ベンチマークテストで振り返る2012年のCPUとGPUイマドキのイタモノ(2/3 ページ)

» 2012年12月31日 12時31分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

28ナノメートルプロセスルールへの移行で電力・パフォーマンスが向上

 2012年のGPUは、(正確には2011年末からだが)「28ナノメートルプロセスルール」への移行が最もホットなキーワードだった。口火を切ったのはAMDの「Radeon HD 7000」シリーズだ。1月から販売を開始した最上位モデルの「Radeon HD 7970」から始まって、以降、7000シリーズは上半期のうちにRadeon HD 7950ミドルローエンドまで一気に拡大した。

 Radeon HD 7970は、旧モデルのRadeon HD 6970に対し、3DMark 11のPerformanceで2100ポイントも上回った。当時最強のライバルであるNVIDIA GeForce GTX 580に対しても1300ポイント上回り、最速GPUの地位をAMDが奪還した。その後、シリーズを拡大した7000シリーズは、ひとつ下のグレードとなるRadeon HD 7850で前世代の最上位GPUであるRadeon HD 6970に相当するパフォーマンスを見せ、28ナノメートルプロセスルールを採用した新世代GPUをイメージ付けた。

Radeon HD 7950、Radeon HD 7800シリーズ、Radeon HD 7700シリーズを3DMark 11で測定する

 一方、NVIDIAが28ナノメートルプロセスルールのGPUを投入したのは、3月下旬だった。最初の製品は最上位のGeForce GTX 680だ。このGPUでは、2つの点に驚かされた。1つはパフォーマンスで、従来世代のGeForce GTX 580に対し、Radeon HD 7970が1000ポイント以上上回ったが、対するGeForce GTX 680も2700ポイントほど上回った。Radeon HD 7970に対しても1000ポイント以上高かったのだ。

 当時、そして現在もGPU負荷の高さで知られるゲームタイトルの「バトルフィールド3」では、フルHD環境でも快適そのものだ。さらなる高解像度でも快適といえるパフォーマンスで、2560×1440ドットによる超高精細なゲーム環境が、シングルGPUでも実用になる時代に突入した。実際、2012年下半期には、各社から2560×1440ドットに対応する液晶ディスプレイが登場した。

3DMark 11で、GeForce GTX 680にGeForce GTX 670、そして、GeForce GTX 660 Tiを測定する

GPUの自動オーバークロック機能で温度管理も“技”のうちに

 GeForce GTX 680でもう1つ驚いたのは、従来の同クラスのGPUを搭載するグラフィックスカードより基板が短く補助電源コネクタが少ない点だ。補助電源コネクタが少ないのは、GeForce GTX 580と比べて確実に消費電力が下がっているおかげで、Radeon HD 7970とほぼ同等、一部では下回り、これまで「省電力性ならRadeon HD」というグラフィックスカードの傾向を変えることにもつながった。ただ、メモリバス幅がGeForce GTX 580に384ビットに対し256ビットに抑えられていることなどを総合し、GeForce GTX 680には上位GPUが存在する、そしてそのGPUは2013年に登場する、と推測するユーザーは多い。

 AMD、NVIDIAとも、プロセスルール微細化とともにアーキテクチャを更新した。AMDは「Graphices Core Next」(GCN)、NVIDIAは“Kepler”と呼ぶ新世代のコアを採用した。特にKeplerではGPUを自動的にオーバークロックする「GPU Boost」を導入した。ベンチマークテストでは、このGPU Boostの効き具合がスコアを左右するため、GPU性能の比較検討を難しくした一方、パフォーマンス面での効果は高く、各社オリジナルクーラーユニットを採用するモデルでは、同じ動作クロックでもベンチマークスコアが大きく異るようになった。さらに、Radeon HD 7000シリーズの一部モデルでも似たような機能を採用するなど、PCにおいて、内部の温度管理がパフォーマンスを左右する要素として重要度を増した1年だった。

MSIの「N680GTX Twin Frozr III OC」を用いてGPU Boostの効果を3DMark 11で測定した。また、GPU Boostを無効にした状態と有効にした状態で動作クロックと消費電力の時系列変化も確認している

ミドルレンジでハイエンドゲームがカバーできる2013年

 2013年は、おそらく28ナノメートルプロセスルールのGPUが続く。40ナノメートルプロセスルールで世代を重ねたときと同様に、基本的にはアーキテクチャや回路の改良によってパフォーマンスを引き上げてくるものとみられる。ただし、NVIDIAに関してはGeForce GTX 680の上位モデルが本当に存在するのか、といった点に注目だ。

 一方、ゲームタイトル側を見渡すと、「美麗なグラフィックだけど負荷も凄まじい」というのではなく、「美麗なグラフィックをそこそこのグラフィックスカードで楽しめる」といった開発方針に変わってきているようだ。

 そもそも、GPUの高性能化に対し、3DグラフィックスAPIであるDirectXは11世代のまましばらく停滞している。10万円クラスのグラフィックスカードを複数組み合わせなければフルHDで最高画質が得られないタイトルが存在する、というこれまでの状況も異様だが、これからは、フルHDなら3万円台のグラフィックスカードで最高画質が楽しめる時代がしばらく続くと思われる。

 一方、6万円前後のハイエンドグラフィックスカードの主戦場としては、2560×1440ドットを超える超高解像度液晶ディスプレイやステレオ立体視対応、マルチディスプレイ環境といった用途が考えられる。マルチディスプレイに関してはOS、グラフィックスカード側の双方で環境が整い、液晶ディスプレイ自体も低価格化が進んだことから、ゲームはもちろん、日常の業務でも、普及が進むのではないだろうか。

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