【2016年を振り返る】 MVNO業界の10大ニュースSIM通

» 2017年01月10日 06時00分 公開
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 「格安スマホ」「格安SIM」などの名称で、年々人気と知名度を拡大してきたMVNO。今年は、そのMVNOが大きな躍進を遂げた1年だったといえるでしょう。今年も多くのMVNOが参入したり、新しい戦略を打ち出したりして、1年を通して大きな盛り上がりを見せました。そんな今年のMVNO市場に、大きな影響を与えた10のニュースを振り返ってみたいと思います。

総務省

1.総務省の「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン

高市早苗総務大臣

 今年、MVNO市場に大きな活況をもたらしたのは総務省です。昨年の「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の結果を受け、MVNOの競争力強化のため大手キャリアの商習慣に大きくメスが入れられたことは、携帯電話市場全体に大きな影響を与えました。それらを受けて4月に適用された総務省のガイドラインでは、スマートフォンを過度に割り引いて販売する大手3キャリアの販売手法に対して行政指導を実施したことで、スマートフォンの実質0円販売は、事実上できなくなりました。結果として、より安価なMVNOへの注目が一層高まったといえるでしょう。

2.LINEが「LINEモバイル」でMVNOに参入

LINEがMVNOに参入

 イオンモバイルや楽天モバイルなど、さまざざまな異業種企業が参入しているMVNOですが、今年新たに参入して注目を集めたのがLINEモバイルです。LINEは今年3月にMVNOとして通信事業に参入することを表明し、9月から「LINE Mobile」としてサービスをスタートさせています。メッセンジャーアプリで人気のLINEがMVNOに参入しただけでも驚きですが、LINEモバイルは、LINEやTwitter、FacebookなどのSNSを利用した時の通信量をカウントしない「カウントフリー」を積極的に導入したことで、一層の驚きをもたらしました。カウントフリーの仕組みは通信の公平性や通信の秘密などの観点から、現在もその賛否について議論がなされているだけに、来年以降もその動向が注目されます。

3.楽天モバイルが「5分かけ放題」を導入

楽天モバイルが「5分かけ放題」を導入

 今年、最も攻めの戦略を打ち出したMVNOの1つに挙げられるのが、楽天の「楽天モバイル」です。楽天モバイルは全国で店舗展開を進めたり、「楽天スーパーポイント」との連携を強化したりするなど、さまざまな施策を打ち出してきました。中でも大きなインパクトを与えたのは、定額通話を可能にする「5分かけ放題」を他社に先駆けて導入したことです。5分かけ放題は、プレフィックス番号を用いて通話を安くする「楽天でんわ」のオプションとして、今年1月に提供を開始。直後から、MVNOでも通話定額が利用できるとして大きな反響がありました。その後、多くのMVNOが相次いで定額通話サービスの提供を開始したことから、他社のサービスにも大きな影響を与えたといえるでしょう。

4.ファーウェイの「P9」がヒットを記録

ファーウェイの「P9」がヒットを記録

 MVNOの躍進に伴って、SIMフリースマートフォンも大きな注目を集めた1年だったといえます。今年は多くのSIMフリースマートフォンメーカーが積極的に端末を投入してきましたが、中でも最も人気を獲得したのは、ファーウェイではないでしょうか。ファーウェイは今年、「GR5」「P9 lite」「honor 8」など多くのヒットモデルを輩出していますが、発売当初6万円近い価格だった、ライカと共同開発のダブルレンズ機構を備えた「P9」をヒットさせたことには驚かされました。「SIMフリー端末は低価格でないと売れない」というこれまでの常識を大きく覆した功績は大きく、SIMフリースマートフォンのあり方を大きく変えたことに、間違いはないでしょう。

5.「UQ mobile」が急激に台頭

「UQ mobile」が急激に台頭

 UQコミュニケーションズが展開する「UQ mobile」はKDDI傘下ながら、au回線を用いているというデメリットもあり、あまり存在感は大きくありませんでした。しかし、今年2月に音声通話の無料通話分が付いた「ぴったりプラン」を提供して以降は、攻めの戦略を次々と打ち出してきました。UQ mobileは自社ショップ「UQスポット」の全国展開を打ち出したり、「iPhone 5s」を正規に販売したりするなど、大手キャリアの一角を占めるKDDIの力を借り、他のMVNOには真似のできない施策を打ち出して急速に存在感を高めてきています。一方で、KDDIがUQ mobileへの関与を強めていることに対し、MVNO市場にもキャリアの寡占の影響が及ぶことを懸念する声もあるようです。

