筆者はちまたで「ARROWSジャーナリスト」といわれるほど、ARROWSばかりを使っているように思われている。先のARROWSの振り返りを見れば一目瞭然かもしれない。しかし、ほかのメーカーの多くの機種も同様に使っている。その中でも一番印象的なのが、パナソニック モバイルコミュニケーションズの「ELUGA」シリーズだ。
まずは、2012年冬モデルとして登場した「ELUGA X P-02E」。従来のELUGAは、他社のスマートフォンに隠れて目立たない印象だったが、スペック、機能、使い勝手など、他社と並べてみても見劣りせず、ひいては目立てる要素をたくさん兼ね備えており、当時のモデルとしては人気ナンバーワンだったソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Z SO-02E」の対抗馬となるには十分すぎるほどの魅力を持って世に送り出された。特に、背面に丸みを持たせて持ちやすくしたボディや、物理ボタンによるシステムキーは、SO-02Eにはない大きな魅力だった。
筆者は年明けから2013年に初めて買うスマートフォンを、SO-02EにするかP-02Eにするかずっと迷っていたのだが、結局、筆者の妹とおそろいのカラーでP-02Eを買うことにした。これが非常に大当たり。ホームキーでスリープから復帰させられること、プリインストールのDLNAクライアントが非常にパフォーマンスが良いこと、持ちやすいことなど、非常に満足のいく仕上がりになっていた。「パナソニック、いけるんじゃないか?」と思わせるのに十分なできだった。
続く「ELUGA P P-03E」も非常に印象深いAndroidスマートフォンだった。P-02Eのハイスペック路線は踏襲しつつ、よりコンパクトで丸みを帯びて持ちやすいボディにフルHD液晶、そしてホームキーが物理キーという、個人的には待っていたと言わんばかりのコンパクトフルHDスマートフォンだった。
P-02Eで問題と思っていた点も、ほぼ全てきっちりと解消していて、「冬モデルはどんなELUGAが出るんだろう?」とすごく楽しみにしていたところだった。しかし、その後は読者の皆さんがご存知の通り。パナソニック モバイルコミュニケーションズが個人向けのスマートフォン開発を休止してしまったのだ。もっとも、開発を休止したのは個人向けであって、法人向けの開発は継続するとのこと。法人向け事業でしっかりと存在感を発揮したうえで、個人向けにも魅力的なスマートフォンを期待したい。いや、本当に戻ってきてください。お願いします。
フィーチャーフォン派の筆者があまり好きでない言葉が「ガラケー」だ。これは、日本のフィーチャーフォンの進化が、世界のそれとは異なる道のりを経てきたことに対してやゆする意味合いで使われることが多い。日本のフィーチャーフォンは、スマートフォンに比べて“できること”が少ないとされているが、昨今、できることがより少ないスマートフォンが人気を博している。「iPhone 5s」と「iPhone 5c」だ。
筆者はAndroid歴とiPhone歴を比較すると、実は後者の方が長い。「iPhone 3G」と「iPhone 3GS」の発売時は深夜に行列して買ったほどだ。しかし、筆者は根っからのAndroid派になってしまった。それは、Android端末は総じてiPhoneよりも多機能で、足りないと思った機能があってもアプリでどうにかできてしまうことが多いからだ。要は、「Androidにできて、iPhoneにできない」ことが思いのほか多い、ということだ。「Androidにできて、iPhoneにできない」ことが多い、ということはiPhoneは、誰かがやゆしていた「ガラケー」の再来ではなかろうか、予感してしまう。
現に、多くのメディアは、世界的にはAndroid端末のシェアが高まっているというデータを提示している。地域によっては8割を超えているシェアを獲得しているというデータさえある。一方、日本はどうかというと、世界でもまれなiPhoneばかり売れる国であるという。この現象についても、ある種の「ガラパゴス」で、なぜか、日本のフィーチャーフォンを「ガラケー」と称する人にとっては、世界の潮流から外れていることで良くないことだと思う。しかし、指摘する人はなぜか少ない。とても不思議だ。
こんなことを言うぐらいだから、iPhoneなんてもう買わないよな、って思われるかもしれないが、迷いに迷ったあげく、iPhone 5sを購入した。スマートフォン初の64ビットプラットフォームといわれると、どんなものか試したくなるのがさがだからだ。しかし、iPhone 5と比べて感動があるか、といわれると正直あまりない。唯一、カメラがちょっと暗いところでも強くなったということ以外は、iPhone 5のほうがむしろろ良いんじゃないか、と正直思ったくらいだ。
新機軸の指紋認証センサー「Touch ID」も、筆者の指との相性が悪いのか、何度設定しなおしても上手く認証できない。それこそ、富士通のスマートフォンの方が手数は多くても精度は高い。日本語入力はiOS 7になっても抜本的に良くなったとは言いがたく、横並びで比較しないと分からない部分はあるが、文字入力ツールとしての使い勝手はどうしてもAndroid勢に劣る。
しかし、それでもiPhoneが売れてしまうのは、今までのAndroidスマートフォンがあまりにも品質面で問題があったこと、「みんなが持っているものがいい」という集団心理、「できることが少ないから簡単」といった理由があるのではと思う。筆者の職場ではiPhone 5s/5c発売以降、Android端末から乗り換えた人が6人ほどいたが、話を聞いた限り、Androidの方ができることが多い(つまり、iPhoneではできないことも多い)ことは百も承知で乗り換えたようだ。それほど従来のAndroid端末が不満だったのだろう。
日本でのiPhoneフィーバーは、単にiPhoneの方が魅力的である、という以上に、Android端末の不出来が要因として強く、結果として、新たな“ガラパゴス”を生み出してしまった要素が大きいのかもしれない。2014年、どんなに良いAndroid端末が出てきたとしても、この傾向が覆る見込みは当面はないだろうな、と正直思う。
そんなこんなで、結局は2012年と同じく、メインの携帯電話は「F-02D」のままだった。外装交換を実施の上、3年目に突入することとなった。筆者史上最も長く使っている携帯電話だ。やはり、通話と簡単なメール、そしておサイフケータイに絞ると、スマートフォンではちょっと、と思ってしまうのだ。スマートフォンは耳当たりが良くないし、ボタンを押して入力するのが一番確実だし、おサイフケータイはAndroidスマホだとトラブルが起こりやすいしで、結局ケータイ(フィーチャーフォン)が一番“スマート”だよね、と。
複数台持ちを解消できないで終わってしまった2013年。来年こそは、と何度言えば1台に絞れるのだろうか――もう、絞らない方がいいのかな?
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