異なるメーカー間で家電、PC、モバイルデバイスをLAN環境で相互接続できる規格が「DLNA」(Digital Living Network Alliance)だ。ここ数年で対応機器が増えて便利になった印象もあるが、DLNAはあくまでも接続面での共通規格であるため、対応するファイル形式や、ファイルを配信する“サーバ”になるのか、受信する“クライアント”になるのかは機器によって異なる。
「ARROWS X LTE F-05D」では、DiGiOn(デジオン)社製のDLNAソフト「DiXiM for Android」を採用している。このアプリは、サーバ機能を提供する「DiXiM Server」とクライアント機能を提供する「DiXiM Player」の2つから構成されている。ARROWS X LTEはServerとPlayerを両方搭載しているので、サーバとクライアントどちらにもなれる。アプリは「DiXiM」から起動できる。
DiXiM Serverでは、ARROWS X LTEで撮影した動画や写真などをDLNAクライアントに向けて配信したり、アップロードされた動画を保存したりできる。Androidスマートフォンで生成可能な動画・静止画・音声ファイルはおおむね配信可能だ。詳しい対応状況はDiXiM for Androidの製品情報サイト(外部リンク)で確認できる。ただし、先にも述べたが、クライアント側で扱えるファイル形式かどうかは確認しておきたい。今回、手持ちのDLNAクライアントとして、Windows 7 UltimateをインストールしたPCとソニーの液晶テレビ「BRAVIA KDL-32CX400」を使ったが、いずれもARROWS X LTE上の写真・動画データにアクセスできた。


サーバ機能を起動して有効になると、通知領域にDiXiMアイコンが出る(写真=左)。接続を許可するクライアントは個別設定できる(写真=中)。すべての機器からの接続を許可する場合は、「アクセス権の初期設定」にチェックを入れてから現れる画面を確認すればよい(写真=右)ただし、標準設定のままサーバ機能を使うと、画面が消灯する(ロックがかかる)たびに機能が停止してしまって非常に使い勝手が悪い。設定を変更することで、画面が消灯した状態でもDLNAサーバ機能を有効にできる。この設定は6時間ごとにクリアされてしまうので、都度設定する必要がある。
画面が消灯した状態でもサーバ機能を有効にしたい場合は、DiXiM Serverの設定画面の「画面ロック中の動作」にチェックを入れる。ただし、警告文にも出るとおり、6時間で設定が無効になってしまうので注意したいDiXiM Playerでは、他のDLNAサーバ上にあるファイルをストリーミング、またはダウンロードして再生できる。こちらも一般的に使用されているファイル形式にはおおむね対応しており、詳細は先述のDiXiM for Androidの製品情報サイトでチェックできる。このプレーヤーは著作権保護技術である「DTCP-IP」にも対応しているので、DLNA対応ハードディスクレコーダーなどで録画した番組をストリーミング配信したり、ムーブ機能を利用してオフラインで楽しんだりできる。動作確認が取れているDTCP-IP対応DLNA機器は、富士通のWebサイト(外部リンク)に掲載されている。
動作確認されていないNECの「ひかりTV」対応ハードディスク内蔵セットトップボックス「IS1050」で試してみたところ、録画した番組をストリーミング配信で視聴できた。ただし、高ビットレート、高画質・高音質の番組(特にBSデジタル放送の番組)では、ブロックノイズが多く発生することもあった。現行のハードディスクレコーダーの中には、比較的ハードウェアが貧弱なモバイルDLNA機器を想定して、録画時に自動でビットレートを抑えた動画も生成してくれるものもある。うまく活用できれば、ARROWS X LTEでも録画した番組を快適に楽しめるだろう。
もしかすると重宝するかもしれない機能が“リレー再生”だ。再生中の動画の続きを別の対応クライアントで視聴できるというものだ。BRAVIA KDL-32CX400がリレー再生機能に対応していたので試しに使ってみたところ、しっかり続きから動画が再生された。リレー後は、当該DLNA機器の再生コントロールも可能だ。バスルームで動画を楽しんだ後、自室や寝室に戻ったときに、より大きな画面でそのまま続きを見る、といったシーンで役に立つだろう。
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