インタビュー
» 2011年01月01日 09時00分 公開

新春インタビュー:スマートフォン時代に向け、ラインアップ再編とiモードの移植を行う――NTTドコモ 辻村副社長に聞く(前編) (2/3)

[神尾寿,ITmedia]

4シリーズ体制は見直し、ラインアップ全体を再編する

―― 来年スマートフォンの普及が加速化していく。となりますと、フィーチャーフォンとスマートフォンの調達・販売比率や、マーケティング上の棲み分けはどのようになっていくのでしょうか。

辻村氏 まず、大きな流れとしてスマートフォンの比率が上がる。これは間違いありません。我々としては、2013年の時点で(販売における比率が)半々になると予測しています。ドコモの年間総販売台数で鑑みますと、おおよそ(フィーチャーフォンとスマートフォンが)750万台ずつという感じですね。ただ、これは少し保守的な予測かもしれません。いずれにせよ、2013年には機種数的にもフィーチャーフォンとスマートフォンが半々になり、実際の販売比率も同じくらいになっていくでしょう。

―― その普及シナリオに合わせて、ドコモ全体のビジネスもスマートフォンに舵を切っていく、と。

辻村氏 ええ。iモードの主要機能については、2011年度中にはスマートフォンに乗せていきたい。2011年度の夏モデル、冬モデルという2段階で、(iモードの)かなりの部分をスマートフォンに移したいと考えています。

 この計画で進捗すれば、2012年度のスマートフォンの大半はiモードが使えるということになりますので、一般ユーザーのスマートフォン移行が加速されます。遅くとも2013年度には総販売数の半分がスマートフォンになるというシナリオが実現するわけです。

―― スマートフォンの販売比率が高まる中で、フィーチャーフォンでフルラインアップ戦略をやるメリットが薄れています。より踏み込んで言わせていただくと、すでにハイエンドからミドルハイのユーザー層がスマートフォンを選び始めており、ドコモの「PRIMEシリーズ」などは存在意義を失っているわけです。いつまでもフィーチャーフォンで4シリーズ化のフルラインアップ戦略をとることは無駄ではないでしょうか。

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辻村氏 それはおっしゃるとおりです。今ドコモでは、(フィーチャーフォンを)「PRIME」「STYLE」「SMART」「PRO」と4ジャンルに分けたラインアップにしていますが、これを2011年度には見直したいと思っています。

 現状で見ますと、フィーチャーフォンのPRIMEのお客さまのかなりの部分がスマートフォンに移行している。ご指摘のとおり、PRIMEを続ける意味がどこにあるのかは考える必要があります。しかも今はインセンティブの関係で、フィーチャーフォンのPRIMEシリーズ端末よりも、スマートフォンの方が安いわけです。スマートフォンとフィーチャーフォンの両方で、ラインアップ戦略を見直さなければならない。

―― 確かに販売価格面での混乱はあります。下手をすると、発売直後のSTYLEシリーズよりもスマートフォンの方が安いということもあるわけですから。

辻村氏 ええ。しかし、そのフィーチャーフォンとスマートフォンの販売価格の逆転現象は一時的なものと考えています。ラインアップの見直しとあわせて、そのあたりの整理もしていきます。いずれは、スマートフォンがハイエンドからミドルクラス向けとなり、その下にフィーチャーフォンのSTYLEシリーズが位置するような形に、ラインアップや販売価格の整理・見直しをしていきたい。

―― 基本的には、スマートフォンが「上」、フィーチャーフォンが「下」というようなヒエラルキーですか?

辻村氏 いいえ、それだけとは限りません。スマートフォンでも中低価格帯の端末を出していきたいと考えています。ですから、スマートフォンはハイエンドだけでなく幅広くラインアップされて、フィーチャーフォンはやや下の層が中心になっていくでしょう。その中では、ある程度は重なり合う部分もあると思います。

―― 昨年、ドコモのスマートフォンラインアップはSamsung電子のGALAXY Sをフラッグシップに、海外メーカーのハイエンドモデルと、国内市場のニーズに適応した日本メーカーのスマートフォンも育成するという方針でした。2011年のラインアップでは、海外メーカーからのグローバルモデルの調達と、国内市場向けに開発されたローカルモデルの比率はどのようになるのでしょうか。

辻村氏 そこはまだ決めていません。ただ、1つ言えるのは、スマートフォンを供給するメーカーが増えるということです。例えば、今ドコモにスマートフォンを供給している日本メーカーはシャープと富士通東芝モバイルコミュニケーションズの2社ですが、それ以外の日本メーカーもスマートフォンを出してくるでしょう。ですから、こういった日本メーカー製のスマートフォンと、海外メーカー製のスマートフォンをコンビネーションで採用していくことになるでしょう。

―― OSで見た場合ですが、現在はAndroid搭載のスマートフォンが主流です。しかし、来年にはMicrosoftのWindows Phone 7が日本語化される計画ですし、海外ではコンシューマー市場向けのBlackBerry端末も登場しています。こういったAndroid以外のOSプラットフォームの採用はどのようになりますか。

辻村氏 コンシューマー向けの主流はAndroidになるでしょう。ただ、おっしゃるようにWindows Phone 7やコンシューマー向けのBlackBerryも登場しますので、(日本で)どれだけ需要があるかはしっかりと見極めていきたい。しかし、当面の主流はAndroidですね。

 あと、もう1つ(ドコモが)注目しているのがタブレット端末ですね。これは海外メーカーだけでなく、日本メーカーも含めて数機種を出していきたい。

―― 今年(2011年)はタブレット端末の市場が立ち上がりますか?

辻村氏 需要という点で注目しているのは法人ニーズですね。タブレットは確かに個人で使うというコンシューマーニーズもあるでしょうが、それよりも企業が業務改革や生産性向上のツールとして導入するという市場の方が先に立ち上がると見ています。

―― スマートフォンだけでなく、タブレット端末の法人需要が重要である、と。

辻村氏 いや、むしろスマートフォンよりもタブレット端末の方が、法人市場では先に需要が立ち上がるでしょう。ただし、ここで重要になるのは、セキュリティです。業務改革でタブレット端末を使うとなると、紛失・盗難時の対策をはじめ、企業での利用に適したセキュリティのソリューションがセットでなければいけません。

―― ドコモは以前から法人向けのモバイルソリューション商品の開発力で群を抜いていました。今年は、ここにタブレットの新製品が組み込まれて、法人向けソリューションのパッケージとして売られていくということでしょうか。

辻村氏 そうです。今まさに、それに向けて法人部門の体制強化も合わせて取り組んでいます。

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