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» 2011年02月28日 20時50分 公開

イチから分かる確定申告:サラリーマンも個人事業主も――節税するならここがポイント (3/3)

[奥川浩彦,Business Media 誠]
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小規模企業共済と青色申告で節税額が大きく変わる

 配偶者控除、医療費控除などは個人事業主もサラリーマンも同じ条件だ。強いて言えばレーシックやインプラントなどはもうかった年に医療費控除を受ければ節税効果が高くなる。

 個人事業主なら可能な控除の増やし方を紹介しよう。1つ目は「小規模企業共済等掛金控除」だ。個人事業主のための退職金、年金積立みたいなもので、月に1000円〜7万円を掛けることができ、掛金の全額が控除対象。最大年間84万円まで掛けることができるので節税効果は大きい。掛けた共済金は廃業、退職した時に一括や分割などの方法で受け取れる。年払いをすれば、全額払った年の控除が認められるので、もうかったら年末にドンと払って将来に備えることも可能だ。増額、減額も可能なので、その年の売り上げを見て、年払いの金額を上下できるから、収入の不安定な個人事業主にはありがたい。

コラム:年収の上下が激しくても節税効果を高める方法

 小規模企業共済等掛金控除の裏技を紹介しよう。例えば12月から翌年11月までの年払いの場合、1年目はもうかって84万円だったが、2年目は売り上げが減って最低額の1万2千円(月額千円)に減額したとしよう。3年目の年明けに大きな仕事で大金が舞い込んだら、減額した月額千円を残り期間の2月から11月まで7万円に増額することが可能だ。差額の6万9千円×10カ月=69万円と12月に年払いした84万円を足した153万円の控除を受けることができる。年収の上下が激しい職種の人なら、この方法で節税効果を高めることが可能だ。


 2つ目は青色申告特別控除だ。申告方法には白色申告と青色申告がある。申告が簡単な白色申告では控除額は0円だ。青色申告特別控除は10万円の控除と65万円の控除がある。比較すると、

申告方法 控除額 概要
白色申告 0円 記帳義務がない
青色申告 10万円 簡易簿記による記帳
65万円 複式簿記による記帳、損益計算書と貸借対照表の提出

 ざっくり言うと細かな書類を作れれば控除額が増えるということだ。65万円の控除を受けるには提出書類以外に仕訳帳、総勘定元帳といった帳簿も記帳しなければならない。逆に言うと、頑張って書類を作れば65万円も控除になるということだ。65万円は大きい。所得税の税率が20%の人なら、住民税の10%と合わせて19万5千円の節税となる。これなら頑張って青色申告をする価値はあるだろう。

 とは言え「複式簿記」「貸借対照表」「仕訳帳」「総勘定元帳」と聞いてササッと書ける人は少ないだろう。筆者も開業時に一応簿記の書籍を読んでみたが「貸方・借方、右手・左手……」理解不能だった。5年経った今でもほとんど理解はしていない。そんな筆者が独立初年度から青色申告できたのは青色申告ソフトのお陰だ。

 青色申告ソフトにもよるが、筆者が使用してる「やよいの青色申告」はガイダンスにしたがって入力していけば、自動的に損益計算書と貸借対照表も最終的な確定申告書も計算して印刷してくれる。減価償却などのやや難しい計算も買った日付と金額、償却方法を入力すれば自動的に処理してくれる。データに不整合があった場合も青色申告ソフトが指摘してくれる。総勘定元帳なども膨大な紙の枚数になるが印刷ボタンを押せば勝手に印刷してくれる。後は見ても分からないので綴じて保存するだけだ。ソフトの価格は1万円以下なので費用対効果は高い。

 青色申告は開業から2カ月以内に青色申告承認申請書を出す必要がある。以前から確定申告をしている人は3月15日までに申請書を提出すれば翌年の確定申告は青色申告となる。65万円の控除以外にも、30万円未満の資産を1回で経費で落とせたり青色申告のメリットは多い。今まで白色申告をされていた方、これから開業する人は青色申告を選択しガッツリ節税していただきたい。

 売り上げ800万円の個人事業主のケースで小規模企業共済等掛金控除の84万円、青色申告特別控除の65万円を反映すると課税所得は350万円から201万円に減少する。所得税額は27万2500円から10万3500円に激減する。

個人事業主節税

 次回は筆者が実践している青色申告を方法を紹介する。65万円を節税効果に期待してほしい。

インフレ時代の確定申告
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