“隠れた本命”Optimus G pro発売/DeNAの音楽サービス「Groovy」開始/日本通信とKDDI、SBMの相互接続は実現する?石野純也のMobile Eye(3月26日〜4月5日)(2/3 ページ)

» 2013年04月05日 23時35分 公開
[石野純也,ITmedia]

DeNAが音楽×コミュニティの新サービス「Groovy」を開始

 DeNAは3月26日、音楽サービスの「Groovy」を発表した。同日から、Android向けのGoogle Playでアプリをダウンロードできる。

photophoto DeNAが新たに開始した音楽サービスの「Groovy」(写真=左)。会見には、守安功社長のほか、新事業を担当した島田智行氏が登壇(写真=右)
photo ビジュアルを多用し、ネット経由で歌詞を取り込めるなど、音楽プレーヤーとしての魅力も備える

 同社の代表取締役社長、守安功氏が「Groovyならではの新しい音楽の楽しみ方を、多くの方に体験していただきたい」と言うように、既存のアプリにはない、新たな仕組みを取り入れている。主な特徴は3つだ。1つ目が「ビジュアルを多用していること」(DeNA ソーシャルプラットフォーム事業部 島田智行氏)。文字ではなく、ジャケット写真を多用したUI(ユーザーインタフェース)になっているため、楽曲を選択しやすい。Groovyは標準の音楽プレーヤーの代わりにもなり、端末内に取り込んだ楽曲を再生できる。一部の楽曲では、ネット経由で取得した歌詞まで表示される。

 2つ目に注目したい特徴が、ソーシャルサービス的な側面だ。島田氏が「(世の中にあると仮定した)100万曲を1日平均の40分で割ると、200年かかる。一生かかっても聴き終えない膨大な楽曲の中から、その人に合った楽曲をお届けする」と話すように、Groovyには、ソーシャルネットワークサービス(SNS)の仕組みを応用した、好みの音楽に出会える仕組みが用意されている。特定のアーティストの曲を繰り返し聴くことで自動的に「ファン」になり、その情報がフィードに流れるようになる。ほかのSNSと同様、ユーザーをフォローすることも可能。聴けば聴くほど、自分の好みに合った楽曲が集まりやすくなるというわけだ。

photophotophoto 音楽を聴いていると、自動でファンになり、フィードに情報が流れ出す。ここから、近い趣味のユーザーを探し出すことも可能だ

 最後の特徴は、楽曲の販売方式にある。現在の音楽販売は、月額料金を払って楽曲が聴き放題になるサービスか、1曲ずつ課金されるアラカルトのサービスのどちらかが中心だ。前者にはソニーの「Music Unlimited」やauの「うたパス」、後者にはAppleの「iTunes Store」やレーベルゲートの「mora」などが該当する。一方、Groovyには「あえて定額制を採用せず、1曲ごとに課金される方式を採用している」(島田氏)。DeNAは17枚のチケットを99円で販売。このチケット1枚で、ストリーミング再生で1曲を丸々聴くことができる。また、ストア機能もあり、「気に入った楽曲はダウンロードできる」(同)。

photophotophoto 1曲丸ごと再生できるチケットを、17枚99円で販売する。キャリア課金にも対応。DRMフリーの楽曲をダウンロード販売するストアも、あわせてオープンした

 Mobageのソーシャルゲームが売上の中心を占めているDeNAだが、最近では「多角化を進めている」(守安氏)。LINEに対抗するメッセージ&無料通話アプリの「comm」をリリースしたのも、その一環だ。Groovyで音楽サービスに乗り出した理由を、守安氏は次のように語っている。

 「我々の主力事業はMobageでありソーシャルゲームで、積極的に海外にも展開している。その気持ちは変わっていない。ただ、これだけスマートフォンが広がってきた中で、ゲーム以外のものにチャンスもニーズもある。その中の1つが音楽で、今後もいろいろなジャンルのものを作っていきたい」

 DeNAはライバルのGREEなどと比べ、コンプガチャ騒動の影響も少なく業績は比較的堅調に推移している。ただ、各社が軒並み安定して成長していた時代は終わった。ソーシャルゲームというジャンル自体が飽きられれば、一気に衰退していくリスクも抱えているわけだ。一方で、「LINE」や「パズル&ドラゴン」のように、突如として現れ、市場を席巻するサービスが生まれるのも、スマートフォン市場の面白いところだ。DeNAが新規事業にチャレンジしている背景には、このような事情があると見てよさそうだ。

photo 報道陣からの取材に応じる守安社長

 チャレンジという意味合いが強いサービスのため、最初は少数精鋭でサービスを立ち上げている。守安氏によると、Groovyに関わっているのは「エンジニア以外も含めて全体で十数名」とのこと。今後の成長次第では、commのように人員を増強する可能性もある。

 島田氏が「お客さまの声を聞きながら、日々進化させていきたい」と述べているように、リリースから約1週間で、すでに2回のアップデートもあった。一方で、実際に使ってみるとまだまだ課題もあるように感じた。1つが、プレーヤーとしての性能だ。残念ながら、Groovyは現時点でイコライザーなどの音質調整機能を備えていない。音楽の楽しみ方は人それぞれで音質だけがすべてではないが、ストアで配信する楽曲のビットレートが320Kbpsであることを考えると、やはり設定項目はもう少し増やしてほしい。

 ソーシャルサービスとして楽しむには、ユーザー数もまだ少ない。FacebookやTwitterでつながっているユーザーの検索はできるが、試してみてもヒットしたのはまだ数名だった。鶏が先か卵が先かの議論になりそうだが、Groovyを盛り上げるためには、ユーザーを獲得するための宣伝活動も今上に力を入れる必要がありそうだ。

 今後は、iOSでのサービス開始も目指す。アプリは「現在開発中」(守安氏)とのこと。Google PlayとApp Storeの規約が違うため、「楽曲ダウンロードの部分は変わる可能性もあるが、キモの部分は同じにする」(同)予定だ。音楽との相性がいいiPhone対応によってユーザーが増えれば、ソーシャルサービスとしての魅力も増していくだろう。

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