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» 2014年04月24日 08時34分 UPDATE

「freebit mobile」もバージョンアップ:フリービットが目指す“キャリア型MVNO”とは?――石田社長が事業戦略を語る

端末からネットワーク、そして販売までをトータルでサポートする「キャリア型MVNO」を目指す――。そんな狙いでスタートした「freebit mobile」。既存のMVNOサービスとは何が違うのか。4月23日の戦略説明会で、フリービットの石田社長が語った。

[田中聡,ITmedia]

 フリービットが4月23日、スマートフォンと通信サービスをセットにした「freebit mobile」のバージョンアップを発表した。

photo 「freebit mobile」で提供されるスマートフォン「PandA」

 freebit mobileは、端末代の月額952円(税別、以下同)×24回と、月額1048円の基本プランを合わせた計2000円で、050のIP電話やパケット通信が利用できるサービス。ドコモ網を利用した通信サービスの速度は最大150〜200Kbps。オプションサービスとして、月額953円の音声通話も利用できる。

 5月1日からは、携帯電話向けの通話60分相当(1260円)と、動画視聴45分相当(100Mバイト分)の高速チケット(250円)の、月額計1510円相当分を月額500円で提供する「フラットパック」を提供する。

 また、通信速度を150〜200Kbpsから250〜300Kbpsにアップさせる。この増速により、映像のリアルタイムストリーミングや大容量アプリのダウンロード以外は、ほぼストレスなく快適に利用できるという。

photophoto IP電話の通話60分と100Mバイトの高速通信が500円でできる「フラットパック」(写真=左)。データ通信の速度も向上する(写真=右)

 freebit mobileのスマートフォン「PandA」の新ファームウェア「PandA Soft 2.0 “Cloud”」の提供も開始した。クラウド上のサーバと連携することで、PandAに最適なメモリ効率を実現し、体感速度が30〜50%向上するという。ほかに、テレビ電話を活用したリモートサポートサービス「SiLK Touch」、独自のアプリマーケット「Cloud Market」、初心者や高齢者に向けた「PandA UI」も利用可能になる。

photophoto PandAの第2ロットではハードウェアが進化している(写真=左)。オペレーターが遠隔でサポートできる「SiLK Touch」(写真=右)
photophoto 「Cloud Market」では、Google Playを経由せずにアプリのアップデートが可能になる(写真=左)。シンプルな「PandAホーム」(写真=右)

 フリービットは、O2O(Online to Offline)施策のテストマーケティングとして、freebit mobileを契約できる店舗「ATELIER(アトリエ)」を、2013年12月7日から福岡市の天神で展開していた。これを終了し、ATELIERを全国展開する。まずは5月3日正午に、名古屋大須商店街にATELIERの2号店をオープンする。この店舗には、入会処理、商品説明、サポートなどATELIERのフル機能を備えた小型の「STAND freebit」を、コアモジュールとして店内に設置する。今後は東京への進出も計画している。

photophoto 白を基調に7色を散りばめた「ATELIER」店内(写真=左)。名古屋大須商店街のATELIERには小型の「STAND」を配置する(写真=右)

 2013年12月7日にオープンした「ATELIER freebit 福岡天神」では、開店3日間で約3000人が来店し、2カ月半で20都道府県から幅広い年齢層のユーザーが申し込みをしたという(契約数は公開していない)。2014年3月15日には、ATELIERの50〜60%の面積を持つ「ATELIER'(アトリエダッシュ) freebit 小倉」を北九州市小倉地区にオープンした。

 5月1日からは、7人のシンガーソングライターユニット「Goose house」をイメージキャラクターに起用した新CMがオンエアされる。

「プロバイダー型MVNO」の問題点とは?

photo フリービット 代表取締役社長CEO 石田宏樹氏

 フリービットは4月23日に戦略説明会を開催し、代表取締役社長CEOの石田宏樹氏が自社の強みを語った。

 フリービットは、固定網ではISPの無料ダイヤルアップ接続の支援やISPへの回線提供、クラウドサービスの提供や特許技術の開発といった実績を持つ。モバイルの分野では「MVNE」として、U-NEXTやビジョンなどMVNOの支援を行っている。個人向けSIMサービスとしては、子会社のDTI(ドリーム・トレイン・インターネット)が月額467円からの「ServersMan SIM LTE」を提供している。


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photophoto フリービットのこれまでの実績

 固定網、クラウド、特許技術、モバイルに続く分野として同社が次に攻めたのが「モバイルデバイス」だ。中国のEXEMODE(エグゼモード)と組んで端末の開発に取り組み、2007年にはデジタルフォトフレームを提供した。そして「ブロードバンドのインフラ、クラウド、さまざまな機器の開発のインフラ、MVNE、B to CとしてのSIM提供、機器開発……これらの歴史を組み合わせて、全く新しいモバイルの仕組みに参入しよう」(石田氏)という狙いのもと、2013年11月に、freebit mobileでスマートフォン「PandA」を投入した。「PandAは単純にどこかから買ったわけではない。フォトフレームのときから培ってきた技術を1つ1つ積み上げてきた」と石田氏は胸を張る。

photo フォトフレームからスマートフォンまで、端末開発では6年の歴史を持つ

 石田氏はMVNOを「キャリア型MVNO」と「プロバイダー型MVNO」の2種類に分け、現在のMVNOは、ほぼすべてがプロバイダー型だと考える。しかしプロバイダー型では問題があると指摘する。例えばPCでは、端末、回線、販売網で独立した事業体が存在し、メールが送信できなくなった/ネットがつながらなくなたというトラブルが起きたときに、端末/回線/販売網のどこに問題があるのかが分かりにくい。石田氏は「同じような問題がSIMでも発生する可能性が高い」と考える。そこでフリービットは、端末から販売網までを垂直統合でサポートする「キャリア型MVNO」を目指す。

