山椒は小粒でもピリリと辛いか!?――「HP Mini 110-3000」を試すまだNetbook……だと!?(1/2 ページ)

» 2010年08月19日 17時05分 公開
[田中宏昌(撮影:矢野渉),ITmedia]
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多彩なNetbookをそろえる日本ヒューレット・パッカード

「HP Mini 110-3000」

 従来から、精力的にNetbook分野に取り組んでいる日本ヒューレット・パッカード(HP)。2010年8月現在も、デザイナーズモデルの「HP Mini 210 Vivienne Tam Edition」を筆頭に、「HP Mini 210 初夏モデル」、そしてここで取り上げる「HP Mini 110-3000」と全3モデルをラインアップしている。いずれも7万円を下回る低価格モデルばかりで、このHP Mini 110-3000は同社の直販サイト「HP Directplus」で4万4940円と5万円を切る価格が目を引く。まずは上位モデルと何が異なるのかを見ていこう。

 同社のNetbookシリーズで最上位となるVivienne Tam Editionは、ファッションデザイナーのヴィヴィアン・タム氏が手がけたバタフライが液晶ディスプレイ天面にあしらわれるほか、チョウのデザインを配したワイヤレスマウスや専用の化粧箱が用意されるなど、非常に手の込んだモデルだ。ミドルレンジのHP Mini 210も「ZEN-design“facet”(フェシット)」と呼ばれる格子状の細かいパターンを液晶ディスプレイ天面に採用し、キーボードもVivienne Tam Editionと同じ浮き石型(アイソレーションタイプ)となっている。

 それに対しHP Mini 110-3000は、液晶ディスプレイ天面部分こそ光沢感あふれる「HP Imprint」テクノロジーを導入しているものの、柄などがないシンプルなブラック(名称は「漆黒」)で彩られている。キーボードも浮き石型ではなく、従来タイプのキートップとなっており、随所に上位モデルとの違いが見られる。とはいえ、単なるコストダウンでチープに見えるわけではなく、全面にネジがないデザインを踏襲しており、Netbookだからといって手を抜かない同社のこだわりが感じられる。

最上位モデルの「HP Mini 210 Vivienne Tam Edition」
液晶ディスプレイ天面部分に“Butterfly Lovers”が描かれる
ミドルレンジの「HP Mini 210」


スペックはNetbookそのもの

10.1型ワイドの液晶ディスプレイを搭載する。額縁部分が横で21ミリ、上部で24ミリと太めだ

 主なスペックを見ていくと、CPUはAtom N475(1.83GHz/2次キャッシュ512Kバイト/メモリバスクロック 667MHz)、チップセットはIntel NM10 Express、メモリは1GバイトのDDR2 SDRAM、HDDは容量160Gバイト(5400rpm)、グラフィックス機能はIntel GMA 3150(CPU統合)、OSはWindows 7 Starterと、仕様はいかにもNetbookだ。液晶ディスプレイは10.1型ワイドで、画面解像度は1024×600ドットにとどまる。上位モデルでは1366×768ドットの液晶ディスプレイを搭載したものもあり、明確な差が付けられている。とはいえ、CPUは上位モデル(Atom N450/1.66GHz)に比べて高速で、逆転現象が起きているのは面白い。

 本機のボディサイズは268(幅)×194(奥行き)×23.5〜32.6(高さ)ミリ、重量は約1.23キロだ。

 通信機能は100BASE-TX対応の有線LANにIEEE802.11b/g/n対応の無線LANで、アナログRGB出力と3基のUSB 2.0ポート、マイク/ヘッドフォン兼用出力を備えるなど、必要な機能やインタフェースは装備されている。液晶ディスプレイ上部にはWebカメラを標準で備えており、気軽にビデオチャットも行える。

 HDDのアクセスランプが左側面、電源ランプが右側面にあったり、有線LANのポートがカバーで覆われているなど気になるところもあるが、USB端子は左右に並んでおり、インタフェースの構成や配置に不満はない。

