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» 2015年01月27日 10時00分 UPDATE

IIJmio meeting 6:SIMロック解除の行方は? MVNOの未来はどうなる?――総務省 富岡氏がMVNO政策を語る

MVNOを含むモバイル通信にまつわる政策を決定しているの総務省は、MVNOについては推進するスタンスを示している。IIJmio meetingにて、SIMロック解除、MNOのネットワーク開放、訪日外国人のSIM利用という3点から、総合通信基盤局 事業政策課 企画官の富岡秀夫氏が語った。

[田中聡,ITmedia]

 1月24日に開催された「IIJmio meeting 6」にて、総務省 総合通信基盤局 事業政策課 企画官の富岡秀夫氏が登壇。「加速するMVNO政策」と題し、電気通信の政策立案を行う立場から見た、MVNOの現状と展望を語った。普段はなかなか話を聞く(そもそもお目にかかれる)機会のない総務省の中の人が登場することもあり、東京会場は定員をオーバーするほど人が集まった。

photo 総務省の富岡氏。17日の大阪会場に続いての登壇となる。「大阪でも同じ格好で行って、1人だけ浮いているなと思い、東京では私服で行こうと思ったのですが、Twitterで『総務省の人のベストがカッコイイ』というコメントがあったので、調子に乗って同じ格好で来ました(笑)」と話すと会場からは笑いが。いきなり来場者の心をつかんだ

より安く、よりよいサービスを実現してほしい

 総務省は、MVNOに関するガイドラインを策定するなど、MVNOが事業を展開するうえでの仕組みを整備する役割を担っており、MVNOの活動を推進するスタンスを示している。2014年3月には、IIJも加入しているMVNO委員会とともに「MVNO2.0フォーラム」へ参加した。

 総務省がMVNO政策を推進する理由として、富岡氏は「現在のモバイル市場は、MNOの3グループ(ドコモ、au、ソフトバンク)が寡占している状況になっているのではないか。世界的に見ても、日本の携帯料金は高いと言われている。そういう会社(MNO)を増やせばいいという意見もあるが、電波は有限希少な資源。MVNOがプレーヤーとして競争することで、より安く、よりよいサービスを実現してもらいたいから」だと説明する。

photo 総務省がMVNO政策を推進する理由

 総務省のデータによると、2014年9月時点におけるMVNOの契約数は1986万に上り、グラフを見ると、順調に推移していることが分かる。ただしこの中には、KDDIがUQコミュニケーションズから借りている「WiMAX 2+」や、ソフトバンクモバイルがWCPから借りている「AXGP」、いわゆる「BWA(広帯域移動無線アクセスシステム)」の契約数も含まれる。このBWAが伸びているのは「一言で言うとiPhone 6が売れたから」と富岡氏。

 つまりWiMAX 2+に対応するauのiPhone 6と、AXGPに対応するソフトバンクのiPhone 6は、BWAのMVNOとしてカウントされているわけだ。「MVNO契約数のうち57.7%は、KDDIやソフトバンクモバイルなどMNOであるMVNOのもの」(富岡氏)。これらを除いた“純粋なMVNO”の契約数は、2014年9月時点で840.2万に上り、全契約数の5.1%を占めている。ただし、この840.2万にはカーナビなどのモジュールに通信機能を付けたものや、ISPや量販店が再販売しているものも含まれるため、IIJのような“SIMカード型”のMVNOはさらに限られる。MVNO委員会が発表したデータでは、SIMカード型の契約数(MVNO委員会参加企業7社の合計)は、2013年度末で179万となっている(参考リンク※PDF)。

photophoto ソフトバンクやKDDIがMVNOとして提供しているBWAを含めると、MVNOの契約数は1986万に上る。WiMAX 2+とAXGPはAndroid端末も対応しているので、今後さらに伸びるだろう(写真=左)。純粋なMVNOも伸びている(写真=右)

 総務省が2013年に実施した、MVNOの認知度や利用状況の調査では、「利用している」と答えたのは8%のみだったが、「よく知っている」「聞いたことはある」を合わせると、48%のユーザーには認知度があることが分かった。また、61%が「音声・データ共に利用したい」と回答した。

photophoto MVNOの認知度と利用状況(写真=左)。MVNOの利用意向(写真=右)

2015年5月1日以降に発売される端末は、原則SIMロック解除を義務化

 総務省が現在進めているMVNO関連の政策は「SIMロック解除の推進」「MVNOへのネットワーク開放のさらなる促進」「訪日外国人の国内発行SIMへの差し替え円滑化」の3点だ。富岡氏はこれら3点の現状を説明した。

photo 総務省が注力している3つのMVNO政策

 まずは「SIMロック解除の推進」について。日本では、2011年4月からNTTドコモが(iPhoneなど一部機種を除き)SIMロックの解除を可能にしたほか、ソフトバンクモバイルも2011年に一部機種でSIMロック解除を可能にした。これは総務省が2010年6月に「SIMロック解除ガイドライン」を策定したことが影響している。ただしこのときはSIMロック解除を義務づける内容ではなかったので、最終的には通信キャリアの判断に委ねられることになった。

photo 2013年度に日本で発売された端末のうち、41.7%がSIMロックを解除可能になっている。ドコモ端末のライアップが減っていることも影響してか、2013年度にSIMロック解除できる端末は、2011年度から10%以上減っている

