ここ最近のAndroid OSはスマートフォンが「Android 2.x」、タブレットが主に「Android 3.x」に分かれていたが、Android 4.0はスマートフォンとタブレットの両方に向けたもので、シームレスに展開される。「スマートフォン、タブレット、テレビなど、いずれも1つのSDKで対応できる。開発者のサポートも含めて加速するのでは」とラーゲリン氏は期待を寄せる。日本ではすでにシャープがソフトバンク向けに“次期プラットフォーム対応”と銘打った「AQUOS PHONE 104SH」を発表しているが、「日本のメーカーを含めてAndroid 4.0をベースに展開するとの反応を受けている」(ラーゲリン氏)という。
現在のAndroidユーザーが気になるのは「自分が使っている端末がAndroid 4.0に対応するのかどうか」だろう。既存モデルのバージョンアップについてラーゲリン氏は「新しいOSを開発するときは、前回のリードデバイスで動くように作っている」と説明する。したがってAndroid 4.0は「Nexus S」で動作するよう開発されており、「Nexus Sに近いスペックのモデルなら問題ないのでは」と同氏はみる。Nexus SはCPUがシングルコアの1GHz、RAMが512Mバイト(外部リンク参照)。このあたりのスペックが参考になりそうだ。
Nexus Sをはじめ、現行Android端末の多くがディスプレイ下に物理キーまたはセンサーキーを搭載している(ソフトバンクの104SHもセンサーキーを搭載している)。Android 4.0ではこうしたキーの代わりにソフトキーが画面下部に採用されるが、既存端末をAndroid 4.0にアップデートした場合、物理/センサーキーとソフトキーの兼ね合いが気になる。確認したところ、物理/センサーキーを備えた端末の場合、ソフトキーは表示されず、これまでどおり物理/センサーキーで操作できるという。
今回のリードデバイス(Galaxy Nexus)の開発元には、Nexus Sと同じくSamsung電子が選ばれた。GoogleのMotorola Mobility買収後、リードデバイスの開発元はMotorola Mobilityになるのでは……といった憶測もあったが、モバイル分野の特許獲得が買収の主な目的とあってか、そのような流れにはならなかった。ラーゲリン氏はリードデバイス開発のパートナー選定にあたって「利害関係は捨てている」と強調する。「どの会社がパフォーマンスの優れた端末を作れるか。ディスプレイ、薄さ、バッテリーの容量、ソフトウェアエンジニアリングのリソースの与え方やスピード感を重視している」(同氏)
また、ラーゲリン氏は「Androidのエコシステムが崩れるのではと心配をかけないために(あえて)他社を選ぶ可能性が高いので、逆にモトローラがリードデバイスの開発元になりにくくなった」と他社に配慮するコメントも残した。
日本市場に目を向けると、Androidの強みは、ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイ、防水など「日本のニーズに合わせて作れることだ」とラーゲリン氏は考える。「日本ならでのニーズに応え、だからといって世界で置いていかれるわけじゃない。日本ユーザにとっては“いいとこ取り”の、最強のスマートフォンやタブレットを実現できるのでは」と期待を込めた。
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