―― Androidを搭載したスマートフォンやタブレット端末が増えて来ますと、キャリアとしての特長をどう訴求していくかが、1つの課題になります。その1つの鍵が、iモードの移行なわけですけれども、それ以外にスマートフォン/タブレット市場で“ドコモならでは”を打ち出していくポイントはありますか。
辻村氏 まず第1には、ドコモのスマートフォンやタブレット端末向けに“エコシステムを充実させる”ことが重要になります。すでにドコモマーケットも展開していますし、先ほど申し上げたiモードなどもここに含まれるでしょう。
そして、2番目に重要なのが「マルチスクリーン」です。これは2010年から重要なキーワードでしたが、今年はますます重要性を増していくでしょう。このマルチスクリーンでは、スマートフォン/タブレット以外のモバイル端末をどのように普及させていくのかという点もありますし、PCとの連携は従来にも増して重要になっていきます。
―― 確かにPCとのシームレスな連携は、マルチスクリーン時代でも重要な要素の1つですね。これまでのケータイはあくまでスタンドアローンでの運用が前提でしたが、スマートフォン時代はむしろ、さまざまな状況に適した端末から同じサービスやコンテンツが利用できることが重要になる。
辻村氏 そうです。そこで重要なのがクラウド的な機能やサービスを充実させることです。例えば、スマートフォン内のパーソナルデータをクラウドで預かって、PCや他のデジタル機器でも利用できるようにする。映像や電子書籍のしおり機能も、(クラウド経由で)共有で管理するといったことが必要になります。
―― 現状のAndroid端末ですと、クラウド的な機能・サービスはGoogleの標準機能を使うようになっています。しかし、この領域にドコモも踏み出す。ドコモが、そういったマルチスクリーンを連携させるためのクラウドサービスを提供させるビジョンがあるということでしょうか。
辻村氏 ええ、ドコモ独自のクラウドサービスを考えています。
とりわけパーソナルデータのお預かりサービスといったもので重要なのは「信用」だと思うのですよ。もちろん、インターネット上ではGoogleのようにパーソナルデータの保管・管理を行うクラウドサービスがたくさんあります。しかし、家族の写真だとか個人にとって重要なデータを預けるといった場合、「無料かどうか」だけが(クラウドサービスの)選択基準にはならないでしょう。我々が月額でいくらかの料金をいただく代わりに、データを安全にお預かりする。そういった信用をベースにしたクラウドサービスの在り方もあると思います。
スマートフォン向けのクラウドサービスについては、昨年のEvernoteとの提携のように外部の企業と連携するパターンもありますし、ドコモがフリーミアム型で無料と有料の両方のサービスを提供することも考えられます。ただ、他キャリアに対する差別化として考えるならば、ドコモブランドの信用力というものが、1つの鍵になるでしょう。
(後編は1月2日に掲載予定です)
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