 そこで、総務省は2014年12月にSIMロック解除ガイドラインを改正し、「MNOが、正当な理由なくSIMロック解除に応じないと、電気通信事業法に基づいて業務改善命令を行う」とした。これでSIMロック解除は事実上、義務づけられることになる。対象となるのは「2015年5月1日以降に発売される、通話やデータ通信を行うすべての端末」で、フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレット、モバイルWi-Fiルーター、USBモデムなどが含まれる。あわせて、SIMロック解除はインターネットや電話などでできるだけ簡単に、かつ無料で行うことを原則としている。

 「端末を売るときにSIMロックをかけることは問題ないが、一定期間経過後は解除できるようにする(と定めている)。その期間は2年後ではダメで、せいぜい数カ月後。具体的なキャリアの方針が5月までに発表される予定」(富岡氏)

photo 総務省が発表したSIMロック解除ガイドライン改正の内容

 MNOによって対応バンドが異なる問題についても「各キャリアと話し合っている」という。「この端末は、どの周波数帯に対応しているかを、ユーザーに分かりやすく示してくださいと(キャリアに)言っている。普通の人でも、(例えば)この端末は800MHz帯をカバーしていないことが分かるような形で(情報が)出てくることになる」(富岡氏)

 総務省が2013年に実施したSIMロック解除に関するアンケートによると、「解除したことがある」のはわずか2.6%で、解除した理由は「現在利用している端末を国内の他社のSIMで利用するため」が42.5%で最多だった。

photophoto SIMロック解除の認知度と利用状況(写真=左)。SIMロック解除をした理由(写真=右)

MVNOが家族割や通話定額を提供可能にするには?

 「MVNOへのネットワーク開放のさらなる促進」では、MVNOがMNOに「接続」という方式でネットワークを借りる場合、MNOはその請求に応じる義務があること、ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルはネットワークの貸出について、料金や条件の公平性、透明性を確保することが義務づけられていること(二種指定設備制度)を富岡氏は説明した。ただし、MVNOがネットワークの必要な部分のみを細分化して利用可能にする「アンバンドル」については、法令での規定はなく、ガイドラインで一定のルールが定められている。

photo MVNOネットワーク開放についての現在のルール

 MVNOが運営、管理するパケット交換機をMNOのネットワークに接続する「レイヤー2接続」の接続料は、ドコモの場合、2013年度は10Mbpsあたり月123万円で、2008年度から10分の1ほどに下がっている。一方、他キャリアの2013年度の接続料は、KDDIが月275万円、ソフトバンクモバイルが月352万円で、ドコモと比べて2〜3倍ほど高い。こうした価格差もあってか、現在はドコモ系のMVNOが大半を占めている。

※初出時に、レイヤー2接続の説明に誤りがありました。おわびして訂正いたします(1/29 2:00)。

photo 3キャリアの接続料

 富岡氏は、「今後、MVNOが発展していくためには、いろいろな機能が迅速かつ確実に開放されることが必要不可欠」とする。また、アンバンドルについても「ガイドラインという緩やかなものではなく、ちゃんと法律で義務化したい。請求にかかる手続きも決められていないので、交渉をダラダラと延ばされることのないよう、法令上、規定を整備する」(富岡氏)というスタンスだ。これらの点を踏まえ、「あさって(1月26日)からの国会で、電気通信事業法改正の法案を出す予定」(富岡氏)

photo ネットワーク開放に向けた今後の取り組み

 アンバンドルの具体例として、「MVNOがHLR/HSSを保有すること」が挙げられる。HLR/HSSはそれぞれ「Home Location Register/Home Subscriber Server」の略称で、携帯電話番号、端末の所在地、顧客の契約状況などの情報を管理するデータベースのこと。

 MVNOがHLRとHSSを運用できるようになると、例えばドコモとソフトバンクなど複数キャリアの回線に対応したSIMカードの発行が可能になり、災害時などに冗長性の高いネットワークを構築可能になる。また、MVNOが携帯電話番号を直接割り当てられ、家族割や通話定額などの独自サービスも提供できるようになる。顧客管理システムとSIMカード発行機能をMVNOが管理して、例えばSIMカードを挿すとAPNを自動で設定するといったことも可能になるという。

 ただしMVNOのHLR/HSSの運用は「決してハードルは低くない」と富岡氏。「まずは事業者間協議を進めてもらい、携帯番号を直接割り当てるかを検討する必要がある。超えるべきハードルはあるが、重要で面白いテーマだ」と期待を寄せた。

photophoto MVNOがHLRとHSSのデーターベースを保有すると、さまざまなサービス拡張が可能になる

訪日外国人が快適にMVNOのサービスを利用できるようにする

 最後は「訪日外国人の国内発行SIMへの差し替え円滑化」について。訪日外国人が日本で携帯電話を利用するには、これまでは国際ローミングが主な手段だったが、これからはMVNO SIMの利用が有力な選択肢になると総務省は考える。しかし、SIMを利用するときの初期設定が煩雑だったり、日本で通信をする海外端末が技術基準が満たすかが十分に整備されていなかったりするという課題がある。

 これらを解決すべく、総務省はAPN設定などをより簡単に行えるよう改善する、円滑に本人確認をする方法を周知する、訪日外国人が海外端末を日本に持ち込んだときの法律を整備する、といった取り組みを行っている。海外端末の持ち込みについては、1月26日からの通常国会で電波法改正案を出す予定だ。

photophoto 訪日外国人が日本のMVNO SIMカードを利用するうえでの課題と、それに対する取り組み

 「総務省の目標は、2016年にMVNO契約数を約1500万にすること。現在の840万から倍近く増やしていきたい」と富岡氏は意気込みを語った。

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