第4回 テザリングの使い勝手は? SIMロック解除は可能?――「ARROWS X LTE F-05D」「ARROWS X LTE F-05D」の“ここ”が知りたい

» 2012年01月25日 18時36分 公開
[Sho INOUE(K-MAX),ITmedia]
photophoto 富士通製の「ARROWS X LTE F-05D」

質問:ダイヤラーやアドレス帳はどんな感じ?

 第3回では「ARROWS X LTE F-05D」の電話機としての使い勝手を調べてみたが、肝心の電話をかけるための「ダイヤラー」と「アドレス帳」(連絡先)についても、あらためて調べてた。

 ARROWS X LTEでは、一部機種を除きメーカーを横断して導入が始まったドコモ共通のダイヤラーとアドレス帳が採用されている。ドコモが提供する「spモードメール」や「声の宅配便」などのサービスと連携しやすいのが特徴だ。従来のiモードケータイを使っていたユーザーがスマートフォンで戸惑いやすい、自分の電話番号(マイプロフィール)の表示を簡単にできるよう工夫されている。ただ、通話中に出すキーパッドにちぐはぐ感があったり、履歴の一括削除がアプリ上では不可能だったりと、使い勝手の面では発展途上段階である印象だ。ソフトウェアの更新である程度改善されることを期待したい。

photophotophotophoto 発着信履歴(写真=左端)と、アドレス帳に登録されている連絡頻度を自動的にピックアップしてくれる「お気に入り」機能(写真=左中)。ダイヤラー画面はボタンが大きく押しやすく、「声の宅配便」やSMSとの連携がしやすい(写真=右中)が、通話中に出てくるキーパッドはAndroid標準のもののようで、大きい画面に小さく表示されており、やや押にくい印象(写真=右端)
photophotophoto 連絡先アプリもカスタマイズされている。iモードケータイの多くで採用されている横タブ式ではなく、Androidスマートフォンには多い縦に五十音で並ぶタイプのアドレス帳だ。右端のタブから枚プロフィールの表示も可能(写真=左)。検索機能を使えばすぐに探せる(写真=中)が、日本語名を探すのには若干面倒だと感じる。グループ検索機能も用意されている(写真=右)
photophoto 連絡先の登録画面(写真=左)。「コミュニケーション」タブでは、spモードアプリなども含めた送受信・発着信の履歴を一覧できる(写真=右)

質問:テザリングの使い勝手はどう?

 ドコモのAndroidスマートフォンでは例外なく使えるようになったテザリングは、Android OS標準の機能を用いているモデルが多いが、キャリアやメーカーの措置によって使い勝手が大きく変わってしまうことがある。

 ARROWS Xの場合、USB接続と無線LAN(Wi-Fi)によるテザリングに対応している。いずれも設定画面の「無線とネットワーク」の中のUSBテザリングは仮想ネットワークカードとしてPCに接続することになる。Windows Vista/7にはOSに標準で仮想ネットワークドライバが備わっているため、別途ソフトウェアを用意することなく利用可能だ。Windows XP(Service Pack 2以降)の場合は、富士通のWebサイト(外部リンク)から別途仮想ネットワークドライバーをダウンロード、インストールした上で接続すればよい。USBテザリングの注意点は、事前にWi-Fiをオフにしておくことだ。そうしないと、テザリングの通信が正常に行えない。自動では切れないので注意しよう。

photophoto 仮想ネットワークドライバの導入が終わったPCに接続すると、USBテザリングを有効にできる(写真=左)。USBテザリングが有効な場合は、通知画面に青色のUSBロゴが出る(写真=右)

 Wi-Fiテザリングでは、最大8台の無線LAN機器を同時に接続できる。AndroidスマートフォンのWi-Fiテザリングの場合、セキュリティ設定がWPA2(あるいはそれに加えてWPA)しか選べない場合も多いが、ARROWS XではWEPでも接続できる(暗号化は64bit、128bit両方に対応)。WEPにしか対応していない無線LAN機器(ニンテンドーDSなど)でインターネット接続が必要になった場合は役に立つだろう。メーカーごとに異なる無線LAN設定の簡易設定は、バッファローが推進しているAOSSや、Wi-Fi Associationが推進しているWPS(Wi-Fi Protected Setup)に対応している。後者はPIN(暗証番号)方式とプッシュボタン方式の両方を使える。

