ニュース
» 2012年08月08日 09時06分 UPDATE

LTE基地局、シールドルーム、車載型基地局――イー・アクセスが東京エンジニアリングセンターを公開

イー・アクセスが、東京都江東区にあるエンジニアリングセンターをメディア向けに公開した。運用中のLTE基地局、基地局を監視する設備、端末のリペアセンター、端末テスト用のシールドルーム、車載型基地局などが披露された。

[田中聡,ITmedia]

 イー・アクセスが8月7日、ネットワークの監視や無線機のテストなどを行う東京エンジニアリングセンターをメディア向けに公開した。同センター(5階建て)は東京都江東区に所在する。もともとあった物流倉庫をイー・アクセスが買い上げたもので、2008年7月から稼働している。今回はLTE基地局、ネットワークオペレーションセンター(NOC)、リペアセンター、シールドルーム、テストベッド、車載型基地局が案内された。なお、リペアセンターとテストベッドについては撮影が禁止された。

小型で低消費電力のLTE基地局

 屋上に設置してあるLTE基地局(エリクソン製)は、安全のためヘルメットを着用しての案内となった。基地局はベースバンドユニット(BBU)、リモートラジオユニット(RRU)、アンテナで構成される。BBUはキャビネットに収納されており、ここからLTEとW-CDMAの信号が送られる。バッテリーは小型だが、東日本大震災の際は6〜7時間ほど持ったそうで、説明員は、小型の設計かつ低消費電力で運用できることをアピールしていた。「従来からある他社の基地局は非常に大きく、(イー・アクセスの基地局は)他社では例を見ない(ほど小さい)設計では」。BBUから送られた信号は光ファイバーケーブルでRRUに送られ、RF信号に変換される。アンテナ部分は2011年秋ごろに初期型としてフィールドテストを兼ねて設計されたもので、現在は商用で使われている。このアンテナはMIMOにより2セクター分を収容し、半径300〜500メートルをカバーするという。

photophoto キャビネットに収容されたベースバンドユニット(BUU)。キャビネットは冷蔵庫ほどのサイズだ
photophoto アンテナユニットにリモートラジオユニット(RRU)が設置されている。なお、現在のフィールドテストではRRUは1台のみを使っているという

基地局を24時間365日監視するNOC

photo NOC

 ネットワークオペレーションセンター(NOC)では、ADSLからモバイルサービスまでを一極集中監視する。東京のほか、大阪にも同じような設備があり、東京と大阪の二重監視ができる体制になっている。同センターは2交代制のシフトで4シフトを採用しており、24時間365日、ネットワークを監視している。モバイルネットワークの基地局に障害があった場合、2時間で駆け付けて3時間で復旧させ、遅くとも1日以内には完全復旧するという。各基地局が正常な形で運用されているかどうかの“健康状態”を常時チェックしており、基地局ごとのスループットも把握できる。「セクターごとのスループット、伝送ネットワークのスピード、稼働率、CSSR(お客様のつながりやすさを表現するような値)をチェックし、障害が起きてからすぐに対応できるよう運用を続けている。その結果、通信サービスを開始してから大規模障害は一切起こしていない」(イー・アクセス説明員)

photophoto こちらは埼玉県の基地局マップ(写真=左)。基地局のスループットや伝送トラフィックなどを監視している(写真=右)

業界最速の3日で対応するリペアセンター

 イー・モバイルの端末に不具合や故障が発生すると、コールセンターとイー・モバイルショップで受け付け、そこからリペアセンターに端末が届けられる。スタッフが検査し、壊れていたら交換対応をするが、その際に「業界最速の3日で対応している」ことを特長としている。「お客様に宅急便で取りに行って1日、センターで検査をして交換対応をするまでに1日、それから出荷して届けるのに1日かかるので、計3日で対応できる」と説明員は話す。北海道や九州には宅配に時間がかかるため計5日となるが、これも業界最速だという。端末は1日140台ほど届き、月間で3000〜3500台に上る。常駐スタッフは約20人で、365日対応なので計35人ほどが在籍している。

