ITmedia Mobile 20周年特集

「MVNOの台頭」「ネットワークの進化」「差別化の進む端末」――2014年を振り返る石野純也のMobile Eye(2014年総括編)(3/3 ページ)

» 2014年12月27日 12時36分 公開
[石野純也ITmedia]
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進む端末の均一化、共同開発モデルで差別化を図る

 端末については、2013年ドコモがiPhoneの取り扱いを開始したこともあって、均質化が進んでいる。2014年はソフトバンクがXperiaを11月に発売、12月には「GALAXY Tab4」を発売するなど、iPhoneだけでなく、Androidでもキャリア間の差は少なくなった。ソフトバンクにはGALAXYシリーズのフラッグシップがないなど、まったく同じというわけではないが、明確な差がなくなりつつあるのも事実だ。Androidに関しては、OSも同じで、メーカーごとの差別化もしにくい。

photo ソフトバンクモバイルも、ついに「Xperia Z3」を導入した

 こうした状況を見据えて、キャリアがメーカーと共同で端末を開発するという動きも顕在化した。代表的なモデルが、ソフトバンクの「AQUOS CRYSTAL」や、KDDIの「isai FL」「isai VL」だろう。KDDIはほかにも、「HTC J butterfly」や「MeMO Pad 8」を、それぞれHTCやASUSと共同で開発している。12月25日に限定発売された、Firefox OSを採用する「Fx0」(LGエレクトロニクス製)も、独自モデルの1つだ。

 とはいえ、そのビジネスモデルはキャリアによって異なる。ソフトバンクは、傘下に収めたSprintの規模を生かし、AQUOS CRYSTALを日米で共同調達した。対応周波数などの違いでハードウェアにやや違いはあるが、ベースはほぼ同じ。ソフトウェアを仕向け先ごとに変えて出荷するプラットフォームも用意した。

photo ソフトバンクの「AQUOS CRYSTAL」は、日米で発売された

 これに対してKDDIは、HTC J butterflyやMeMO Pad 8では、あくまでメーカーへの協力にとどまっている。そのため、これらの端末はグローバルで販売されている。とは言え、デザインや機能については、KDDIの意向が強く反映されている。アジアに影響力の強い日本のトレンドを取り入れたいメーカーと、ラインアップに差を出したいKDDIの思惑が合致した格好だ。

photophoto HTCの「HTC J butterfly」(写真=左)とASUSの「MeMO Pad 8」(写真=右)は、KDDIとの共同開発モデルだが、グローバルでも発売された

 また、既存のスマートフォンに飽き足らなくなっているユーザーに向け、Firefox OSを搭載したFx0を用意。端末のデザインは、au design projectやiidaでおなじみの吉岡徳仁氏が手がけ、Firefox OSの理念であるオープンさを透明なボディで表現した。ビジネス的には未知数の部分が多いFirefox OSだが、KDDIは、これをアプリや連携ハードを作る楽しさを訴える端末と位置づけている。かつてのau design projectのような、キャリアのイメージを伝える端末といってもいい。

photo Firefox OSを搭載した「Fx0」。端末のデザインは、吉岡徳仁氏が手掛けている

 こうした独自性を求める取り組みは、2015年も続いていくはずだ。ただし、ハイエンド端末のスペックも、そろそろ頭打ちの状況だ。2014年は、2013年以上に端末の性能の進化が緩やかだった。こうした中で、ミッドレンジクラスで価格の安い端末がMVNOとセットで注目を集めたのは、先に述べたとおり。さすがにここまで性能が上がると、どうしても機能やスペックは横並びになりがちだ。そう考えると、キャリアモデルにも、こうした価格でのバリエーションは必要になってくるだろう。

 ここまで、主に3つのトピックを“2014年のまとめ”として取り上げてきたが、触れていないことはまだまだ多い。イー・アクセスとウィルコムが合併してワイモバイルが発足したことや、過熱したMNP競争が生み出したキャッシュバック合戦に終止符が打たれたのも、2014年のこと。KDDIの「au WALLET」や、ソフトバンクの「アメリカ放題」など、個別のサービスでも光るものが多かった。

photo KDDIがポイントプログラムを大幅刷新。au WALLETとして生まれ変わり、リアルな店舗での利用も可能になった
photo Sprintとのシナジーを生かしたアメリカ放題も、ソフトバンクらしいサービスだ
photo 紆余(うよ)曲折を経て発足したワイモバイル。一時はヤフーが買収する話もあったが、結局はソフトバンク傘下で事業を行っている

 料金面でも変化の大きかった1年だった。ドコモが発表した音声定額プランはまたたく間に3キャリアに広がった。家族間や複数回線でデータ量をシェアするサービスも、各社が導入している。2015年には、FTTHサービスの「ドコモ光」も始まり、固定回線も含めた料金競争がさらに激化することが予想される。

photo 2月開始予定の「ドコモ光」。「auスマートバリュー」の対抗軸として注目を集めている

 このように見ていくと、モバイル業界はやはりトレンドの移り変わりが激しい業界であることがよく分かる。スマートフォンへの移行速度が落ち気味とはいえ、話題には事欠かない。2015年にも、さまざまなニュースが待っているはず。今から楽しみだ。

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