6.KDDIがビッグローブを買収

 そのKDDIが、MVNO市場に影響を与えるもう1つの出来事が、12月に発表したビッグローブの買収です。ビッグローブは老舗の固定回線向けインターネット接続サービスを提供する企業ですが、最近ではMVNOとしても頭角を現してきており、既に40万の会員を抱えています。そのビッグローブをKDDIが買収したことは、固定回線だけではなく、MVNOとしてもKDDIの影響力を高める動きとして注目されています。KDDIは同業のニフティを買収するのでは?という報道も一部でなされており、来年はMVNOの今後を見据える上でも、KDDIの動向が大いに注目されるところです。

7.ソネット(現・ソニーネットワークコミュニケーションズ)が「0 SIM」を開始

 MVNOはサービスの柔軟性が高く、各社ともさまざまな料金プランを打ち出して競争しています。今年最もインパクトを与えた料金プランは、ソネットの今年1月に提供を開始した「0 SIM」でしょう。500MBまでは月額料金が0円で利用できる」というインパクトのある仕組みを実現した0 SIMは、正式サービス開始の昨年末に雑誌の付録として提供され、「神SIM」という呼び名が付くほど人気となりました。正式サービス後も継続して高い人気を獲得しているようですが、人気の高さゆえか、最近では契約日や契約数が限定されるなどの影響が出てきているようです。

8.日本通信がコンシューマー市場から撤退

日本通信がコンシューマー市場から撤退

 参入企業が増える一方のMVNOですが、今年は撤退する企業も現れています。それが、現在のMVNOの市場を切り開いたパイオニアとしても知られる日本通信です。同社は今年8月、コンシューマー向けの通信事業から事実上撤退することを表明。11月にはU-NEXTと、個人向け事業「b-mobile」の共同運営に合意したと発表しています。とはいえ、日本通信がMVNOから完全に撤退したわけではなく、今後はMVNOを支援する「MVNE」や、法人向けの事業に力を入れていく方針を示しています。コンシューマー市場は参入事業者の増加で価格競争も激しいことから、来年以降同様の動きが加速する可能性はありそうです。

9.MVNOを悪用した詐欺が急増

 MVNOの注目が高まる一方で、その人気に影を落とす出来事となったのが、今年半ばごろから急増している、MVNOを悪用した詐欺事件です。これは「荷受代行」などとしてアルバイトを募集し、その人の身分証明証を用いてMVNOのSIMやスマートフォンを契約。その後アルバイトの元に送られてきた商品を転送させ、契約した端末を転売したり、振り込め詐欺などに活用したりするというものです。MVNOの契約時の審査体制などが大手キャリアと比べ緩めであったことなどが、隙を突かれてこうした詐欺に悪用されたと見られています。MVNOの利用を広める上でも、こうした問題への対処は急がれる所ですし、我々も詐欺被害に遭わないよう、注意が求められるところです。

10.インターネットイニシアティブ(IIJ)が「フルMVNO」に

IIJが「フルMVNO」に

 MVNOの将来を期待させる出来事となったのが、8月にIIJが、NTTドコモからの加入者管理データベースの連携申し入れ承諾を受けて「フルMVNO」となったことです。フルMVNOになることで、同社は今後自社で直接SIMを発行できるようになり、1枚のSIMで複数の国で安価な通信サービスを利用できるなど、より柔軟なサービス提供が可能となります。とはいえ、IIJがフルMVNOとなったのはデータ通信の部分のみであり、音声通話に関しては従来と変化がないことから、我々が利用するサービスにすぐ直接影響を与えるわけではないようです。ただし同社は、来年下旬にはフルMVNOとして何らかのサービスを提供する予定であることから、何を提供するのか大いに注目されるところではないでしょうか。

 多くの出来事があったMVNO市場の1年でしたが、来年もさまざまなサービスが誕生し、MVNO市場が大きく盛り上がることを期待したいところです。

(文:佐野正弘)

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