本機のスペックは、CPUがAtom N270(1.6GHz)、チップセットはグラフィックス機能を統合したIntel 945GSE Express、メモリは1Gバイト(DDR2)と典型的なNetbookだ。これらの仕様は固定だが、ストレージは容量が160Gバイトの2.5インチHDD(5400rpm)、MLCタイプの16GバイトSSDか8GバイトSSDから選択できる。Mini 10のように250GバイトのHDDや64Gバイト/32GバイトのSSDを選べないのは残念だが、無線LANはIEEE802.11a/b/g/n(nはドラフト準拠)かIEEE802.11b/gに加え、Bluetooth 2.1+EDRを追加可能だ。また、OSはWindows XP Home Edition(SP3)かUbuntu 8.04(デルカスタマイズ版)が用意され、バッテリーも標準の3セルか大容量の6セルを選べる。ちなみにUbuntuとXPの差額は3150円と安価だが、Office Personal 2007(SP1)の追加は2万1000円となっている。
1つ覚えておきたいのは、Mini 9と異なりメモリスロットやストレージ(HDDベイ)には底面から簡単にアクセスできないことだ。HDDベイはキーボードユニットを外すだけで済むが、メモリスロットは本格的な分解作業が必要になるので、ユーザーレベルで気軽に換装するのは難しい。

ACアダプタはMini 10から形状が変更され、サイズは39(幅)×79(奥行き)×40〜50(厚さ)ミリ、重量は約190グラムと小柄だ(写真=左)。ただ、ケーブルが約2.5メートルと長いので持ち運びにはかさばる。底面からアクセスできるのは無線LANモジュールだけだ。キーボードユニットを取り外すと、HDDベイが現れる(写真=右)それでは、160GバイトHDDにWindows XP Home Edition(SP3)、6セルバッテリーを搭載した評価機のパフォーマンスをチェックしよう。基本スペックは従来のInspiron Mini 9と変わらないため、PCMark05では低消費電力のAtom Z系CPU(開発コード名Silverthorne)とIntel SCH US15W(開発コード名Menlow)チップセットを搭載した、上位モデルのInspiron Mini 10やMini 12と比べた。なお、Mini 12とMini 10のCPUはAtom Z530(1.6GHz)、OSはWindows XP Home Edition(SP3)でそろえ、ストレージはMini 10が2.5インチの160Gバイト(5400rpm)、Mini 12が1.8インチの80Gバイト(4200rpm)となっている。
PCの総合的なパフォーマンスを見るPCMark05では、計測できたCPU、Memory、HDDのいずれもMini 10vがリードしているのが分かる。MenlowのXP用ドライバが不完全なため、Mini 12やMini 10のグラフィックス関連のテスト結果は出ていないが、通常の操作でもIntel GMA 950のグラフィックス機能を備えたMini 10vのほうがレスポンスは良好だ。
バッテリーの駆動時間は、3セルバッテリーが公称値で最大3時間2分、6セルバッテリーが最大7時間2分だ。今回は6セルバッテリーを用いて、海人氏作のBBench V1.01を使って計測した。液晶ディスプレイの輝度を最高で、電源設定をポータブル/ラップトップにしてWeb巡回(60秒間隔)とキーストローク出力(10秒間隔)をオンにしたところ、5時間31分で残量がゼロになった。電源設定を変更したり、液晶ディスプレイの輝度を下げたりすれば、より長時間の動作が可能だろう。
Inspiron Miniシリーズ共通の特徴であるファンレス仕様は本機でも健在だ。耳障りな冷却ファンの風切り音がないのは好印象だが、システムに高い負荷をかけ続けると、CPUやチップセットが位置する右側面を中心にボディ全体が熱を帯びた。熱くて触れないほどではないが、Mini 12やMini 10よりは確実に発熱が激しくなっている。
良好なレスポンスと引き替えでやや熱を帯びやすいMini 10vだが、Ubuntu搭載モデルで3万4980円、Office Personal 2007(SP1)のセットパッケージで5万4980円とプライスパフォーマンスはInspiron Miniシリーズの中で群を抜く。確かに、上位のMini 10と比べると価格面でもう一声ほしいところだが(例えば、1366×768ドットの液晶と32GバイトSSDを組み合わせたMini 10のパッケージ価格は4万9980円)、これまでもひんぱんに価格改定を実施してきた同社の方向性を考えると、将来的な展開は期待できる。
本機は際だった特徴があるわけではないが、豊富なカラーバリエーションやBTOによるカスタマイズ、Atom N系のCPUを搭載したモデルでは珍しいファンレスボディを武器に、激戦が続くNetbook市場でも十分に戦っていけるだけの実力は備えている。
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