新たな付加価値と事業創造で「ダムパイプ」にはならない――NTTドコモ 辻村副社長に聞く (後編)新春インタビュー(2/3 ページ)

» 2012年01月02日 07時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]

dメニュー/dマーケットが果たす役割

―― 2012年には、スマートフォン向けのコンテンツ/アプリ市場も非常に重要になってきます。ドコモは2011年に、dメニューとdマーケットを立ち上げたわけですけれども、今年はこれらをどのように育てていくのでしょうか。

辻村氏 dメニュー/dマーケットは、ドコモの考える(日本のお客様向け)カスタマイゼーションの1つの解答です。

 dメニューはiモードの進化形で、これまでiモードのフィーチャーフォンを使っていたお客様が混乱せず、なおかつスマートフォンでも使いやすくなるように腐心しました。一方、dマーケットは、アプリや動画・映像コンテンツを選びやすくするためのもので、ここには今後も様々なコンテンツが入ってきます。ドコモのスマートフォンを楽しんでいただくための重要なマーケットになっていきます。

―― 今のところdメニューはiモードの代替としてしか見えないのですが、中長期的な視野に立つと、HTML 5化などによってブラウザ型のコンテンツ/サービス提供は今後のトレンドになるポテンシャルがあります。dメニューの発展性について、どのように考えていらっしゃいますか。

辻村氏 おっしゃるとおり、HTML 5は重要なテーマだと認識しています。今のdメニューはiモードを受け継いだようなUIになっていますが、今後はdメニューらしい進化をしていかなければなりませんね。

マルチデバイス時代の中でも“テレビ”に注目する

―― 2012年に特に注力する分野はどのようなものでしょうか。

辻村氏 クラウドですね。ドコモでは、「パーソナルクラウド」「ビジネスクラウド」「ネットワーククラウド」の大きく3分野のクラウドサービスを開発していきます。

 この中でパーソナルクラウドは、いろいろなデータのお預かりサービスと、マルチデバイス環境を実現するためのものになっていきます。いろいろなデバイスをいかにシームレスに連携させるか。例えば、映像や電子書籍コンテンツを複数の機器で利用するといった時に、我々の利用環境はAppleの「iCloud」より遅れているのが実情です。ですから、(ドコモのパーソナルクラウドで)ここはできるだけ早く追いつき・追い越していきたい。

―― マルチデバイス化はKDDIも提唱していますが、ドコモとしても2012年に注力していくのでしょうか。

辻村氏 積極的に推進していきます。以前のインタビューでもお話ししましたが、2010年代は4〜5つのスクリーンによるマルチデバイス時代になります。ドコモとしても、ここにしっかりと取り組んで行かなければなりません。

―― スマートフォンとタブレット以外に、2012年に特に重視しているデバイスは何になるのでしょうか。

辻村氏 ) テレビです。50〜60インチのスクリーンサイズを持つテレビというのは、モバイルIT市場から見ても重要なものになっていきます。例えば、タブレットで見ていた映像コンテンツの続きを、テレビで見たいといったニーズは基本的なものとして存在するわけですよね。テレビ連携は今年注目になるでしょう。

 その他のスクリーンとしては、カーナビなども重要になっていくでしょうね。

―― テレビに関しては、KDDIがすでにスマートテレビ市場に参入する方針を示しており、Androidベースのセットトップボックス(STB)を来春投入すると表明しています。さらにKDDIは固定網やCATV事業もあります。一方でドコモは、NTT法の縛りもあって現在の体制では固定系のサービスに直接参入できません。ここで“屋内の領域”のテレビに、どのようにアプローチしていくのでしょうか。

辻村氏 方法は複数あります。テレビを直接FTTHなど固定網につなぐIPTVのやり方は確かにありますが、我々はテレビに(モバイルの)通信モジュールを搭載していく可能性も十分にあると考えています。さらにテレビに、タブレット端末を接続して使うことも考えられるでしょう。

―― 固定網やCATV事業がないことが一概に不利になるとは限らないわけですね。

辻村氏 お客様がどのような方法を求めていくかは、まだ分からないわけです。そのような中で我々としては、スマートフォンやタブレット端末で関係の深いパートナーメーカーとしっかりと(スマートテレビについて)協議していきます。シャープやパナソニック、ソニー・エリクソンを子会社化するソニーなど、テレビメーカーの方々ときちんと話し合い、タブレットとテレビをどうやって連携するのがいいのかを考えていきます。ここは2012年度をかけて重点的に取り組んで行きます。

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