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» 2010年01月19日 10時30分 公開

“Fermi”を採用したGF100の機能をデモ画面でチェックする (3/3)

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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GT200比2倍になったPhysXの実力

 リアリティという意味では、物理シミュレーションも重要な役割を果たす。NVIDIAが“第3のプロセッサ”という物理演算プロセッサ(PPU)の「PhysX」を開発した米AGEIA Technologiesを買収したのが2008年2月のことで、現在ではGeForceの一部として生き続けている。

 GF100ではPhysXのパフォーマンスも向上しており、GT200比で2倍近いメリットを享受できるという。PhysXでは液体の混ざり合うデモなどがよく取り上げられているが、GF100では、「Dark Void」というFPSゲームを使ったデモが紹介された。Dark VoidではPhysX効果をオンにすることで、武器のヒット効果や破片の飛び散り、ジェットパックの噴煙など、さまざまな表現が物理シミュレーションでリアルに描画される。

Physis Warter,,物理シミュレーションも映像のリアルさを表現する手法の1つだ。PhysXのパフォーマンスもGT200世代から大幅向上しており、約2倍のスピードになった(写真=左)。「Dark Void」というPhysXを使ったFPS。弾を水面に撃って上がるしぶきや光線、ジェットバックから出る煙などでPhysXの物理シミュレーションが使われている(写真=中央、右)

 究極のリアリティという意味で、レイトレーシングも忘れてはいけない。反射光などの複数の光源を計算に組み込むことで、フェイクではないリアルな映像表現が可能になる。計算のスピードアップのためにゲームでは簡略化されることが多いが、GF100の高い計算能力でレイトレーシング映像をかなり高速に算出することができる。

 とはいっても、GF100のレイトレーシングは従来型のマイクロレンダリングではなく、GPUラスタライザを利用したハイブリッド型となっている。リアルタイムでゲームに応用できるほどのフレームレートは難しいが、レイトレーシングの計算量を落とすことで描画がスムーズになるため、ある程度のトレードオフが必要になる。それでも、GF100ではキャッシュメモリの構造に改良を加えているため、GT200と比較してレイトレーシングで大きなパフォーマンスメリットを得ることができる。

 このほかNVIDIAでは、「Nexus」というコード名の開発ツールの準備を進めている。これはマイクロソフトの統合開発環境(IDE)であるVisual Studioに統合されるもので、1つのIDEで通常のCPUソフトウェアプログラミングだけでなく、GPUプログラミングも行えるようになる。

 これまで、GPUプログラミングでは作成したソフトウェアが暴走するたびに本体をリセットする作業が必要だったが、Nexusでは仮想化環境を利用したリモートデバッグ形式によってGPU上でプログラムを実行できるため、メインのCPUは実行状態の影響を受けない。またブレークポイントなどを設定してオブジェクトの描画やエラーをチェックできなど、IDEのメリットを十分に享受できる。

高いパフォーマンスを生かしたレイトレーシングもGF100の魅力の1つだ。車体の映り込み表現からリアルな光源計算が行われていることが分かる。アクションゲームができるほどの描画能力はないが(コマ送りレベル)、それでもリアルタイムでレイトレーシングを行っているとは思えないほどのスピードを実現する。車体の色などをすぐ変更できるため、ディーラーの店頭デモでも使えるだろう(写真=左)。NVIDIAが初のCPU+GPU開発ツールと呼ぶ「Nexus」(開発コード名)。マイクロソフトのVisual Studioに統合されており、仮想環境を利用したリモートデバッギングや、ブレークポイントを利用したオブジェクトの詳細な調査など、GPU処理の追跡が行える(写真=右)

GF100のすべてを試せる「Rocket Sled」デモ

 Fermiではアーキテクチャに改良が加えられ、ボトルネックを解消しつつ、高いパフォーマンスの実現に主眼が置かれている。そうやって得られたパフォーマンスを使って高品質な画像表現を実現するわけだ。

 その、GF100が持つすべての機能を導入したデモが「Rocket Sled」だ。ロケットエンジンを搭載した“そり”にパイロットを乗せ、荒野に敷かれた線路を疾走するものだが、ロケットエンジンが吹き出す炎や煙は物理シミュレーションで処理され、地形やパイロットの滑らかな表面はテッセレーションが利用されている。


GF100に盛り込まれたすべての機能を詰め込んだRocket Sledのデモ。ロケットエンジンを搭載した“そり”にパイロットを乗せ、荒野に敷かれた線路を疾走する。地形はテッセレーションで描かれ、エンジンの煙や炎は物理シミュレーション、そりが通過するごとに破壊される地形は高い処理能力を生かした大量のパーティクル(小片)と物理シミュレーションで表現される。疾走中にGと風によって大きく変化するパイロットの表情にも注目したい

 また、そりの各通過地点にはオブジェクトが配置され、そりが通過するとそれらオブジェクトがロケットの噴煙で破壊される動きが物理シミュレーションで表現される。オブジェクトが分解するときのパーティクル(小片)はスライダーで数を設定できるようになっており、例えば「4000」では木片が散った程度だが、これを「100万」に設定することでパーティクルがまるで土の塊のように崩壊する。GF100の高パフォーマンスを象徴するものだ。

橋の破壊シーンでのパーティクルの量を上から4000、4万、10万、100万と増やしていったところ。すべてが物理シミュレーションで動作している。100万にすると表現は圧倒的に豊かになるが、さすがにfps数は落ちてしまう。あくまでパフォーマンスデモという位置付けだ

デモに使われたシステムを側面から見る。3-way SLIが利用されていることが分かる。消費電力についてはGT200世代より高めになるとのこと

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