NTTドコモは2月22日、次世代通信LTEサービス「Xi(クロッシィ)」の高速、大容量通信を活用した実験的なデモンストレーション「体験!Xi花粉ナビ」を実施した。
デモでは、「Xi端末を挿したPC」「PCに接続されたWebカメラ」「会場床に設置された日本列島の地図」を用意し、地図は地域ごとに11色に分けられていた。PCを持ちながら地図上に立つと、Webカメラが地図の色を認識し、地図情報をドコモの花粉センサーに送信する。それと同時にGoogle Earthのエリア画像を端末が受信し、PC画面に(ユーザーが立っている場所の)花粉の飛散量が表示されるという仕組みだ。地図情報や(Google Earthの)画像を瞬時にやり取りできるのは、下り最大37.5Mbps/上り最大12.5Mbps(一部屋内で下り最大75Mbps/上り最大25Mbps)の通信が可能なXiならでは。
このサービスの面白い特徴が、花粉の飛散量を表示するグラフィックだ。Xi花粉ナビの発案者であるアートディレクターの秋山具義氏が指揮を執り、一般の小学生(8歳〜12歳)が描いた花粉のイラストを地図上の表示に採用した。秋山氏は今回の取り組みを始めた経緯について「花粉の飛散量は目に見えるものではないので、それを見えるようにすることで、花粉の対策がしやすくなるのではと考えた。Xiの通信パワーを使えば、自分がいる場所にどれだけ花粉が舞っているかがすぐに分かる」と話した。
「花粉自体を示す細胞の写真を見せても気持ち悪いので、うまくキャラクター化できないか」と考え、花粉のアイコンにあえて子どものイラストを採用した。「キャラ化しても花粉症の辛さは変わらないと思うが、多少は緩和できるのでは」(秋山氏)。キャラクターのイラストは計40種類あり、モノクロで提出されたものに秋山氏が色を付けた。これらのイラストは、本当に花粉を見て描いてもらったものではなく、花粉のイメージを具現化したもの。「ニヤッと笑ってしまう感じがある」と同氏が評するように、子どもならではのかわいらしいイラストが集まった。なお、キャラクター制作に際してコンテストなどは行わず、秋山氏の呼びかけで集まった作品を採用している。
会場には、キャラクターをデザインした小学生20人も登場し、自分たちの“作品”を披露した。そのうちの1人は「花粉には嫌なイメージがあるけど、妖精を思い浮かべながらかわいくデザインしました。花粉は花から出ているので、花をポイントにした髪飾りをつけました」と解説。実際に色が付けられた自分の作品を見て「2色で出てきたので、双子のようでかわいい」と喜んでいた。
小学生たちがPCを持ちながら地図に立って、Xi花粉ナビを試すデモを実施。画面に表示された自分たちのキャラクターを見て喜んだり、地域によって花粉の飛散量に差があることに驚いたりしていた。1立方メートルあたりに(基準値を超えた)花粉が1つに対し、3体のイラストが表示される。当然ながら、花粉が多い場所にはイラストが密集する。
今回はデモ用ということで、Webカメラと大型の地図を用いてXi花粉ナビを実施したが、実際にサービスを提供する場合は、GPSの位置情報をもとに、現在地の花粉量を判定するといった利用法が想定される。また、現時点でXi対応機種はデータ通信端末しかないため、PCを用いてデモが行われたが、Xi対応のスマートフォンが登場すれば、スマートフォンへの展開も視野に入れている。全国でXi花粉ナビを利用するには、Xi対応エリアの拡大が前提となるが、Xi花粉ナビの商用化と提供時期については未定。
ドコモは花粉情報を閲覧できるWebサイト「ドコモ花粉ライブ!」を1月14日から4月30日まで提供している。同サービスは位置情報と連動しているわけではなく、ユーザーが入力した地域の花粉情報を見るもので、地図や花粉のグラフィックも簡易的なものだ。Xi花粉ナビで現在地の花粉情報をリッチな画像と地図とともに瞬時に見られるようになれば、より「効率よく」「楽しく」花粉対策ができそうだ。同社の今後の取り組みに期待したい。
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