“隠れた本命”Optimus G pro発売/DeNAの音楽サービス「Groovy」開始/日本通信とKDDI、SBMの相互接続は実現する?石野純也のMobile Eye(3月26日〜4月5日)(1/3 ページ)

» 2013年04月05日 23時35分 公開
[石野純也,ITmedia]

 春商戦も終盤に差しかかった中、5インチのフルHDディスプレイを搭載し、バッテリーも3000mAhと大容量の「Optimus G pro」が、4日に発売された。これに先がけ、LGエレクトロニクスは記者会見を開催。グローバル版との違いや、LGの戦略を解説した。DeNAが始めたスマートフォン向けの音楽サービス「Groovy」も、この2週間で話題を集めたサービスの1つだ。また、3月28日には、日本通信がKDDIとソフトバンクに対して相互接続の申し入れを発表している。今回の連載では、この3つを取り上げ、解説を加えていきたい。

春モデルの「隠れた本命」、Optimus G proが発売へ

photo 4月4日にドコモから発売された、LGの「Optimus G pro L-04E」

 NTTドコモは4月4日、LGエレクトロニクス製の「Optimus G pro L-04E」(以下、Optimus G pro)を発売した。これに先がけ、LGは都内で記者説明会を開催。LGの強みや、Optimus G proの売りを解説した。

 Optimus G proは、5インチ、フルHD(1080×1920ピクセル)のディスプレイを搭載したAndroidスマートフォン。防水には対応していないが、その分、バッテリーを3000mAhと大容量化することが可能になった。バッテリーの容量を重視したのは、「最近のスマホに関する調査を見ると、ほぼすべての結果で一番の不満が電池関連になっている」(LGエレクトロニクス・ジャパン モバイルコミュニケーションプロダクト課長 キム・ヒチョル氏)ためだ。LGは海外メーカーとしてはいち早く日本市場でニーズの高かった防水に取り組んできたメーカーだが、「防水を入れてサイズを大きくしたり、バッテリーを減らしたりすることも検討したが、最大容量を搭載することにした」(同)、今回の端末ではバッテリーの持ちに重きを置いた。

 「カタログで把握できる数字だと、連続待受時間が3Gで470時間、LTEで460時間と、春モデルの中でも一番長い。他社は『2日使える』と言っているが、うちはそれ以上を目指してがんばっている」(ヒチョル氏)

photophotophoto LGエレクトロニクス・ジャパンでドコモ向けの企画を担当したキム・ヒチョル氏(写真=左)。駆動時間に対する不満を解決するため、3000mAhの大容量バッテリーを搭載した(写真=中、右)

 「LGの強みは垂直統合にある」(LGエレクトロニクス・ジャパン PR&デジタルマーケティング次長のキム・ドンゴン氏)といい、自社で製造するディスプレイにもこだわった。5インチ、フルHDというスペックもさることながら、製造工法にも新たな手法を取り入れ、ギャップレス化を行っている。ヒチョル氏によると「液晶と液晶を保護するガラスの間に、タッチセンサーを形成するフィルムやエアギャップ(空気層)などがある。今回はこれらをすべて取り除き、タッチパネルを形成するフィルをすべてカバーガラスに埋め込む工法を取っている」という。

photophotophoto デバイス開発も手掛けるLGの強みを「垂直統合」と説明するキム・ドンゴン氏(写真=左)。グループで開発した5インチ、フルHDのディスプレイには、タッチセンサーとガラスを一体化させる新たな手法を採用した(写真=中、右)

 これによって、ディスプレイに表示されるさまざまな映像が、ガラスに直接投影されているかのように見える効果を得られる。他社の端末にも似た手法は採用されているが、操作性や視認性の向上につながるだけに、うれしい改善だ。

 一方で、韓国で発売中のOptimus G proには、5.5インチ、フルHDのディスプレイが搭載されている。なぜ日本版は5インチになったのか。ヒチョル氏はその理由を次のように説明する。

 「ベースモデルをそのまま世界で展開できれば、会社の利益上はいい。ただ、それだけでは日本の市場で通用しないことは、重々承知している。現時点では片手で扱えるサイズが重要。液晶のサイズも、日本向けには5インチにカスタムして投入した」

photo 左が5インチのドコモ版で、右が5.5インチの韓国版。画面サイズの変更に伴い、横幅もスリムになった

 もちろん、日本でもスマートフォンのディスプレイは徐々に大型化しており、1年前と比べれば、5インチでも十分大画面と呼べるサイズだ。形状によっては、片手での操作にも限界がある。ただ、大画面化のプロセスがほかのアジア地域とは少々異なり、いきなり5.5インチにステップアップするというより、0.1〜0.2インチ刻みで、徐々に大きくなっているのが現状だ。

 実際、海外、特にアジア地域で圧倒的な人気を誇るGALAXY Noteシリーズも、まだまだ日本では大ヒットしているとは言いがたい。一方で、春モデルの5インチ端末は売れ筋になっている。こうした市場の反応を考えれば、この選択は正解だったように思える。韓国ではBluetoothでの通話が一般的で、キーボードが両手入力に最適化されているが、こうした文化が日本に根づいていないのも、5インチというサイズにこだわった理由だ。ヒチョル氏も「日本だと耳に当てていないと違和感があるが、韓国では手にしっくりくる大きさは重要視されていない。それより液晶が大きく、コンテンツを楽しめることが重要視されている」と語っている。

photo 言語の違いに加え、通話方法の文化の違いもディスプレイのサイズを変更した理由だ

 スペックにこだわるOptimus Gシリーズだけに、Optimus G proは、CPUやマルチタスクにも優れている。CPUはQualcommの「Snapdragon 600」に属する「APQ8064T」を採用しており、クロック数は1.7GHzと非常に高い。

 「1.7GHzのSnapdragon 600もLGのみ。なぜLGだけかと言うと、CPUメーカーとの関係や、チューニング力があるから。基幹部品をちゃんとコントロールできるのは、ストロングポイントだと認識してほしい」(ヒチョル氏)

 こうしたパワーを生かし、「Qスライドアプリ」と呼ばれるミニアプリを最大2つまで起動できる、UIの工夫も盛り込んだ。

photophotophoto Qualcommの「Snapdragon 600」にあたる、「APQ8064T」を採用する(写真=左)。こうしたスペックを生かし、Qスライドアプリを2つまで起動できるUIを実現した(写真=中)。アプリの呼び出しは通知から行う(写真=右)

 このOptimus G proは「隠れた本命」だとヒチョル氏は自信をのぞかせる。一方で、Optimus G proは発売が4月になり、日本の通信業界最大の商戦期である3月を逃してしまった。「もともとはもう少し早い発売で進めていたが、カスタムの度合いに引っ張られてしまった」(同)というのが、その理由だ。日本市場を重視した開発姿勢は評価できるが、発売時期が遅れてしまったのはLG側の誤算だ。グローバル端末からの変更を少なくすれば、発売のタイミングはコントロールしやすくなるが、日本市場に最適化していないとどうしても端末は売れない。このトレードオフのバランスをどう取っていくのかは、世界で活躍するメーカーにとって常に悩ましい課題といえるだろう。

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