先日、境界協会という市区町村県境を散歩する会に参加したときのこと。古いお寺の山門に立派な毘沙門天像が置かれていたのである。
なかなかカッコいいので写真を撮ろうとするが、ガラスの向こうに鎮座してるのでなかなかうまくいかない。「こういうの撮れないんだよね」と一緒に歩いていた友人が言うのだ。
確かに普通に撮るとこうなる。
ガラス内の毘沙門天像と外側の赤い山門を同時に撮れてうれしい――ということはなく、反射が邪魔。
外の風景がガラスに思い切り反射して写り込んでしまうのだ。これは、明るい側から暗い側を撮るときに起きる現象である。
じゃあどうするか。実は答えはものすごくシンプルなのだ。外の光はガラスに反射してカメラのレンズに入る。だったら、ガラスの反射を邪魔してやればいい。
一番簡単な方法は、左手でガラスとの隙間を埋めて反射を排除する方法だ。
iPhoneをギリギリまでガラスに近づけ、ガラスとiPhoneの間を手で覆って余計な光がレンズに入らないようにするのである。そういう意味では、前回 の名刺と輪ゴムを使ったハレーション防止策のバリエーションだ。
結果はこちら。劇的に違うのがわかってもらえるかと思う。
どこをどう覆えばいいかはケースバイケース。iPhoneのカメラを構えて、なんか写り込んだときは「どの方向から来ている光をふさげばOKか」を考えればいい。
ガラスの中にいる仏像を撮りたい、というのは話がマイナーすぎてアレなんでもうちょっとありがちな例でいうと、ガラス越しの夜景。
ガラス越しに夜景を撮ると、室内の明かりがガラスに写り込んじゃうというのはよくある話。理屈的にレンズをガラスにぴったりくっつけて外光がガラスに反射する隙間をなくしてやればいいんだけど、そうすると真正面からしか撮れないし、二重ガラスだと効果がない。
で、同じように手で覆ってみる。するとこれだけ違う。
写真だとわかりづらいけれど、ここではiPhoneと窓ガラスの隙間を埋めるように指を置いているのがミソ。すると室内の灯りがきれいに消える。
で、撮った結果がこちら。
斜めからでも、レンズの位置と室内の光源を見て該当する箇所を覆ってやればOKだ。
さらに、タッチオートフォーカス(AF)と明るさ(露出)補正を併用すれば、暗部がぎゅっと締まった夜景になる。
「ガラスに手を触れないでください」という場所や、ガラスが遠い場所でも、室内側が明るすぎず、邪魔な光がいくつかの点光源だけであれば、その光源がどの角度からどう反射して邪魔してるのかを見て、うまく防いでやればなんとかなるかもしれない。
前回もそうだったけど、難しい知識や技術や道具がなくても、ちょっとした工夫と簡単な理屈で解決できる問題って結構あるものなのである。
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