iPhoneカメラでガラス越しの被写体をキレイに撮るコツ荻窪圭のiPhoneカメラ講座

» 2016年05月30日 22時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 先日、境界協会という市区町村県境を散歩する会に参加したときのこと。古いお寺の山門に立派な毘沙門天像が置かれていたのである。

 なかなかカッコいいので写真を撮ろうとするが、ガラスの向こうに鎮座してるのでなかなかうまくいかない。「こういうの撮れないんだよね」と一緒に歩いていた友人が言うのだ。

 確かに普通に撮るとこうなる。

普通に毘沙門天像を撮ってみる 普通に毘沙門天像を撮ってみる

 ガラス内の毘沙門天像と外側の赤い山門を同時に撮れてうれしい――ということはなく、反射が邪魔。

 外の風景がガラスに思い切り反射して写り込んでしまうのだ。これは、明るい側から暗い側を撮るときに起きる現象である。

ガラスとの隙間を手で覆ってみよう

 じゃあどうするか。実は答えはものすごくシンプルなのだ。外の光はガラスに反射してカメラのレンズに入る。だったら、ガラスの反射を邪魔してやればいい。

 一番簡単な方法は、左手でガラスとの隙間を埋めて反射を排除する方法だ。

左手でガラスとの隙間を埋める図 左手でガラスとの隙間を埋める図

 iPhoneをギリギリまでガラスに近づけ、ガラスとiPhoneの間を手で覆って余計な光がレンズに入らないようにするのである。そういう意味では、前回 の名刺と輪ゴムを使ったハレーション防止策のバリエーションだ。

 結果はこちら。劇的に違うのがわかってもらえるかと思う。

左手で隙間を埋めて撮った毘沙門天像 じゃまな反射がきれいに消えてキリっとした毘沙門天像が

 どこをどう覆えばいいかはケースバイケース。iPhoneのカメラを構えて、なんか写り込んだときは「どの方向から来ている光をふさげばOKか」を考えればいい。

夜景の撮影にも応用可能

 ガラスの中にいる仏像を撮りたい、というのは話がマイナーすぎてアレなんでもうちょっとありがちな例でいうと、ガラス越しの夜景。

 ガラス越しに夜景を撮ると、室内の明かりがガラスに写り込んじゃうというのはよくある話。理屈的にレンズをガラスにぴったりくっつけて外光がガラスに反射する隙間をなくしてやればいいんだけど、そうすると真正面からしか撮れないし、二重ガラスだと効果がない。

ガラスから離れて撮るとこんなことに ガラスから離れて撮るとこんなことに。まあこれはこれで面白いのだけれのだけれども
二重ガラスだと接触する効果なし ガラスに近づいて撮っても、二重ガラスということもあり、室内が明るいとこのように写り込んでしまう
ガラス越しにiPhoneを立てかけてみた ガラス越しにiPhoneを立てかけてみた。室内の明かりも一緒に写ってしまうことが分かる

 で、同じように手で覆ってみる。するとこれだけ違う。

左手で覆ってみた 左手で覆ってみた

 写真だとわかりづらいけれど、ここではiPhoneと窓ガラスの隙間を埋めるように指を置いているのがミソ。すると室内の灯りがきれいに消える。

 で、撮った結果がこちら。

絶賛大工事中の渋谷駅の夜 絶賛大工事中の渋谷駅の夜

 斜めからでも、レンズの位置と室内の光源を見て該当する箇所を覆ってやればOKだ。

左上に階段だかエスカレーターだかの明かりが写り込んでしまったが…… 左上に階段だかエスカレーターだかの明かりが写り込んでしまったが……
手でちょっと光を塞いだだけで邪魔な光はどこかへ 手でちょっと光を塞いだだけで邪魔な光はどこかへ。あ、電車がくるのを待って撮ればよかった(と今頃思ってます)

 さらに、タッチオートフォーカス(AF)と明るさ(露出)補正を併用すれば、暗部がぎゅっと締まった夜景になる。

遠くの明るいところに合わせる 遠くの明るいところに合わせてやると……
暗部がぎゅっと締まる 暗部がぎゅっと締まって、工事中エリアがはっきりした夜景になる

 「ガラスに手を触れないでください」という場所や、ガラスが遠い場所でも、室内側が明るすぎず、邪魔な光がいくつかの点光源だけであれば、その光源がどの角度からどう反射して邪魔してるのかを見て、うまく防いでやればなんとかなるかもしれない。

 前回もそうだったけど、難しい知識や技術や道具がなくても、ちょっとした工夫と簡単な理屈で解決できる問題って結構あるものなのである。

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