 「クルマの販売方法をスマートフォンに例えると、エンジンがSIM、車体がスマートフォン。プロバイダー型MVNOでは、エンジンと車体をスーパーでバラバラで買うようなもの」(石田氏)

photophoto クルマの販売方法をスマートフォンに例えて説明(写真=左)。プロバイダー型MVNOとキャリア型MVNOの違い(写真=右)

3月中旬から第2ロットの新しい「PandA」を販売

 PandAは「Palm and Arms」の略称で、スマートフォン/タブレットの機能を併せ持つ「ファブレット」と位置づけている。「ちょうどいいスマホライフをお届けする。料金や音声通話品質の向上にリソースを割り振っていきたい」という狙いから、スペックはあえて抑えた。LTEには対応しておらず、5型ディスプレイの解像度は480×854ピクセル、カメラは800万画素だ。

photophoto オリジナルのスマートフォン「PandA」。握りやすいラウンドフォルムが特徴だ

 料金プランも基本プランを月額1000円に抑え、端末代と合わせて「月額2000円」をうたう。通信速度は250円/100Mバイト、1250円/500Mバイト、2500円/1Gバイトの高速チケットオプションを購入することで、3Gの高速通信が可能になる(通信速度は公表していない)。

photophoto 月額1000円にパケット定額と通話の基本料金が含まれる(写真=左)。通信の「スタンダードモード」は定額だが、高速チケットを購入して利用する「ハイスピードモード」は従量制となる(写真=右)

 スマートフォンは現時点では1機種のみだが、3月中旬から第2ロットのPandAを販売している。第2ロットではAndroid 4.1.1から4.2.2に、CPUが1GHzデュアルコアから1.2GHzクアッドコアに、メモリが512Mバイトから1Gバイトに拡張されている。初代のPandAを使っている人も、PandA Soft 2.0 “Cloud”によって処理速度が向上する。

 PandA専用アプリもフリービットが開発している。例えば「one」というクラウドアプリでは、PCのブラウザにアップロードした写真や音楽などのファイルを、スマートフォン(PandA)に同期できる。スマートフォン初心者や高齢者でも30分で95%の機能を利用できることを目指した「PandAホーム」では、アイコンを大きく配置したほか、電話番号やアプリのショートカットを画面下部に設置できる。データ通信と別の帯域を使い、交換機レベルでコントールしているというIP電話アプリは、高品質をアピールする。「IP電話の利用率は劇的に向上している」と石田氏は手応えを話す。

photophoto クラウドアプリの「one」(写真=左)。高品質を実現するというIP電話(写真=右)

 ATELIER店頭では、3D転写機を設置し、自分だけのオリジナルPandA用ケースを制作できる試みも行っている。

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迫慶一郎氏が端末から店頭までのデザインをプロデュース

photo 建築家の迫慶一郎氏

 freebit mobileを取り巻く“デザイン”にも注力し、PandAやATELIERのトータルプロデューサーとして、迫慶一郎氏を招いた。迫氏は端末からUI、ロゴ、(ATELIERの)空間に至るまで、デザイン全般をプロデュースしている。「まずは真っ白な無限の可能性を持った箱から始め、そこに(PandAロゴなどのモチーフになっている)七色の虹を挿入した。七色の虹では、さまざまな個性や多様性が真っ白な空間に合わせることで、今までにない新しい可能性を作り出した」と狙いを話す。

 フリービットが福岡県を対象に、freebit mobileと他キャリアのイメージ調査を実施したところ、「月額料金が安い」「端末代金が安い」「話題性がある」「革新的」の4つの項目で、freebit mobileがトップ2に入ったという。それでいて「安っぽい」はワースト2には入っておらず、迫氏がプロデュースしたデザインが功を奏したといえる。

 福岡天神のATELIERでは、その外観に引かれて「何のお店だろう?」と興味を示して来店した人も多かったそうだ。店頭でfreebit mobileを購入した人の男女比は男性53%に対して女性47%で、オンラインでの購入実績よりも女性比率が高い。年齢構成も、店頭は40代と50代が特に高いという結果も出ている。

photophoto freebit mobileの性別と年齢別の会員属性(写真=左)。福岡天神でのATELIERオープンで、ブランド認知度も高まった(写真=右)
photophotophoto 既存キャリアとのイメージ調査では、料金の安さや新しさが評価された(写真=左)。口コミや紹介による新規入会者も増えている(写真=中)。IP電話の利用者も増えている(写真=右)

 「(freebit mobileでは)端末からSIM、インフラ、サービス、販売まで切れ目のないユーザー体験を作ってきた。単にSIMとハードを組み合わせて展開しているわけではない。いわゆる格安スマホでは、我々がイノベーターだ」と言い切る石田氏。スペックを求めず、でも快適に、そして安くスマートフォンを運用したいユーザーにとって、freebit mobileが有力な選択肢になりそうだ。

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