Appleの第3世代iPad(新しいiPad)が3月16日に発売され、一部のソフトバンクショップでは8時から販売された。ソフトバンクモバイルは、3月6日にオープンした旗艦店「ソフトバンク銀座」で8時からセレモニーを実施し、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏が登壇した。
新型iPadの大きな特長は、2048×1536ピクセルという高解像度を実現したRetinaディスプレイ。孫氏も「本当にきれい。一度見てしまうと、この素晴らしさから目が離せない」と感動した様子。「(iPad 2よりも)4倍きれいになったにもかかわらず、CPUの速度も向上している。バッテリー容量も2倍ほど大きくなったのに、サイズや重さはiPad 2から大きく変わっていない。いろいろなスマートパッドがあるが、さずがApple、中身が違う」と賛辞を述べた。
セレモニーには、ソフトバンクモバイルのCMに出演中のトリンドル玲奈さんも登場。「新しいiPadの発売という記念すべき瞬間に、皆さんと一緒にいられて良かった。写真や地図がすごくきれいでびっくりした」とディスプレイの画質に魅力を感じたようだ。トリンドルさんと一緒に写真を撮ったという孫氏は「撮ってその場でこんなに大きな画面で見られる。しかも写真も美しくて表示も速い。動画もハイビジョンで撮れる」とカメラ性能にも満足していた。ディスプレイについても再度触れ、「ドット数が少ないとギザギザになり、人間の目が補正しようとするから目が疲れる。でもiPadのディスプレイはフォントもきれいなので目が疲れない」と、目に優しいこともアピールした。
ソフトバンク銀座が開店する8時にはカウントダウンを実施し、列の先頭に並んでいる人から順に店内に案内された。最初に契約した人は、前日(3月15日)の22時から並んでいたそうだ。新型iPadを手にして「非常に感動している。映像を見たり、日本語対応の音声入力を試したい」と話していた。孫氏は「スティーブ・ジョブズが亡くなる前、iPad 2が発売されたときに『iPad 2はすごいけど、その次のモデルはもっとすごい』と話しており、次の次の作品をすでに開発していた。この新しいiPadはスティーブの想いが込められた、本当に素晴らしい作品。彼の想いも大事に楽しんでほしい」とメッセージを贈った。
イベント後の囲み取材では、ソフトバンクモバイルが獲得した900MHz帯での新型iPadの通信について質問が挙がった。孫氏は「新しいiPadの通信速度は(従来のiPadと)それほど変わらない。900MHz帯で対応しているのはW-CDMA」と答えていたが、実際は900MHz帯では下り最大21MbpsのHSPA+での通信に新型iPadは対応する。900MHzでの通信は7月25日から可能になる予定。900MHz帯を使う基地局の開設については「全速力で取り組んでいる。1日でできることではないが、開局したところからどんどん良くなる。必ず我々の電波が良くなったことを実感していただけると思う」と話した。
他のタブレットにはないiPadの魅力は「トータルのバランス」だと孫氏は言う。「タブレットは何機種も発売されているが、iPadが圧倒的に売れているのは、トータルのバランスが絶妙だから。ディスプレイが4倍きれいになったにもかかわらず、薄さと重さは今までと(ほとんど)変わらず、バッテリーは倍くらい持つ。私も毎日(新型iPadを)使っているが、充電せずに1日10時間ほどは快適に使える。このように、見た目で分からない中身の進化がすごい」と絶賛した。「ソフトとハードをインテグレートするというジョブズの思想が良い形で現れている。デジタルの数字でスペックを競うのではなくて、『本当にユーザーにとって使いやすいか?』に対するこだわりがすごい。使ったら必ず分かる」
ちなみに、3月6日にオープンしたソフトバンク銀座は、もともとは旧ユニクロがあった場所。新型iPadが発売された3月16日は、奇しくもユニクロ銀座店のオープン日でもある。孫氏によると、ソフトバンク銀座の店舗は、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長に譲ってもらったという。「銀座で良い立地がないかと何年もお店を探していたところ、柳井さんが『それじゃあ』と。友達よしみで譲っていただいた」(孫氏)
ソフトバンク銀座では新型iPadの当日販売分も用意していたが、予約を受け付けていたこともあり、店舗前に並んでいる人は少なかった。3月16日の午前6時25分ごろには予約をしていない人が9人、予約済みの人が4人並んでいるのみだった。8時ごろには70人ほどに増えたが、ソフトバンク表参道前に250人の行列ができていた初代iPadの発売日ほどではなかった。
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