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» 2014年11月14日 15時15分 UPDATE

石川温のスマホ業界新聞:NTTドコモ・セット割導入で懸念される「さらなる収益悪化」 ━━自宅オフロード戦略は果たして吉と出るのか

NTT東西が卸売りする光回線とのセット割引を2015年2月から開始すると発表したNTTドコモ。新料金プランの影響で減収減益になった同社にとって、この施策がどう作用するのか。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 NTTドコモが2015年2月にNTT東西の光回線をセット販売する「ドコモ光」を開始すると発表した。KDDI・田中孝司社長からは「脱法的行為」と指摘されているが、NTTドコモ・加藤薫社長は「極めてオープンで公平的といえる」と反論。

 ただ、単にNTT東西の光回線を、NTTドコモが値引きをして販売するだけの構図であり、NTTドコモにとっては割引原資を負担しなくてはならず、経営面においても相当、痛手になる可能性が見えてきている。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年11月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


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 auスマートバリューは、KDDIとブロードバンド回線を提供するケイ・オプティコムや全国のCATV事業者と割引原資を負担し合うため、KDDIにとってそれほど痛手にはならない。ドコモ光は単なる値下げであり、現在、「カケホーダイ&パケあえる」の導入で収益的に厳しい状態が続くNTTドコモにとっては、さらなる逆風となりそうだ。

 ドコモ光の導入によって、もうひとつ懸念材料となりそうなのが、「パケット収入の低下」だ。加藤薫社長は「ドコモ光は新料金プランの上位プランを契約すればするほどお得な割引が得られる」と説明している。つまり、パケットパックの上位を選んだ方が割引率が上がるというわけであり、NTTドコモとしても、できるだけ上位プランを選んでもらうように営業をかけていくのだろう。

 実際のところ、NTTドコモが「カケホーダイ&パケあえる」の導入で、大幅な減収になっている背景には「パケット収入の大幅な落ち込み」が原因とされている。大量に音声通話をしていたユーザーがカケホーダイに加入したから、音声通話収入が落ちただけでなく、家族でパケットプランをまとめ、小さめのプランにしたことによって、NTTドコモの予想を大幅に上回るパケット収入の減少があったとされるのだ。NTTドコモとしてはドコモ光で大幅な割引策を用意することで、できるだけ上位のパケットプランに契約してもらうという狙いなのだろう。

 しかし、ユーザーの立場で考えれば、自宅に光回線が来て、快適にWi-Fiが使えるのであれば、「できるだけパケット消費を抑えよう」という考えになるのが自然だ。自宅でのパケット消費をできるだけ節約すれば、パケットプランはさらに小さいものにすることができる。これまで7GBのプランであったため自宅にいてもWi-Fiを使わず、LTE接続だったユーザーも、新料金プランで「節約につながる」というのであれば、迷わずWi-Fiにつなぐだろう。

 昨今、データのトラフィック量が莫大となっており、キャリアとしても、自宅にブロードバンド回線を引いてもらうことで「オフロード効果」が期待できると積極的にWi-Fiルーターを配ると言った施策を展開してきた。しかし、新料金プランのような、使う量に応じたパケット料金体系となると、オフロードを推進することが、経営にプラスに働くとは限らなくなってきた。ドコモ光は、割引率の設定にもよるが、場合によっては、下位パケットプランを選ぶ家庭が増える恐れがあり、さらにパケット収入の減少を引き起こす可能性もあり得る。

 現在、NTTドコモではこのあたりの調整を一生懸命にやっているのだろうが、いずれにしてもドコモ光の開始は、ドコモにとって、あまりメリットのないものになりそうだ。

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