快適な日本語入力に欠かせない、ユーザー辞書のメンテナンスももちろんしっかりできる。よく使うがすぐに候補が表示されない人名などは、ユーザー辞書に登録しておくと入力が楽になる。辞書はiOSのユーザー辞書とは異なるもので、iOSの辞書と単語を共有することはできないが、すでにWindowsやMacでATOKを利用しているなら、Windows版やMac版のATOKからエクスポートした単語ファイルをiTunes経由でATOK Pad for iPhoneに取り込むことができる。
またiPhoneの連絡先に登録された情報も一括で取り込む機能を用意した。初期のiPhoneユーザーが連絡先をユーザー辞書代わりに利用していたことに配慮したものと思われるが、細かな配慮のあとが伺える。
ATOKで登録していた単語コメントや置換候補などは登録できない、登録数には上限があるため、すべての単語が登録されないケースがある、表記や読みが長すぎる単語は登録できない、使用できない品詞の単語は自動的に変更されて登録されるなど、いくつか制約はあるが、使い慣れたユーザー辞書をiPhoneの環境でも継続して利用できるのはありがたい。
逆に、ATOK Pad for iPhoneで登録した単語をWindows版やMac版のATOKの辞書に登録することも可能だ。iTunes経由でユーザー辞書の単語一覧をエクスポートし、WindowsやMacのATOK辞書ユーティリティを利用すればいい。
iPhoneをマナーモードにしていると気付かないかもしれないが、ATOK Pad for iPhoneはキー入力時に効果音が鳴る。初期設定では「ピアノ」が選択されており、文字を打つごとにさわやかな音階が奏でられる。またリボルバータッチ入力など、銃を彷彿とさせる機能があることから、「銃声」をイメージした音も用意。キーボードをたたいているような「キータッチ」も選べる。もちろん音を消すことも可能だ。
また画面のデザインや罫線の仕様(テーマ)もカスタマイズできる。テーマは赤ベースの「ATOK Red」、ワンポイントで黄色が入る「Casual Yellow」、グレー調の「Aluminum」、そして黒ベールのモノトーンになる「Galaxy」が用意されており、さらにATOK RedとCasual Yellowでは罫線や方眼の有無も選べる。またフォントは37種類から選べ、フォントサイズも10ポイントから50ポイントまで好みに合わせて変更可能で、色も14色から選択可能だ。
さて、ここまでATOKとしての機能をじっくりと見てきたが、ジャストシステムではサービスやサポートもATOKならではのものを用意している。アプリからはユーザー登録が可能になっており、登録すると電話での無償サポートが受けられる。またAAA(ATOK Anytime Anywhere)優待も受けられるようになる。AAA優待は、ATOK単体製品のユーザー向けに、他のプラットフォームのATOKを割引価格で提供するプログラムだ。3000本限定で、価格据え置きで1000円分の商品券が付く「ATOK 2010 for Windows[ATOK Pad for iPhone購入支援セット]」「ATOK 2010 for Mac[ATOK Pad for iPhone購入支援セット]」も発売した。
iPhoneの日本語入力機能に不満を持つ多くの日本人ユーザーの声を受け、メモアプリという、少々苦しい形ながらもATOKの提供を実現したジャストシステム。PCの黎明期から日本語入力システムを手がける企業として、さらに快適な日本語入力環境を、さまざまなデバイスの上で実現していく考えだ。福良社長は「どんなサービスでも、言葉を扱う以上必ずATOKが活躍できると思っている。ますます進化して便利で楽しくなっていく、時代を引っ張っていく新しいデバイス環境の上に、ジャストシステムはATOKをはじめとしたさまざまなジャンルの、ユーザーに喜んでいただけるソフトやサービスを提供していきたい」と話した。
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