インテルは1月8日(日本時間)、32ナノメートルプロセスルールを採用した“Westmere”のデスクトップPC向けCPU“Clarkdale” とノートPC向けCPU“Arrandale”製品群を発表した(“Westmere”CPUの概要はインテル、32ナノプロセス世代“Westmere”CPUを“正式に”発表を参照のこと)。
Arrandaleの登場で、モバイルPC向けのCore i7シリーズには、4コア8スレッドに対応した“Clarksfield”モデルと2コア4スレッドでグラフィックスコアを統合した“Arrandale”モデルが混在することになる。エンドユーザーからは、これまでのコア数をベースとしたブランディングから、新たなCore i7、Core i5、Core i3といった分類に戸惑う声も少なからず聞こえてくる。
この新たなプランディング戦略の狙いは何かを、米Intel モバイルプラットフォームグループ コンシューマーPCグループ コンシューマークライアントマーケティング ディレクターのカレン・レジス氏に聞いた。
──Arrandaleのラインアップは、Core i7、Core i5、Core i3にまたがっており、Core i7ではデュアルコアとクアッドコアが混在している。この状況はユーザーにとって分かりにくくはないか。
レジス氏 Intelは、Core i7、Core i5、Core i3をそれぞれ、最高にいい、よりいい、いいと3段階に分類している。このレベル分けの基準は、コア数や動作クロックといったパフォーマンスのみをよりどころにしているわけではない。
モバイル用途では、携帯性や消費電力、バッテリーライフも重要な要素となるため、これらを総合的に評価したモバイル製品としてのプレミアム度を判断してブランド名を付けている。例えば、PCメーカーが非常に薄型のノートPCにIntelのCPUを採用して、ハイエンドの「プレミアムPC」として売り出したいと考えた場合、Intelとしては限られたフォームファクタの中で最大限の可能性をもたらすモデルを「プレミアムCPU」として提供する必要がある。また、携帯性や消費電力以外に、キャッシュ数やIntel Turbo Boost Technology(以下、TBT)の対応などの機能面も考慮している。
──今回のラインアップを見ると、 Core i3のモデル数がCore i5、Core i7よりも少ない。ボリュームが多いバリュークラスPCの需要を考えると、Core i3のラインアップがもっと多くてもいいのでないか。
レジス氏 Core i5とCore i3の大きな違いは、TBTのサポートだ。これは、1つのコアがスリープ状態になったときに、計算されていたTDPの余裕を利用して残りのコアの動作クロックを上げる技術だが、これにより、ユーザーはより高いCPUのパフォーマンスを享受できる。多少の金額を上乗せしてでも、ユーザーはこの機能に価値を見出すと我々は考えている。
──CULV版CPUをCore iシリーズのブランドでリリースしないのか。
レジス氏 どのブランドでリリースするかはまだ確定していないが、コンシューマー向けに価格設定をしたULV版“Arrandale”を2010年に発売する予定だ。
──日本ではCULV版CPUの定義が混乱している。例えば、超低電圧版で価格が安ければ、CeleronもCore 2 DuoもCULV版CPUと考えられている。Intelとして、CULV版CPUをどのように定義しているのか。レジス氏 “CULV”はIntel内部で使用していた用語で、公に定義することは想定していなかった。ただ、超低電圧版ということでは、“Penryn”アーキテクチャでCore 2 Duo、Celeron、以前にはCore 2 Soloも提供していた。
さまざまな価格設定で製品を展開をするPCメーカーに対しては、同じアーキテクチャでハイエンドからバリューモデルまでをカバーすることが重要と考えている。Arrandaleのブランディングに関する詳細はまだ話せないが、これまでと同じように、同じアーキテクチャで幅広いパフォーマンスと価格レンジをカバーしていくことになるだろう。
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