WWDCでは、2015年秋公開予定となる「iOS 9」の紹介にかなりの時間が割かれた。ひとつ注目しておきたいのが対象機種の多さだろう。
iOS 9では、最新モデルとなるiPhone6/6 Plusはもちろんのこと、iPhone 5/5s/5c、さらにはiPhone 4Sまで対象機種だ。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年6月13日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
iPhone 4Sは2011年秋に発売された機種であり、iOS 9がリリースされるころには丸4年も経過することになる。
一方、iPadもiOS 9ではiPad 2からアップデート対象機種だ。iPad 2も2011年春の発売である。
これらの対象機種は、iOS 8と同じだ。iOS 9がどちらかといえば、iOS 8のマイナーバージョンアップ的な位置づけと言えるため、対象機種が同じなのは当然かもしれない。しかし、4年前の機種でも、最新OSを使えるというのは、やはりユーザーにとっても大きな魅力となるし、サービスやアプリを提供する側としても、何かとありがたい存在と言えるだろう。
世界的に見れば、新興国などはiPhone 4Sがいまだに中古品で人気のところも多い。ヨーロッパやアジアなどは、アップルストアでも最新モデルでなく、値頃感のある型落ちモデルの新品を購入していく消費者も結構見かける。
最新モデルが飛ぶように売れるのは割賦販売やキャンペーンが充実している日本や一部の先進国であり、他の国は意外と型落ちモデルが売れ筋だったりするのだ。
その点、アップルは、過去モデルもしっかりとバージョンアップ対応機種にすることで、アプリやサービス提供会社の負担を下げようという努力が感じられる。
一方、この点で大きく差をつけられているのがAndroid陣営だろう。
特に先頃、NTTドコモがAndroid 5.0へのバージョンアップ予定製品を発表したが、そのなかにXperia Z1などが含まれていなかったことが話題となった。
Xperia Z1は2013年10月末に発売されたモデルであり、わずか1年半前の機種でさえ、対象機種から外れてしまったのであった。グローバル版が対象機種に含まれていることから、キャリアの都合であることは明らか。これではユーザーからの不満が上がってもおかしくない。
「最新OSを末永く使える」という点で、アップル・iOSのほうがユーザーフレンドリーと言える。将来的にスマホのOSは画期的な進化はしづらいといえるが、やはり「OSをアップデートして最新機能を使える」というのはスマホの魅力のひとつでもある。
このようなキャリアカスタマイズされたAndroidの裏切りが続くようであれば、ユーザーのAndroid離れを引き起こし、さらなるiPhone人気が加速するだけなのかもしれない。
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