Samsung電子が5月3日(現地時間)、ロンドンのEarls Court Exhibition Centreで新製品発表会「Samsung Mobile Unpacked 2012」を開催。同社スマートフォンの最新製品「GALAXY S III」を発表した。グローバル向けに5月末から発売される予定で、夏には日本や米国向けにLTE版がお目見えする予定である。
発表会ではまず最初にSamsung電子のIT&モバイルコミュニケーション部門のトップ兼プレジデント、JK シン氏が登壇。GALAXY S IIIは「人々のため」を考えて開発された製品であり、同社のフラッグシップに相応しい「世界一のスマートフォンだ」と自信を見せた。
4.8インチと大型化されたディスプレイは同社が誇るスーパー有機ELを採用。Webやゲームなどを高速に表示してリッチな体験を提供する。カメラの画素数は8メガピクセルで、最適な瞬間を逃さない「Burst Shot」や、コンタクトリストと連携して写真を簡単に共有できる「Buddy Photo Share」機能を備える。本体はわずか8.6ミリと薄く、133グラムという軽量化も実現。スマートフォンとしては大容量の2100mAhのバッテリーを備えているのも特長だ。本体デザインは“inspired by nature”、つまり自然の水や石をイメージしたものになっている。
このようにハードウェア性能が大きく向上したGALAXY S IIIだが、シン氏は続けて「ソフトウェアも強化されており、使い勝手も大きく進化した」と説明。ユーザーが何をしているのか、何がしたいのかを端末が判断し、操作性を高めているという。例えば端末に話しかけるだけで操作が可能な「S Voice」は、本体を指先で操作しなくてもブラウジングやカメラの利用ができるという。GALAXY S IIIは145カ国、296の通信事業者から発売される予定。HSPA+対応製品は5月末から欧州を皮切りに発売される。またLTE対応品は米国と韓国に加え日本でもこの夏から発売することがアナウンスされた。
GALAXY S IIIの詳細な機能の説明は、Samsung電子のヨーロッパ・テレコミニケーションオペレーション部門バイスプレジデントのJD アイム氏と、サムスンモバイル・ベルギーのマーケティング部門ヘッド、LD ブリース氏が説明した。
まず「GALAXY S IIIは単純にハードウェアを強化しただけの製品ではなく、実際に利用者が使いやすいデバイスになることを考えて設計した」とのこと。煩雑な操作をシンプルに、端末側で自動的に認識するさまざまな機能が搭載されている。特にGALAXY S IIIで最も便利になった機能は音声や顔の自動認識機能だ。音声認識機能であるS Voiceは、GALAXY S IIIに話しかけるだけで各種操作やスケジュールの確認、天気予報のチェックなどを行える。会話方式で操作でき、現時点では7カ国語に対応。英語やスペイン語などの西洋言語と韓国語で利用できる。そしてインカメラを利用した顔認識機能「Smart Stay」は、ユーザーが端末を見ているかどうか、また端末を見ている場合は何をしているかを認識。スクリーンのオン/オフが自動化される。
他にはカバンやポケットの中にGALAXY S IIIを入れたまま着信やメッセージ受信に気がつかなかった場合、次に端末を手に取るとバイブレーションやLEDの点滅で知らせてくれる「Smart Alert」も搭載。これらの機能は従来は端末のロックを解除し、設定画面を開いてから確認する必要があったが、GALAXY S IIIでは何も操作することなく通知されるので、ここは進化した点だ。
ソーシャルやファイル共有関連の機能も工夫されている。例えばカメラは自動的に被写体の顔を認識し、写真を撮られた人がGALAXY S III内のコンタクトリストに登録されている場合、顔写真の下に表示されるSNSや電話連絡先からすぐにコンタクトを取れる「Social Tag」機能も搭載。「Buddy Photo Share」機能を使えば、写っている人にワンタッチでその写真を送信可能だ。内蔵のNFCを使った「S Beam」は、Android 4.0の標準機能「Android Beam」の強化版で、Wi-Fiダイレクトでメディアファイルなどを高速に送信できる。そしてDLNAを使ったメディアシェア機能は「AllShare Play」に強化され、複数のデバイスで同時にメディアファイルを再生できる。
この他の便利機能として、「Pop up play」も用意した。これは動画をマルチタスクの小ウィンドウで再生する機能で、動画再生中に検索やメールチェックなどを行いたいときに、ワンタッチで動画の再生画面を小型化し、それを他のアプリケーション上の好きな場所に配置できる。
このようにGALAXY S IIIの発表会ではソフトウェアの部分が特に大きくアピールされており、ハードウェアの説明は後半にまとめて行われたが、スペックの一部は未定とのこと。本体色はMable WhiteとPebble Blueの2色。別売のワイヤレス充電キットを使うとケーブルレスでの充電が可能だ。欧州では5月29日から販売予定で、LTE版は米国で6月から、日本と韓国では今夏に発売される予定。
プレゼンテーション終了後はGALAXY S IIIの実機の展示コーナーでタッチ&トライが行われた。本体のサイズは70.6(幅)×136.6(高さ)×8.6(厚さ)ミリ、重さは133グラム。GALAXY S IIよりやや大きくなっているが、本体を持ってみるとそこまでのサイズの差は感じられない。これは本体が曲線を帯びたデザインで構成されており、側面部分もエッジが立っていおらず、手にフィットしやすい形状になっているからだと思われる。
Pebble Blueは黒に近い濃紺で、背面は金属風となっている。一方のMable Whiteはツヤのあるホワイト。背面も同様にツヤのある表面仕上げだ。側面は濃紺とホワイトのラインがカーブを描くように入っており、これが見た目の薄さを演出しているように感じられる。GALAXY S IIと実際に並べてみると、本体の形状が異なるため、スペックほどのサイズ差は感じられないだろう。
Android OSのバージョンは4.0.4。S Voiceは来場者の多くが英語での操作を試していたが、日本語に対応していないのが惜しまれる。ワンタッチで動画を縮小表示ができるPop up playでは、ホーム画面やブラウザ、SNSアプリ上などさまざまなアプリ上で動画がスムーズに再生されていた。動画を見ながらの検索や情報シェアに大きく活用できそうだ。
アクセサリーはワイヤレス充電キットやカラフルなカバーなどが用意される。これらは本体と同時発売予定だが、カバーの色展開は国によって異なるとのこと。なおGALAXY S IIIの本体色も、今後他のカラーが登場する予定もあるという。GALAXYシリーズはこれまでピンクバージョンも登場しており、ピンク色も出てくる可能性がありそうだ。日本での発売が2色になるか、他の色になるかなどは未定とのこと。
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