テガキモンスター」の発表会をアップルストア銀座で開催した。

photophoto 「テガキモンスター」(写真=左)。南雲玲生氏(写真=右)

 発表会では、ユードー代表取締役の南雲玲生氏が、同社が手がけるアプリのコンセプト、そしてテガキモンスターにかける意気込みを説明した。南雲氏は、コナミに在職中に音楽ゲーム「beatmania」を企画・制作したゲームクリエーターとしても知られる人物。2003年にユードーを立ち上げ、サウンド、ビジュアル、ヘルスケアなどをテーマにしたiPhoneアプリを開発してきた。特に手軽にピアノが弾ける「PianoMan」は全世界で500万ダウンロードを記録するほどの支持を集めた。全国の“斉藤さん”と無料でテレビ電話ができるアプリ「斉藤さん」も話題を呼び、現在も1日6000〜7000ダウンロードされている。

 これまで家庭用ゲームを中心に、一風変わったところではカーナビや食玩用ゲームの開発も手がけてきた南雲氏が、iPhoneゲームに着目した理由はどこにあったのか。同氏は「価格を自由に決められて、世界中に配信できる。審査も短く、在庫も持たなくていい。早ければリリース翌月に入金される」と、App Storeには従来のパッケージゲームにはないメリットが多数あると説明する。実績のない小規模な会社でも、App Storeのシステムなら大きなチャンスを得られる。その上で同氏が「世界に通じるコンテンツ」と考えたのが「音楽」。ギター音を演奏できる「Aero Guitar」は、世界で460万ダウンロードを記録した。先述したPianoManのヒットも記憶に新しい。

photophoto 460万ダウンロードを記録した「Aero Guitar」(写真=左)と500万ダウンロードを記録した「Piano Man」(写真=右)
photophoto 斉藤さんと通信料無料で通話ができる「斉藤さん」と、落書きしながらチャットができる「POMPA」も人気だ(写真=左)。ユードーのアプリは世界で1日1万以上ダウンロードされている(写真=右)

 そんなユードーが新たに提供するテガキモンスターは、タッチパネル上で描いた自分のモンスターで遊べるソーシャルゲーム。主人公たちとミッションに沿ってストーリーを進めつつ、他ユーザーのモンスターと戦って勝利するとレベルが上がる。購入したアイテム(シール)を使って攻撃力や防御力などを強化することもできる。ゲームを通じて他ユーザーと友達になって交流したり、多数のアイテムを入手することで、プレーヤーに合った新たなライバルが登場するなど、ソーシャルゲームらしい要素がふんだんに盛り込まれている。

 テガキモンスターの面白いところは、モンスターを手描きするための時間が制限されていること。ゲーム開始時は120秒しかないので、精緻なイラストを描くことは難しい。ただし、バトルで勝つと手描き時間が加算されるほか、ショップで手描き時間を購入できる。作成済みのモンスターは、これらの加算した時間を使って描き直すこともできるので、ゲームを進めるほど、こだわりのモンスターを描けるわけだ。複数(最大5匹)のモンスターを作成してチーム戦も繰り広げられるが、手描きに使える時間は120秒のままなので、モンスターを増やす際にも“時間”がカギを握る。また、アプリを起動していない間もバトルが自動で展開されるので、レベル上げのためだけに必ずしも長時間プレイする必要はない。

 モンスターの属性、攻撃料や防御力などの数値は絵のクオリティで決まるわけではなく、絵の色や線などを解析して決まるという。絵の得手不得手にかかわらず“モンスターの創造”を自由に楽しめるわけだ。

photophotophoto ペン、塗りつぶし、消しゴムなどのツールを使ってモンスターを作成できる(写真=左、中)。最初に用意された作成時間は120秒。作成後に属性や各種パラメーターが決定する(写真=右)。ちなみに、このモンスターは南雲氏自身が描いたもの
photophotophoto 「マイページ」からミッションを進めたりバトルをしたりできる(写真=左)。ミッション一覧。さまざまな登場人物たちと行動をともにする(写真=中)。アイテムを入手することもある(写真=右)
photophotophoto バトルでは、自分と近いレベルのモンスターが表示される(写真=左)。先頭シーンでは操作不要。自動的に勝敗が決定する(写真=中、右)
photophotophoto 複数のモンスターを率いたチーム戦も可能だ(写真=左)。HP回復のアイテムや、攻撃力や防御力などを上げられるシールを購入できる(写真=中、右)