 なお、Wi-Fiテザリングのオン/オフは設定画面に移らずに通知画面でも設定できる。タップして、テザリング時の注意事項を読んだ後にOKをタップすればWi-Fiテザリングが準備される。Wi-Fiテザリングをオンにした際にクライアント接続が有効だと自動的に無効となり、テザリングが終了すると自動的に元の状態に戻る。

 USBテザリングとWi-Fiテザリングは同時に有効にできる。これを利用すれば、理論上はUSB接続1台に無線LAN接続8台と、最大9台までのテザリングが可能となる。

photophotophotophoto 無線LANの暗号化対応は、Androidスマートフォンとしては充実している(写真=左端)。Wi-Fiテザリングが有効になると、通知領域に青い電波を模したアイコンが出る(写真=左中)。簡易設定はAOSSとWPSに対応(写真=右中)。Wi-Fiテザリングの切り替えは通知画面でも行える(写真=右端)
photo USBテザリングとWi-Fiテザリングは共存可能だ。通知領域に青色に二重丸のアイコンが出る

photo テザリング中は、ユーザー設定を問わず、あらかじめ設定されたspモード加入者のみ利用できるアクセスポイント(不可視)に強制的につなぎ替えられる。設定もテザリングしている間は変更できなくなる

 ここで少しドコモのスマートフォン事情に詳しい読者の皆さんが気になるのが、FOMAのAndroidスマートフォンでは、テザリング時に強制的にspモード加入者のみ使えるテザリング専用アクセスポイント(APN)につなぎ変えてしまう仕様が、Xi対応のARROWS Xでも健在なのかという点だ。残念ながらこの仕様は健在だ。テザリングを有効にすると、今まで利用していたアクセスポイントとの接続を切断し、ユーザーが自由に設定できないspモード加入者専用のテザリングアクセスポイントにつなぎ直すようになっている。テザリングを無効にすると自動的に元の設定に戻る。また、テザリング時にアクセスポイントを変えようとしても、設定項目そのものがグレーアウトして設定できなくなってしまう。

 「Xiパケ・ホーダイ」を契約すると、mopera UをはじめとするXi対応のアクセスポイントであれば一律同じ上限額で使えるはずなのに、このような仕様にしてしまったことは、いささか疑問である。この仕様はその他のXiスマートフォンも共通で、メーカーではなくドコモの都合のためであると思われる。改善を期待したい。

質問:SIMロックの解除には対応している?

photo 端末の状態の「SIMロック状態」が「SIMロック解除」であれば、SIMロック解除に成功している

 ドコモの携帯電話は、2011年4月以降に発売されたものについて、原則として別途手数料(3150円)を支払うことで、どの携帯電話事業者のSIMカードでも使えるようにする「SIMロック解除」に対応している。ARROWS Xについても同様で、ドコモショップに行って手数料を支払った上で所定の処理をすることで、SIMロックが解除される。解除されているかどうかは、設定画面から確認できる。メニューの「端末情報」にある「端末の状態」をタップし、画面の一番下にある「SIMロック状態」が「SIMロック解除」になっていれば解除された状態だ。

 SIMロック解除後、手持ちで唯一、契約が有効なmicroSIMである、ソフトバンクモバイルのiPhone 4/4S用「マイクロUSIMカード(A)」を挿してみた。すると、ロック解除前は認識すらしなかったカードが認識したものの、どうしても電波をつかめる状態にはならなかった。なお、ドコモのSIMロック解除端末の動作状況一覧(外部リンク)によると、ARROWS X LTEにソフトバンク端末のSIMカードを挿しての通話・SMS通信実績はあるので、iPhone以外のSIMカードなら利用できる可能性が高そうだ。

 端末としては、900/1800/1900MHz帯のGSM、800/2100MHzのW-CDMAに対応しており、該当周波数帯を利用している通信事業者のmicroIMカードを入れて、しかるべき設定を行えば通信可能になるはずだ。

photophoto 試しにソフトバンクモバイルのiPhone用「マイクロUSIMカード(A)」を入れてみると、カードは認識するものの、通信できる状態にできなかった

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