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» 2013年02月16日 10時15分 UPDATE

石野純也のMobile Eye(2月4日〜15日):音楽で差別化を図る「UULA」/「LINEマストバイ」とは?/MNP抑止のカギを握るドコモショップ (1/3)

キャリアの発表が一段落したここ2週間は、コンテンツやサービスの発表が続いた。今回はソフトバンクとエイベックスの動画視聴サービス「UULA」とLINEのマーケティングに関する新しい取り組み、そしてドコモの「ショップスタッフ対応コンテスト」について取り上げる。

[石野純也,ITmedia]

 各キャリアの発表会もひと段落し、春モデルが続々と発売されている。そんな2月4日から15日にかけての2週間は、OTT(オーバー・ザ・トップ)と呼ばれるコンテンツ、サービスレイヤーの事業者での発表が相次いだ。今回は、ソフトバンクとエイベックス・エンターテインメントがタッグを組んで開始する動画視聴サービスの「UULA」や、LINEのマーケティングに関する新たな展開を取り上げていきたい。また、2月5日には、ドコモが「ショップスタッフ応対コンテスト」を開催している。スマートフォンへの移行が進む中、現場であるショップの役割も重要性を増しているが、こうした状況を踏まえ、このニュースもここで解説していきたい。

6万の動画コンテンツが月額490円で見放題になる「UULA」、他社との違いは?

 ソフトバンクとエイベックス・エンタテインメントの合弁会社のUULAは、14日、月額490円で動画が見放題になる「UULA」を開始した。サービスインに先がけ、同社は都内で記者会見を開催。サービスの概要や狙いを説明した。

 UULAは、約6万本の動画と音楽コンテンツが490円で見放題になるのが最大の特徴。ドコモは「dビデオ」、KDDIは「ビデオパス」を開始しているが、これらと比べても数が多く、それを業界最安値の490円で提供するのがUULAならではだ。エイベックスの強みを生かした音楽に力を入れ、ミュージックビデオが充実しているほか、JOYSOUNDと提携することでカラオケも「最新の曲はほぼすべて網羅している」(エイベックス・エンタテインメント 星野拡氏)という。

photophotophoto 動画の定額サービスだが、ミュージックビデオやカラオケなど、音楽に強いのはエイベックスグループならでは(写真=左、中)。映像は6万コンテンツを用意し、月額490円で完全に見放題になる(写真=右)
photo オリジナルの作品も制作。もちろん、これらの作品も定額料金の範囲内で視聴可能だ

 映像制作のノウハウも生かし、「二次コンテンツだけでなく、オリジナルも充実」させていく。サービス開始に合わせて作られたのが、「ピンクスパイダー inspired by バッファロー5人娘」。安野モヨコのマンガ「バッファロー5人娘」を蜷川実花が映像化した作品で、hide with Spread Beaverの「ピンクスパイダー」を倖田來未がカバーした楽曲に合わせ、ストーリーが展開される。ほかにも、原田眞人が監督を、椎名桔平が主演を務めるドラマ「RETURN」が独占的に配信され、夏には映画化も予定されている。

 エイベックスがソフトバンクとタッグを組んだ理由は、「通信」「デバイス」「販売」の3つにある。ソフトバンクはLTEを展開しており、「快適に動画を楽しむ環境ができた」(星野氏)。また、端末もAndroidとiPhoneに加え、テレビに挿すスティック型の端末「SoftBank SmartTV」のサービスも開始する予定で、「全国2700店舗のソフトバンクショップで入会が可能」(同)となる。先に挙げたドコモのdビデオや、auのビデオパスもショップで契約できるが、これによってアカウント取得のハードルを下げられる。また、店頭なら端末の割引を伴ったセット契約も容易になるだろう。

photophotophoto ソフトバンクの強みは、高速なLTE回線や端末に加え、ショップを展開しているところにあるという

 アプリはオートプレイ機能に対応しており、「待ち時間などにラジオ感覚で聴ける」(星野氏)。ストリーミング形式に加え、キャッシュを端末に保持することも可能だ。さらに、iTunesの楽曲を再生する機能も備える。

photophotophoto オートプレイ機能を備え、あらかじめプレイリストを編集しておけば、好きな楽曲だけを連続して再生できる(写真=左)。iTunesの楽曲も再生可能(写真=中)。iOSはもちろん、Androidにも対応する(写真=右)
photo 質疑応答でUULAの戦略などを解説する、エイベックス・エンタテインメントの村本氏

 一方でUULAを運営するエイベックスグループは、ドコモとも合弁会社のエイベックス通信放送を設立しており、dビデオもここが運営している。dビデオは会員数も順調に伸びており、1月13日時点で380万会員を突破し、定額の動画サービスの中では国内最大級の規模を誇る。では、dビデオとUULAはどこが違うのか。エイベックス・エンタテインメント デジタルコンテンツ本部副本部長 村本理恵子氏によると、UULAは「音楽を楽しむ機能を強化した」というところでdビデオとは差別化を図っている。「ソフトバンクとは従来から何か一緒にやれないかをお話しさせていただいた中で、音楽を立てながら新しいサービスを立ち上げることになった」(同)という経緯からも分かるとおり、音楽を軸にしているのが大きな特徴と言えるだろう。

 このように大々的にサービスを開始したUULAだが、残念ながら「基本的にはソフトバンク向け、他社への展開は今は検討していない」(星野氏)という。iPhoneやセルラー版のiPadは、KDDIが販売しているものでも利用できるが、Androidはキャリアによる制限がかけられているため、アプリをダウンロードすることができない。同様に、Wi-Fi版のiPadでも利用できず、こちらはGPSの有無を見てダウンロードを弾く仕組みになっていた。auのiPhoneとiPadに対応しているのは、App Storeの規約を守るためというのが実情だろう。auの「うたパス」がソフトバンクのiPhoneで利用できるのと同じ理屈で、UULAとしては、あえてマルチキャリア展開を狙うつもりはないようだ。

 とは言え、キャリアの制約があると、それだけ対象となるユーザーは狭くなってしまう。ソフトバンクの売りにつなげたいという考えも分かるが、別採算の合弁会社でサービスを提供している以上、どこかのタイミングで他キャリアやWi-Fiのみのデバイスにも積極的に開放し規模を拡大した方がいいようにも感じた。こうした取り組みは、今後の展開に期待したい。

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