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» 2013年03月29日 00時00分 UPDATE

山根康宏の中国携帯最新事情:第8回 ライバルは「GALAXY Note」――5インチ超えスマホが急増する中国 (1/2)

2013年に入ってから5インチクラスの大画面スマートフォンが各社から発売されている。中国でも今や5インチスマートフォンは人気商品となっており、多数のメーカーが製品を投入している。

[山根康宏,ITmedia]

 年々大型化するスマートフォンのディスプレイサイズ。2013年は世界中で5インチクラスの製品が数多く見られるようになりそうだ。だが中国ではすでに5インチ製品は多数販売されており、5インチを超える超大型ディスプレイを搭載したスマートフォンも続々と登場している。

5.3インチや5.7インチの製品も登場

 スマートフォンの出荷台数が伸び続ける中国市場。Strategy Analyticsの調査によれば、2012年第4四半期の中国国内のスマートフォン出荷台数は5300万台に達し、前年同期の3400万台から53%もの伸びを示した。5300万台の内訳を見ると圧倒的にAndroidが強く、全体の86%である4558万台が出荷されている。iOSは2位につけているが12%であり、636万台とその差は大きく引き離される一方である。この両OSだけでスマートフォン出荷台数全体の98%を占めており、BlackBerryやWindows Phoneなど他OSの割合はわずかに2%。中国のスマートフォン市場はAndroid一色になりつつあるのだ。

 Androidスマートフォンがこれだけ伸びているのは、中国の3大事業者が一般庶民でも手軽に買える「1000元スマートフォン」のラインアップを強化しているからだ。端末メーカーも1000元スマートフォンの開発を強化しており、メーカー間の競争も激しさを増している。その結果、2013年に入ってからはついに1000元を切る低価格スマートフォンの種類も急激に増えてきた。1000元の半分の「500元スマートフォン」を出す大手メーカーも出てくるなど、スマートフォンの低価格が今年は一気に進む勢いである。

photophoto 699元という低価格モデルで市場参入を開始したMeeku。ボディーのカラバリも用意するなど若い層をターゲットにしている(写真=左)。スマートフォン専業でハイエンド製品も多いCoolpadだが、599元、699元、799元と低価格モデルも増やしている(写真=右)

 このように価格の下落が進む一方で、1000元スマートフォンはスペックアップが進み、1年前では考えられなかったような高性能な製品が次々と登場している。中でも目立っているのは5インチ以上のディスプレイを搭載した大画面モデルだ。これまでにも5インチディスプレイの1000元台のスマートフォンはあったものの、ディスプレイ解像度がワイドVGA、CPUもシングルコアという製品が多かった。だが2013年に入り、各社が続々と投入している5インチモデルは解像度もHDに上がり、クアッドコアCPUを搭載するなど、海外の大手メーカー品とも引けを取らないハイスペックな製品なのだ。

 その中でもLenovoが2013年3月に発表した最新スマートフォン「S920」は、5.3インチのHDディスプレイを搭載した製品で、CPUは1.2GHzのクアッドコア、RAMは1Gバイト。価格は2180人民元と1000元台を超えるものの、これはLenovoの巧みな価格戦略のようだ。2012年夏に発売した5インチ・クアッドコアCPUのLenovo K860も2188元であったが、1000元台の製品が横並びする中で、あえて2000元をわずかに超える価格をつけ、他社品よりも高品質な製品であることをアピールしている。なお、S920は通信事業者と2年間のプリペイド契約をした場合は実質無料にはならないものの、約3分の1の770元で購入することができる。

 スペックは単純に比較はできないものの、S920の性能は2011年9月に発売されたSamsungの「GALAXY Note」より若干劣る程度。中国でも初代GALAXY Note、そして現行モデルの「GALAXY Note II」はどちらも売れ行きが好調だが、高所得者層以外には高嶺の花だ。Lenovo S920はGALAXY Note IIの約半額ながらも、“Noteサイズ”の画面が手に入るとあって、中国で今最も話題を集める製品になっている。

photophoto Lenovoが3月に発表したS920は7.9ミリのスリムなボディも特徴(写真=左)。大画面をアピール。GALAXY Note IIの半額は大きな魅力だ(写真=右)

 一方、中小メーカーも5インチ超えの大画面モデルを次々に発表している。中でも2011年後半から市場参入した深センのThlは、矢継ぎ早に新製品を投入しており、その勢いは他社を大きく引き離している。同社の初の5インチ超えの大画面モデルは2012年11月に発売を開始した「Thl W6」で、5.3インチHD・デュアルコアCPUを搭載、価格は1599元だった。それからわずか2カ月後の2013年1月には5.7インチHD・デュアルコアの「Thl W7」を投入。価格はW6よりわずかに100元高い1699元で、本家GALAXY Note IIを超える5.7インチの大型画面を搭載。この時点で中国国内で最大のディスプレイを搭載する製品となった。

 そして再び2カ月後、この3月にはクアッドコアCPU版のThl W7を発表。大画面モデルを次々と投入するそのスピードは、Lenovoなど中国大手メーカーにとっても脅威の存在になりつつある。市場ではW7のディスプレイをフルHDにした「Thl W8」の登場も噂されており、無名の中小メーカーから大画面スマートフォン=ファブレットに強いメーカーとして今後認知度を高めていくことは間違いなさそうだ。ただし同社の製品を見ると、HTCやSamsungに類似したデザインの製品が多い。端末デザインやUIなどソフトの開発能力が同社のウィークポイントで、この点をどう克服していくかが注目される。

photophoto 5.7インチながらも1000元台の価格を実現したThlのW7シリーズ(写真=左)。わずか1年半で中国国内に300店舗以上の直営店を構えるほど急成長している(写真=右)
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