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» 2013年12月06日 21時42分 UPDATE

石野純也のMobile Eye(11月25日〜12月6日):「BIGLOBE LTE・3G」「楽天でんわ」「Tegra Note 7」で活気づく“格安”トレンド (1/3)

今回は“格安”に関連する発表が続いた。月1Gバイトまで、LTEをフルスピードで利用できる「BIGLOBE LTE・3G」の「エントリープラン」、番号そのまま、30秒10.5円で通話ができる「楽天でんわ」、そして2万5800円前後という安価で購入できる「ZOTAC Tegra Note 7」を取り上げよう。

[石野純也,ITmedia]

 前回の連載で取り上げたSIMフリーiPhoneの登場によって、MVNO各社にとってのビジネスチャンスが到来した。この「格安SIM」市場が、にわかに活気づこうとしている。12月2日に会見を開いたNECビッグローブもその1社。代表取締役執行役員社長の古関義幸氏も「まさか(SIMフリーの)iPhoneが出るとは思っていなかったので、びっくりした」と述べ、驚きとともに期待感をのぞかせている。同社は、この会見で月1Gバイトまで、980円で利用できる「エントリープラン」を発表した。

 同じ格安という観点では、楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズが発表した「楽天でんわ」も、目新しい取り組みといえる。このサービスは、キャリアの電話網を迂回して同社のフュージョンの回線を中継する仕組みで、通話料はLTEプランで一般的な30秒21円の半額になる。技術的には従来型ケータイでも利用できるが、スマートフォンならアプリで設定が簡単になる。

 このように、本連載の対象期間である11月25日から12月6日にかけての2週間は、既存キャリアのサービスを代替する“格安系”の発表が相次いだ。家電の世界では、コストを抑えたノーブランド品の「ジェネリック家電」が話題になりつつあるが、まさにこれらは「ジェネリック通信」といえる存在だ。

 高性能な端末を、プラットフォームを使うことで安価にした製品も登場した。12月2日には、香港に拠点を置くZOTACが、NVIDIAのプラットフォーム「Tegra Note 7」を活用した端末を日本に投入すると発表。店頭想定価格は2万5800円前後となる。7インチのAndroidタブレットは、この価格帯がボリュームゾーンになりつつある。

 モバイルの世界にも、「格安」という新たなトレンドが定着しようとしている。こうした観点から、今回の連載ではNECビッグローブ、フュージョン、NVIDIAが発表した3つのニュースを取り上げ、それぞれの詳細や背景を見ていきたい。

フルスピードのLTEが1Gバイトまで980円、激安価格を打ち出したNECビッグローブ

 NECビッグローブは、「BIGLOBE LTE・3G」において、月1Gバイトまで、LTEをフルスピードで利用できる「エントリープラン」を発表した。プロバイダの「BIGLOBE」が有名なNECビッグローブだが、同社はドコモから回線を借り、MVNOとしても事業を行っている。今までは、2Gバイト、5Gバイト、7Gバイトのプランを用意していたが、ここに1Gバイトを追加したというわけだ。1Gバイトを使い切った後は通信制限がかかり、速度は128Kbpsに落とされる。

photophoto NECビッグローブは、1Gバイトで980円という「エントリープラン」を発表した。1Gバイトまでなら速度に制限もかからない。制限後は、100Mバイトずつ315円を払えば、フルスピードが出るようになる

 月1Gバイトだと、すぐに制限がかかってしまいそうだが、このプランはWi-Fiスポットの利用料もセットになっており、専用アプリで自動的に通信方法を切り替えることが可能だ。Wi-Fiに逃せる分の通信はなるべくWi-Fiに逃し、節約しながら月980円で済ませるというのがコンセプトのサービスになる。これまでも月額980円を打ち出すMVNOはあったが、どれも通信速度が制限されていた。古関社長も「フルスピードが出るサービスは、他社にないのでは」と自信をのぞかせる。

 月980円で済めば、仮に本体価格が7万1800円の「iPhone 5s」を買っても、2年間の支払いは10万円以下に収まる。これが、3万9800円の「Nexus 5」なら、さらに割安になり、回線と端末をセットで提供する大手キャリアとも価格では十分競争できる。

photo 「iPhoneなら、2年間の総額は9万円台」とアピールする古関氏

 外出先では節電のためにWi-Fiをオフにする場合も考えられるが、これもアプリで解決した。古関氏によると、Wi-Fiに接続している最中はセルラーをオフにして節電するため、あえて設定を変える必要はないという。移動中はあえてWi-Fiにつながない仕組みも盛り込んだ。

photophoto Wi-FiとLTEを使分ければ低価格で済むというのがコンセプト。「オートコネクト」というアプリも開発した。歩行を検知して、Wi-Fiが不安定になるときにはLTEで通信を行うようにするほか、Wi-Fi通信中にLTEを完全にオフにして節電効果も高めた

 SIMフリーiPhoneの登場について、古関氏は「まさか出るとは思っていなかった。これで、どうなるか」と興奮気味に話していたが、端末をどのように調達するのかはMVNOにとって、大きな課題だった。NECビッグローブはNexus 7などを販売するほか、「ほぼスマホ」として、これまでもグループのNECカシオが開発したMEDIASシリーズを取り扱ってきた。今回も、980円のプランと合わせて、「Wi-Fiほぼスマホ」の「AQUOS PHONE for BIGLOBE」を2月に発売する。このようにビッグローブは端末の販売まで積極的に行ってきたが、やはりラインアップには限界がある。SIMフリーの端末が市場に流通していた方が、ビジネスの拡大を見こみやすい。

photophoto NECビッグローブでも端末を用意する。2月にはシャープから調達した「AQUOS PHONE for BIGLOBE」を発売。IGZO液晶の省電力性の高さが、選択した決め手だったという
photophoto Nexus 7の料金も改訂した。このように、NECビッグローブは端末を自力で調達してきたが、SIMフリー端末の発売が追い風になるとみているようだ

 NECビッグローブは、2014年2月までにSMS対応のSIMカードも発行する。また、050番号のIP電話は提供しているが、「090(回線交換の音声通話)も、難しくはないので検討していく」(古関氏)という。現在は2台目需要を中心に取り込んでいるが、ニーズが高ければ、1台目としてのプランも提供する構えだ。

 ただ、古関氏が「いくら安いとはいえ、それに全部入れ替わることはない」と述べているように、既存キャリアの存在意義がなくなるわけではない。大手キャリアは端末ラインアップが厚く、プロモーションにも費用と力をかけている。また、キャリアショップを全国に網羅している点も強みだ。実際、NECビッグローブもSIMカードの契約者は現在「3万人ぐらい」(同)。「気持ちとしては100万契約を目指したい」(同)と言うが、すぐに達成できる数字とは見てないようだ。

 それでも、選択肢が増えるのは、ユーザーにとって歓迎できる動きだ。現在、3キャリアの料金プランは横並びで、選択肢も少ない。LTEのパケット定額プランに関しては、ドコモなら3Gバイトの「Xiパケ・ホーダイ ライト」と7Gバイトの「Xiパケ・ホーダイ フラット」を選択できるが、KDDIとソフトバンクモバイルは7Gバイトのプランしか用意していない(あっても、事実上選ぶメリットがない)。SIMフリー端末のラインアップが増え、MVNOの料金プランが多様化し、それがユーザーに受け入れられれば、大手キャリアのプランが変わることも期待できる。

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