日本通信は3月28日、KDDIとソフトバンクモバイルに対し、相互接続の申し入れを行った。現在、ドコモとの間で実現している「レイヤー2」での接続を目指す。
相互接続にはレイヤー2とレイヤー3の2つがあり、前者はネットワーク内にMVNOがパケット交換機などを設置することで、認証やセッションの管理が可能になる。コストや運用のノウハウが必要な半面、サービスの自由度を出せるのが特徴だ。日本通信は現在、ドコモのMVNOとしてサービスを展開しているが、これもレイヤー2接続で実現している。ドコモの回線を利用しながら、ドコモとは異なる料金プランを打ち出せているのも、ここに理由がある。
日本通信は、KDDIとソフトバンクモバイルに相互接続を申し入れる目的に、「ネットワークの冗長性」や「カバレッジの広いLTE」を挙げている。同社によると現時点では具体的なサービス内容は決まっていないとのことだが、バックアップとして複数回線を使ったり、複数のネットワークにつながるSIMカードを1つの料金プランで提供したりといった選択肢を取れるようになる。
申し入れをされたKDDIは、「当社としてはMVNOの接続申し込みがあればすべて受け付けて、協議の上検討を進めます」とコメント。ソフトバンクモバイルも「粛々と協議を進めていく」と述べている。MVNOとの相互接続は、各社が公開している接続約款に基づいて料金や条件などが決められる。接続約款は「第二種指定電気通信設備」を持つ事業者に届け出の義務がある。ソフトバンクモバイルも2012年にその対象となり、接続約款を公開したばかり。大手3社の接続約款がそろったタイミングで、日本通信がKDDIとソフトバンクモバイルに対して接続の申し入れをした――とみることもできそうだ。
このようにルールが決まっている一方で、原価の算出方法などでMVNOとMNOの見解が一致しないケースもある。日本通信はドコモとの相互接続を2009年に実現したが、原価の算出方法については、総務省を巻き込む形で対立が続いていた。2社ともレイヤー2接続の事例が今のところなく、交渉がスムーズにまとまるかは未知数ともいえる。
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