SamsungはIFA 2012で最も広い展示スペースを確保しているメーカーの1つだ。PC関連の展示も多数あったが、同社は日本市場にPC製品を出荷していないため、ここでは、Windows RT対応デバイスの「ATIV Tab」を紹介する。
IFA 2012では、複数のWindows RT対応デバイスが登場したが、そのほとんどが、ガラスケース内での展示、あるいは展示員が操作してデモをするのみで、来場者は操作できなかった。しかし、SamsungのATIV Tabは、実際に操作できる機材を多数展示していた。おそらく、ほとんどの来場者はこの場で初めてWindows RTを体験したことになる。
ATIV Tabが搭載するプロセッサは、Snapdragon S4のデュアルコア「APQ8060A」で、動作クロックは1.5GHzだ。APQシリーズはプロセッサのみの構成で、3Gモデムなどのチップセットは組み合わせていない。Qualcommが用意する開発者向けタブレットデバイスとほぼ同等のSoCで、そのカスタムバージョンとみられる。搭載するシステムメモリの容量が2Gバイトなのも、COMPUTEX TAIPEI 2012でQualcommが用意したWindows RTのテスト機材と共通する。

Samsungのブースでは、Windows RT対応の「ATIV Tab」を展示していた。公の場で一般の来場者が触ることができる初めてのWindows RT対応デバイスだ(写真=左)。プロパティでスペックを確認すると、搭載するプロセッサはSnapdragon S4のデュアルコアで動作クロックは1.5GHz、搭載するシステムメモリの容量は2Gバイトだった。これはCOMPUTEX TAIPEI 2012で確認したQualcommの開発者向けデバイスとほぼ同等だ(写真=右)インストールするWindows RTのBuild番号は「9200」で、これはWindows 8 RTMと同じだ。最終の製品版ということになる。だが、Windows RTに標準で搭載するというMicrosoft Officeについては、「Office Preview」というβ版をインストールしているなど、未完成な部分も見受けられる。製品発売までに最終版を搭載すると考えるのが一般的だが、10月26日発売というスケジュールから考えると、9月前半には最終版のソフトウェアを搭載する必要があり、このままでは「Windows RTはOffice Previewを搭載した状態で出荷して、製品発売時にOffice正式版へのアップグレードを配布する」といった事態も想定できる。なお、OSのみの状態でもメモリ占有率が高く、アプリ間におけるメモリ領域のやりくりは比較的厳しいとみられるが、展示機材の通常操作は軽快でストレスは感じなかった。このあたりは、Windows RTの実機を使って発売日以降に検証したい。

Windows RTは、Microsoft Officeをプリインストールするが、実際に起動してみると、展示機材でインストールしていたのはOffice Previewだった(写真=左)。Build番号は9200で、これはWindows 8 RTMと同じだ。とはいえ、Office Previewをインストールしていたり「Test Mode」と表示されていたりと、最終版らしからぬ部分が見受けられる(写真=右)

ATIV Tabの展示に関する説明。解像度が1366×768ピクセルであったりと、スペックはほぼ標準のもの(写真=左)。パフォーマンスモニタを確認すると、ほかにアプリケーションを起動していない状態でもシステムメモリを半分以上占有している。ただし、動作自体は軽快で不満はない(写真=中央)。本体上面にヘッドフォンジャック、電源ボタン、ボリュームコントロール、USB、Micro HDMI、micro SDカードスロットをそれぞれ確認できたIFAにおけるPC関係の展示は、発売直前ということもあり、Windows 8対応を訴求する製品が多数登場して盛り上がった。製品ラインアップもタッチ機能を搭載したモデルが多く、PCメーカーでも「クラムシェルタイプのノートPC製品であっても、タッチ操作に対応しておく」という意見が多い。
Microsoftも「タッチ操作に対応していないPCは、ユーザーから不良品とみなされるようになる」というほどタッチ操作へのシフトが進むと考えており、IFA 2012おけるPCメーカーの展示も、その意見を反映したモデルが多かったといえる。製品カテゴリとして、タッチ操作に対応する液晶一体型PCの復活も著しい。Windows 8の登場によって、PCの姿が大きく変わるかもしれない兆しをIFA 2012のPC関連展示は強く意識させる内容だったといえるだろう。
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