普段は縁のない税金を分かりやすく説明するイチから分かる確定申告(3/3 ページ)

» 2011年02月17日 19時00分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]
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 子ども手当、高校の授業料無償化による増税はよほどの高額所得者でなければマイナスになることはない。そのあたりは後ほど課税所得による納税額の計算のところで説明したい。筆者が今回の税制改正で気になったのは、相変わらず12月31日の年齢で対象が決められていることだ。

 例えば4月〜12月生まれの大学1年生は平成23年12月31日現在19歳なので特定扶養親族となり63万円の控除が受けられるが、早生まれの大学1年生は平成23年12月31日には18歳だから控除対象扶養親族の38万円の控除となってしまう。4月〜12月生まれの子を持つサラリーマンなら、センター試験直後の1月の給料から特定扶養親族の控除で減税となり、大学4年の12月まで継続する。

 ところが早生まれの子を持つサラリーマンの場合、大学1年の1月からやっと減税が始まる。更に卒業間際に22歳になった子供は4月から就職し扶養家族でなくなると、結局4年生の12月まで3年間しか控除による減税が受けられない。4月〜12月生まれなら特定扶養親族と控除対象扶養親族の差額25万円(63万円−38万円)の控除が4年間なのに、早生まれだと3年間になってしまう。およそ4人に1人は早生まれなので、かなりの不公平感があると思う。

 このことは税理士のブログなどではいたるところで話題になっているが、テレビ、新聞ではほとんど話題にならないのも不思議な話だ。そもそも子ども手当は溢れるほどニュースになるが、それにともなう増税はあまりニュースになっていない。やはり記者をしていてもサラリーマンは税金に興味がないということだろうか。

 年末調整の2枚の紙は「平成22年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼……」「平成23年分 給与所得者の扶養控除等……」と年度が異なっている。保険と配偶者特別控除は22年に支払った保険料や奥さんの稼ぎを確認するもの。扶養控除の申告書は、本来は翌年(23年)の1月の給料から税金を天引きするために家族構成などを確認するための申告書だが、例えば22年11月に子供が生まれていれば、総務の人がその内容を確認して22年の年末調整(=12月の給与)に反映してくれる。

 ちなみに筆者のような貧乏個人事業主は誰もやってくれる人がいないので、自分で各種控除を記入して確定申告を行うことになる。だが、筆者が使用している会計ソフトは子供の誕生日や奥さんの年収を入力すれば自動的に計算、記入してくれるので子供や奥さんの存在を忘れなければ大丈夫だ。

 ――次回に続く。

インフレ時代の確定申告
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