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» 2012年11月02日 21時06分 UPDATE

石野純也のMobile Eye(10月20日〜11月2日):市場拡大に期待の「iPad mini」/IGZOで勝負に出るシャープ/スマホに寄り添うウィルコム (1/3)

冬モデルが発売され始めた中、7インチクラスのタブレットも続々と登場している。11月2日に発売されたばかりの「iPad mini」は、タブレット市場拡大の起爆剤になるか、注目を集めている。今回はほかに、シャープとウィルコムの冬商戦における戦略を取り上げる。

[石野純也,ITmedia]

 冬商戦に向けた端末やサービスの発表が相次ぐ中、Appleは10月23日(現地時間)に同社初となる7インチ台のタブレット「iPad mini」を公開した。11月2日には早くも店頭に並び、人気を博している。LTE対応モデルも用意されるとあって、キャリア幹部もさまざまなコメントを寄せている。スマートフォンやタブレットばかりに関心が集まりがちだが、11月1日にはウィルコムも冬モデルを発表した。“スマホのお供”路線を踏襲した、シンプルながらひとクセある端末は注目を集めそうだ。今回の連載では10月20日から11月2日までの2週間を対象に、iPad miniやシャープの冬モデル、ウィルコムの冬モデルのニュースを取り上げていきたい。


iPad miniが発売へ、LTE対応モデルにはキャリアも期待

photo 7.9インチのディスプレイを搭載するiPad mini

 7.9インチのディスプレイを搭載し、Wi-Fiモデルはわずか308グラムという軽量な「iPad mini」が、本日(11月2日)アップルストアや家電量販店で発売された。

 7インチタブレットの市場は、特に北米をはじめとする海外では激戦区になりつつある。米国で高いシェアを誇るのが、Amazonの「Kindle Fire」シリーズ。Googleの「Nexus 7」も売れ行きを伸ばしているところだ。iPad miniを含めたこれらの端末は日本でも発売され、諸外国に比べて遅れ気味のタブレット市場に新風を吹き込めるか、注目が集まっている。

 小型、軽量以外の特徴は「iPad 2」に近く、CPUにはデュアルコアの「A5」を採用。背面に500万画素のiSightカメラ(裏面照射型CMOSセンサー)を搭載する。実際手に取ってみると分かるが、他の7インチタブレット以上に軽く、片手でも安定した状態で持てる。ディスプレイの解像度は1024×768ピクセルで、「iPad(第3世代)」や同時に発表された「iPad Retinaディスプレイモデル(第4世代)」などと比べると粗さは目立つが、バッテリーの持ちやコストとのトレードオフを考えれば、納得の選択と言えるだろう。ディスプレイの比率を維持したことで、動画はやや見にくいが、4:3のコンテンツが多い電子書籍は無駄な拡大・縮小をする必要なく気軽に読める。ただ、Retinaディスプレイに慣れている筆者の場合、最初は少し違和感が残ったことも付け加えておきたい。

 エッジの処理方法などのデザインは「iPhone 5」に近く、触ったときに金属特有のひやっとした感覚から高級感を得られる。一見すると重量がありそうな外観も、軽さを相対的に際立たせているような印象だ。Appleのロゴマークが全体に占める比率が9.7インチのiPadやiPhone 5より大きいため、少々違和感を覚えないこともないが、これは使っていくうちに慣れるかもしれない。また、27万5000を超えるApp Storeのアプリも、iPadシリーズの魅力だ。一方で、大画面のメリットを生かせる「マップ」でつまずいたことも、Appleにとっての誤算だったはずだ。カフェなどの外出先で使うにはピッタリのサイズだが、そこにたどりつけないのでは意味がない。その点では、Wi-Fi版にもGPSは搭載してほしかった。

photophoto 背面には、500万画素の裏面照射型CMOSセンサーを採用するカメラを搭載(写真=左)。質感や背面の処理などは、iPhone 5に近い(写真=右)

 このように製品の完成度は高いが、Amazonの「Kindle Fire HD」や、GoogleのNexus 7と比べ価格が1万円前後高い。この価格差が、売れ行きにどのような影響を与えるのかは気になるところだ。ハードで利益を出すAppleに対し、AmazonやGoogleはコンテンツやサービスからの収入がメイン。お互いのビジネスモデルが異なる上に、Appleには日本で培ってきたブランド力もあるため単純な比較はできないが、用途がブラウジングや電子書籍の閲覧程度であれば安い方を選ぶこともあり得る。高級感と低価格のどちらが選ばれるかはふたを開けてみるまで分からないが、今後の市場動向を占う上でも気にかけておきたいポイントだ。

photo iPad miniをはじめとするタブレット市場について語る、KDDIの代表取締役社長 田中孝司氏

 このiPad miniには、キャリア各社も熱い視線を注いでいる。これまでモバイル通信対応のiPadシリーズはソフトバンクモバイルが独占的に販売していたが、iPad miniやiPad(Retinaディスプレイモデル)は、新たにKDDIも販売を開始する。iPhone 5と同様、KDDIとソフトバンクモバイルが激しい戦いを繰り広げることになりそうだ。10月24日に開催された決算会見で、KDDIの代表取締役社長、田中孝司氏は「iPad miniは3M戦略のひとつの要素。PC、タブレット、テレビをシーン、シーンで使い分け、シェアできる世界を作っていく」とコメント。タブレット全般に当てはまることだと前置きしつつ、次のようにも述べている。

 「10インチはWi-Fi版が8割ぐらいの数値。もう少し小さな7インチぐらいになると、Wi-Fi版が4割ぐらいに下がる。小さい方が外で使う確率が上がるということ。テザリングができるスマートフォンとセットになると、『Wi-Fi版でいいじゃないか』とおっしゃる方もいて、たましか使わないのであればそのとおり。ただ、7インチをよく使うという観点でいうと、いわゆるセルラー付きのタブレットが出ていくと思っている」

 とはいえ、タブレットというジャンルについては「まだまだ日本において、市場が大きくなっているとは認識していない。諸外国と比べると、後進国」(田中氏)だという。KDDIは、iPad獲得を機に利用シーンを積極的に提案して、市場を切り開いていく構えだ。

photophoto タブレットやテレビまで含めた3M戦略の世界観は、10月に開催されたCEATECで、代表取締役執行役員専務の高橋誠氏によっても語られていた

 対するソフトバンクも、代表取締役兼CEOの孫正義氏が10月31日の決算会見でiPad miniについてコメントを残している。孫氏は「iPad miniも大変エキサイティングな、素晴らしい機器。iPhoneと大きいiPadがいいのか、iPhoneとiPad miniを持ったらいいのかユーザーとして迷うぐらい。僕は3つとも持ちたい」と語り、従来同様、積極的な販売をしていく方針を語った。モバイル通信対応版の売れ行きが芳しくないと言われていたiPadだが、小型化やキャリアの販売競争が起こることで、その比率は上がっていくのかもしれない。

photo ソフトバンクの代表取締役兼CEO 孫正義氏も、iPad miniに対する期待を語った

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