CPU-Z 1.55の画面。CPUは1.83GHz駆動のAtom N470だ。シングルコアだがHyper-Threadingはサポートする
チップセットはIntel NM10 Expressだ
GPU-Z 0.4.4の画面。グラフィックス機能はCPU統合のIntel GMA 3150となっている

前面下部にステレオスピーカーを内蔵する(写真=左)。背面はバッテリーのみだ(写真=右)

左側面はDC入力、アナログRGB出力、排気口、HDDアクセスランプ(白色)、USB 2.0、マイク/ヘッドフォン兼用出力が並ぶ(写真=左)。右側面はMMC/SDHC対応SDメモリーカードスロット、電源スイッチ/電源ランプ(白色)、2基のUSB 2.0、有線LAN、ケンジントンロックホールがある(写真=右)。SDメモリーカードを挿入すると、ボディの形状ゆえ1ミリほどカードが出っ張る

評価機のデバイスマネージャ画面

スタンダードな正方ピッチのキーボードを採用

「HP Imprint」テクノロジーを導入した液晶ディスプレイ天面は、光沢感あふれる“漆黒”が採用される

 液晶ディスプレイは10.1型ワイドの非光沢タイプで、上位モデルのようにLEDバックライトを採用しないため、液晶ディスプレイ部分はやや厚みがある。明るさは11段階に切り替えられ、最高輝度時は明るく、最低輝度もかなり下げられる。上下の視野角は狭いが、左右はそれなりにあるので表示内容の確認で苦労することはないだろう。

 入力環境を見ていくと、キーボードは約17.6ミリピッチの正方キートップを採用している。前述したように浮き石型ではないが、キートップが13.5×13.5ミリの正方形に盛り上がっているので、実質的にキーとキーの間隔は3.5ミリある“アイソレーション風”だ。さすがに最下段のキーはキーピッチが約13.6ミリと細長で、上下のカーソルキーが8×14ミリと極小だが、不規則な配列もなく、スペースバーが69.5ミリと長いのはうれしい。ボディ中央部分のキーを強く押し込むとややしなるが、キー入力時にカチャカチャという耳障りな音がしないのは好印象だ。

 なお、出荷時はファンクションキーが音量調節やメディアコントロールキーに割り当てられているので、ワンタッチでファンクションキーを利用したい場合はBIOSセットアップの「Action Keys Mode」で切り替える必要がある。また、Windows 7の起動前にWebブラウズやメールチェック、フォトビューワーなどを楽しめる「HP Quickweb」が標準で起動するようになっているため、こちらのオン/オフ切り替えもBIOSセットアップなどで設定する必要がある。

 一方、タッチパッドのサイズは78(横)×32(縦)ミリと横長で、Vivienne Tam Editionのようなクリックボタン一体型クリックパッドではなく、スタンダードなタイプだ。シナプティクス製の多機能ドライバが導入済みで、エッジ部分を利用したスクロールやタッチモーションを利用できるが、2本指のスクロールやつまみズーム、回転といったマルチタッチ操作は非対応(チェックボックスはあるが、グレーアウトされている)なのが残念だ。

 加えて、タッチパッドの位置がホームポジション直下ではなく、ボディ左右中央にあったり、左右のクリックボタンがパームレストより若干くぼんだ位置にあるので押しにくく感じた。なお、無線LANの電源はF12キーと兼用で、電源オン時に白、オフ時はオレンジに点灯する。

主要キーで約17.6ミリピッチの正方キーボードを採用する。パームレストの奥行きは約52ミリある
シナプティクス製の多機能ドライバをインストールしているが、マルチタッチ操作は行えない
液晶ディスプレイは約130度まで開く。ヒザの上で使う場合は角度調整に悩まされるかもしれない

 次のページでは、ベンチマークテストで本機の実力をチェックしよう。

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