“arcを超えるボディ”に復活させたアーク形状――「Xperia GX」が描く新しい世界:開発陣に聞く「Xperia GX SO-04D」(前編)(1/2 ページ)

» 2012年08月13日 19時50分 公開
[田中聡,ITmedia]

 NTTドコモから、ソニーモバイルコミュニケーションズ製のスマートフォン「Xperia GX SO-04D」が発売された。同時期に小型の「Xperia SX SO-05D」も発売されたが、ハイスペックなXperiaとして正統進化したモデルはXperia GXだろう。4.6インチHD液晶や16GバイトROM、1700mAhのバッテリー、1.5GHzデュアルコアCPU、1300万画素カメラを備え、通信サービスは日本のXperiaとして初めてLTE(Xi)をサポートした。SXで利用できるワンセグや赤外線通信には対応しないが、現行のXperiaでは最先端といえるスペックを誇る。

photophoto ソニーモバイル製の「Xperia GX SO-04D」。ボディカラーはBlackとWhite

 日本向けXperiaとしては2月に発売された「Xperia NX SO-02D」、3月に発売された「Xperia acro HD SO-03D」以来のモデルとなるが、Xperia GXはどのような狙いで開発されたのか。ソニーモバイルでXperia GX開発に携わったマーケティング担当の中田氏、デザイン担当の杉山氏と金田氏に話を聞いた。前編ではデザインの話を中心にお届けする。

photo 左からデザイン担当の杉山氏、金田氏、マーケティング担当の中田氏

“GXのアーク形状”は何が違うのか

photo 杉山氏

 LTE、HD液晶、デュアルコアCPU、高画素カメラ……こうした機能の話をすると、実は他社のハイエンド機とスペック面では大差がなく、Xperia GX以上のスペックを持つ機種も存在する。Xperiaの独自色を強く感じられるのは、やはり「デザイン」だろう。海外で発表されたXperiaのNXT(ネクスト)シリーズ、そして日本でも発売されたXperia NXでは、キーの下に透明素材「Floating Prism」を用いたデザインが大きな話題を集めた。Xperia GXではFloating Prismではなく、2011年に発売した「Xperia arc SO-01C」のアーク形状を再び取り入れた。これにはどのような背景があったのだろうか。杉山氏は「好評いただいていたXperia arcのアーク形状を踏襲してほしいという市場からの反響がありました」と明かす。「2012年におけるソニーモバイルのデザインテーマは『アイコニックアイデンティティ』です。このテーマをベースにし、GXはアイコニック=アーク形状でまとめました」(杉山氏)

 では、同じアーク形状でもXperia arcとの違いはあるのだろうか。杉山氏は「arcを開発した2011年のデザインテーマは『ヒューマンカーバチャー』でした。その中でデザインしているので、全体的に流線型となっていて、曲線美でデザインを特徴付けていました」と話す。2011年の日本モデルではXperia NXからアイコニックアイデンティティを反映させ、「ソリッドなかたまり」「よりシンプルな造形感」を目指した。杉山氏は「NXでは透明のバーを目立たせるために、他は水平垂直にし、薄く見せるために裏面にカーブをかけました。その上で、GXではどうまとめるか? を考えてながらデザインしました」と話す。デザインの根底にあるものはNXと共通していることが分かる。

photo バックライトを消灯すると、ブラックアウトして黒い板のように見える

 Xperia GXは4.6インチ液晶を搭載していることもあり、「大画面でコンテンツを楽しむこと」をデザインの前面に打ち出した。「テレビと一緒で、キーもなくなってブラックアウトした画面1枚で楽しむために、縦横水平垂直な画面にしたい。絵を見るときに余計な曲線があるのは、本質的に良くないのではと考えました」と杉山氏。「“塊感”としかうまく言えませんが、よりシンプルに、きれいなアーク形状の板をデザインする――そういう気持ちで取り組んだところが(Xperia arcとの)大きな違いですね」

 こうした取り組みの違いは、arcとGXの第一印象から分かる。arcは反り返った曲線が強調されているが、GXではさりげなくカーブがかかっており、曲線が主役というよりはデザインの一部に溶け込んでいると感じる。ただ、裏面の曲率はarc/GXともに「同じ」(杉山氏)だという。杉山氏は「arcは(側面にある)金属調のフレームが太かったのでアーク形状がより強調されていますが、GXでは(面面の)映像エリアをグロス(光沢)、(裏面の)手を握るエリアをマットという2つの質感に分けています。それだけだと弱い印象となるので、フレームを、さり気なく繊細に、アークを強調する上でアクセントとして入れています」と説明する。

 グロスとマットというツートーンに分けたのは、表と裏で役割が異なるため。「映像を見るエリアは、上もガラスで光沢があるので、ブラックアウトしたクリアブラックの状態となじませるようグロスにしています。裏面は、arcでは光沢感を与えてギラギラさせていましたが、持ったときの心地よさに配慮し、WhiteとBlackともにマットな素材を採用しています。手触りも良くなるようにこだわってトップコートを施しました」(杉山氏)

photophoto 表がグロス、裏がマットな塗装になっている

カメラの出っ張りは苦渋の決断

photo 左がXperia GX、右がXperia NX。外観のサイズはほぼ同じだが、GXの方が軽くなっている

 前モデルのXperia NXと比べた際に、サイズはNXの約64(幅)×128(高さ)×10.6(厚さ)ミリに対してGXは約69(幅)×131(高さ)×10.5(厚さ)ミリでほぼ変わらないが、GXの最薄部は約8.6ミリとさらに薄くなった。重さもNXの約144グラムから約127グラムへと軽量化が図られている。厚さについてはXperia arcの最薄部が約8.7ミリだったので、arcより薄くすること目指したという。「スペックも上がってバッテリー容量も増えたので、arcよりも不利でしたが、arcを超えたいという想いで設計をスタートしました。その結果、最薄部はarcより0.1ミリ薄くできました」と杉山氏は胸を張る。その上で、カメラやスピーカーなど厚みのある部品を上下に配し、無駄のない形で新しいアーク形状が完成した。NXより軽量化できたのは「中味を見直し、これまで使っていた板金プレートを削ったためです」と杉山氏。

photophoto 上がXperia arc、下がXperia NX。arcではフレームの曲線が強調されているが、GXのフレームは細く控えめだ
photo アーク形状の曲率はarcとGXどちらも同じだ

 一方、デザイン面で少し残念に感じるのは、裏側のカメラ部分が出っ張ってしまっているところ。「凸を出さずに処理することもできましたが、厚く見えてしまう。つまり厚さの一線を越えてしまうので、カメラ部分だけ凸にしてなじませました」と杉山氏は話す。Xperia GXは1300万画素カメラという高画素のカメラを備えているが、800万画素のカメラユニットなら厚さを抑えられたという。「13メガか8メガにするかは相当議論しました。8メガのカメラなら薄くできてフラットになります。ただ、他社も10メガ強のカメラを採用しているので、ハイエンドなGXには13メガを採用することにしました」(杉山氏)

 Xperia arcとは違った手法で持ちやすさにも配慮した。Xperia GXの側面には山なりになるよう六角形の形状にしており、持ったときに指がかかりやすくなっている。「握ったときに手がフィットするよう配慮しています。NXと比べて軽くなっている点も、持ちやすさに貢献していますね」(杉山氏)

photophoto カメラ部分が出っ張っている(写真=左)。手にフィットするよう側面が山なりになっている(写真=右)
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