絶望視された「アキバ歩行者天国」復活の裏側2010年アキバまとめ(ホコ天編)(4/4 ページ)

» 2011年01月06日 12時00分 公開
[古田雄介,ITmedia]
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さまざまな個性を持つアキバ、でも“雑多感”はあと数年の命かも

2010年夏、PCパーツショップ密集エリアの光景

 2年半の時間がかかったものの、あの事件以降、地域が一体となって取り組む組織力を高めたのは確かだ。次々と新たな風景が生まれる町だが、新興の店舗も「秋葉原協定」を守る枠組みができている。

 佐藤氏は「強制ではありませんが、新しくアキバで店を構える方たちにも、タウンマネジメントへの参加をお願いし続けています。最近は飲食店が増えていますし、そうした方々にもアプローチを続けていくと思います」と語る。例えば、数年前の新興産業といえるメイド喫茶も、現在は「メイド系店舗防犯連絡協議会」という業界団体が設立されおり、タウンマネジメントの会議や取り組みに参加しているそうだ。

 PCパーツショップ単位では今後もアップダウンがみられると思われるが、少なくとも自作PC市場の消滅を予言する声は今回の取材で聞かれなかった。オノデン代表の小野氏が「各メーカーさんが作っている商品がたくさん集まる地域は世界中にたくさんありますが、それが積み重なる電気街というのは非常に珍しい存在だと思います。真空管を売っているお店があって、そこからアナログオーディオに強いお店も現れ、初期から自作PCを続けているショップもあると」。

 「ある意味、日本の家電メーカーさんの歩みそのものがずっと残る街なんですよね。さらに、PCの世界で作られた2次元のアイドル像を反映したアニメやフィギュア、メイド喫茶も出てきていますし」(小野氏)と語るとおり、今後もアキバは新たなブームを生み出しながら、既存の店舗と共存しつつ、新たな個性として認知されていくといった流れが予想される。その多重感は、統一感のない雑多な街並みに反映されてきた。街を眺めれば、アキバの姿そのものが見えてくる。ただ、この多重ぶりを視覚で楽しめるのは、あと数年のことかもしれない。

 千代田区の佐藤氏はあくまで私見としながら「既存市街地のビルがかなり老朽化しているので、駅前再開発が終了してしばらくしたら、今度は隣り合うビルがまとめて立て替えられて、近代的な高層ビルを形作るといった動きが一斉に起きるかもしれません。そうなると、外観は普通の都市のようになってしまう可能性があります。こればっかりは仕方がないのかもしれませんね」と話していた。

2010年秋、中央通りの景色(写真=左)。2010年末、中央口から秋葉原クロスフィールドを臨んだ風景(写真=中央)。2010年末、中央口からヨドバシカメラ マルチメディアAkibaを撮影(写真=右)

 今のアキバを愛する人々は、10年後、20年後、「昔はもっと猥雑でアングラな臭いがしたもんだ」「怪しい店内でお宝を探す喜びを知らないニワカがアキバを語るな」などと漏らしているかもしれない。それでも根底にある「未来を積み重ねて個性を増やしていく」というアキバの特徴は残っているだろう。なにしろ、“古き良き”に偏らない結束力を手にしているのだから。そんな将来を期待して、今後も秋葉原の街を観察していきたい。

著者:古田雄介

元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。頻繁に足を運ぶ街ほど変化を見過ごしがちになるので、今後も脳内キャッシュを空にしてからアキバに降り立とうと思います。今年もよろしくお願いします。


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