 スマートフォンならではの特性を生かすことにもこだわった。「スマートフォンに移行して何を問われるかを考えたときに、タッチパネル、高解像度なスクリーン、高速処理、コミュニティが挙げられる。テガキモンスターはこれら4つを意識して作った」という。ゲームのデザインは20〜30代の人に遊んでもらえるよう“95年くらいの感じ”にした。また、ゲームは「クリアするもの」だが、テガキモンスターに明確なゴールは存在しない。「ドラマ以上に終わらないストーリーを楽しんでほしい」(南雲氏)。テガキモンスターのダウンロードは以下から。

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 南雲氏はあらためて、同氏が考えるソーシャルゲームのあり方を説明した。「現代人は恋愛や人間関係、仕事で悩んだりして、積極的に考えることに疲れている。家庭用ゲームの説明書を見ると、なんでゲームで疲れなくちゃいけないの? となる。だからこそソーシャルゲームが求められているのでは」と同氏は考える。手描きなら直感的に操作でき、ソーシャルゲームなら音楽、戦争、ギャンブルなどさまざまなテーマを扱える。「テガキモンスターも、最初はタップするだけで操作できる。慣れてきたら特殊オプションを使ってさらに楽しめる。モンスターを仲間に見せて戦うことで自己顕示欲を満たせる」とその魅力を話した。

 南雲氏がユーザーに期待するのが「ゲームを習慣化すること」だ。「会社や学校に行くとき、昼休み、家に帰るまで、そして寝る前にちょっと様子を見たり……1日4回遊んでもらえる。少しずつ遊んで面白さにハマってほしい」(南雲氏)。

 今後、ユードーのゲームには「ユードーID」を導入し、ユードーのゲーム間で連携を図れる取り組みを行うことも明かした。「例えばテガキモンスターであるアイテムをゲットしたら、他のゲームで特典がもらえるなど、ユードーのアプリへどんどん誘導していきたい。この取り組みで1000万から2000万のユーザーを獲得したい」と南雲氏は意気込みを話した。ユードーという社名の由来は「ユーザーを“誘導”すること」。そんな同社のビジョンがどこまで具現化されるのか、注目したい。

photophotophoto ソーシャルゲームはさまざまなジャンルで応用できる(写真=左)。テガキモンスターでこだわったところ(写真=中)。常に携帯しているスマートフォンだからこそ、1日4回はプレイできる(写真=右)
photophoto iPhoneゲームだからこそこだわったところ(写真=左)。2000万ユーザーの獲得を目指す。各アプリの上にある数値はダウンロード数(単位は万)(写真=右)

 イベントの後半では、NHK教育テレビ「つくってあそぼ」のワクワクさんこと久保田雅人氏をゲストに迎え、同氏作のモンスターを戦わせるデモも披露した。久保田氏はモンスターを手描きで作れるコンセプトに共感したようで、「既製品は誰でも持てるが、自分の手で作る喜びは何物にも代えられない。自分だけのものはものすごく大切で、心を豊かにする。最近は不器用な子が増えているが、物作りの喜びは大切。出来映えはどうでもいい。作る過程を楽しんでほしい」と話した。「機械と手の違いはぬくもり。ソーシャルゲームは冷たいイメージもあるが、ぬくもりを大事にしたい」(南雲氏)

photophotophoto ワクワクさんこと久保田雅人氏(写真=左)。久保田氏が工作したキャラクターがテガキモンスターに登場(写真=中、右)

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