 イー・モバイルの端末にはデータ端末、モバイルWi-Fiルーター、スマートフォンなどがあるが、「特に不具合が多い傾向の端末はみられない」(説明員)とのこと。ただ、「スマートフォンは落として画面を割る、Pocket WiFiは持ち歩くので水没させてしまう、データカードはPCに差したまま持ち歩くので、ぶつけてUSBコネクタ部分が破損するなどの申告がある」という。また、バッテリーを内蔵した端末などは「バッテリーだけを交換して選択できるように」といった場合もあるようだ。修理をするためにメーカーへ送ることもあり、「メーカーで中味を検査して、筐体も場合によって新品に交換することもある」そうだ。その場合、さらに3〜4日ほどかかり、長くても10日ほどだという。メーカー修理になると金額が変わってくるので、メーカーが修理する必要がある旨と見積もり金額をユーザーに伝え、それからゴーサインが出た段階でメーカーに依頼する……という流れになる。

シールドルームで150MbpsのLTEをテスト

 電波を完全に遮断するシールドルームは、技術基準適合証明(技適)を受けていない端末を試験する場合や、正式に割り当てられていない電波を試験する場合などに使われる。今回は「Pocket WiFi LTE(GL04P)」を使い、通信速度のテストが披露された。GL04Pは、20MHz幅の帯域を使うことで下り最大150Mbpsの速度を実現するLTEの「UE Category4」に対応しているが、イー・アクセスは現在1.7GHz帯で15MHz幅しか保有していない。そこで今回のテストではシールドルームで実際に20MHz幅を使い、どれほどの速度が出るのかが試された。基地局とアンテナは、シールドルームが設置された同じ部屋にあるものが使われている。テストでは、理論値に近い下り139Mbpsの速度が出ていた。

 説明員によると、テストは3GPPの標準規格に準じて行われるが、通信の安定性を見るために接続しっぱなしにしたり、負荷試験で長時間かけても問題ないかを見たりするため、シールドルームに10時間以上こもることもあるそうだ。さらに、テスト項目は1万以上と多岐に渡る。「10回テストして9回クリアすればOKというものや、理論値に対して9割のスピードが出ればOKというケースもある。W-CDMAからLTEへハンドオーバーさせるテストもここで行っている」(説明員)。帯域幅の調整も可能で、5MHz、10MHz、15MHz、20MHz幅に変更できるとのこと。なお、シールドルームの広さの規格は決まっていないそうだ。

photophoto シールドルームが設置された室内
photo 下り139Mbpsほどが出ていた

photophoto 2×2MIMOなので2つのアンテナを使っている。障害物のない理想的な環境なだけに、非常に高い数値が出ている
photophoto 試験用のアンテナと基地局を結ぶポート(写真=左)。シールドルームは5、6人入ると満員になるほど狭い(写真=右)

無線端末を検証するテストベッド

 交換機やネットワークインフラなど、無線関連の設備を検証するためのテストベッドも公開された。ここで紹介されたHuawei製のRRUは、UMTS(W-CDMA)とLTEをサポートし、これから検証に入る段階だという。iPadと大差ない小型サイズを特長としており、重さは約8.5キログラム。2×2MIMOに対応し、消費電力も抑えられている。小型サイズのため、主に屋内での使用を想定しているが、「カバレッジが小さくてもよいので、屋外のスポット対策をしたいときにも活躍するのでは」と説明員は話していた。見学中の室内では、Huaweiのエンジニアとイー・アクセスのスタッフがちょうど検証をしているところだった。検証が終わると正式契約を結び、その後、他の通信事業者でも商用展開が可能になるという。

LTEにも対応する車載型基地局

photo

 最後に、イー・モバイルの車載型基地局も公開された。現在東京にある2台がすべてで、先日開催された「FUJI ROCK FESTIVAL'12」や「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012」から運用を開始した。通信の混雑が予想されるイベントを中心に運用していくが、もちろん災害時には被災地への派遣を優先する構えだ。運用が開始されたばかりとあって「LTEに対応していることがポイント」(説明員)だという。ネットワークは有線ケーブルを引き込んだり、衛星通信などで確保する。アンテナは8メートルまで伸び、エンジンをかけなくても伸ばせるよう、電気を使わないポンプ式となっている。このアンテナで半径500メートルから1キロメートルをカバーする。車載バッテリーは60時間ほど持続する。電源については下部に備えた小型発電機を使うほか、外部電源を使えるようプラグも備えている。この2台を皮切りに、イー・アクセスは今後も車載型基地局をさらに増やしていく構えだ。

photophoto ポンプを使ってアンテナを伸ばしていく
photophotophoto 外部電源も利用できる(写真=左)。車内に基地局装置が置かれている(写真=右)

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.