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» 2014年01月18日 11時12分 UPDATE

石野純也のMobile Eye(1月6日〜1月17日):CESで見えた新しい“広がり”/ドコモ「Tizen」見送りの理由/3社の「学割」を比較 (1/3)

CESでの発表が相次いだこともあり、国内では大きなモバイル関連ニュースがなかったが、16日にはドコモがTizen搭載スマートフォンの発売を「当面見送る」と発表した。今回はCESで見えたトレンドと、Tizen見送りの理由、そして3社の学割比較をお届けする。

[石野純也,ITmedia]

 毎年の恒例行事だが、2014年も、米・ラスベガスで開催されたCESで多数のモバイル製品が発表された。ここでは、ソニーモバイルのほか、HuaweiやZTEといったメーカーも新たなスマートフォンを発表している。一方で、今年のCESは、例年と少々傾向が異なっていた。2014年第1回目の本連載では、そのトレンドを読み解いていく。

 CESでの発表が相次いだこともあり、国内では大きなモバイル関連ニュースがなかったが、16日にはドコモがTizen搭載スマートフォンの発売を「当面見送る」と発表した。2013年のMobile World Congressでは2013年度内の発売がアナウンスされ、最近までステータスは変えていなかっただけに、急転直下の方針変更といえるだろう。ほかにも、国内ではケータイ業界の天王山ともいわれる春商戦を控え、学割関連の発表も相次いでいる。1月6日から17日を対象にした今回の連載では、これらのニュースを取り上げていきたい。

CESではスマートフォンの新機軸が見えず、周辺分野への広がりに期待か

photo 米・ラスベガスで開催されたCESでは、スマートフォンやスマートフォン関連製品が一斉に発表された

 1月7日から10日(現地時間)まで、米・ラスベガスで開催されたCESでは、例年通り多数のスマートフォンやタブレットが発表された。大手メーカーでは、ソニーモバイルが「Xperia Z1 Compact」やT-Mobile向けの「Xperia Z1S」を発表したほか、LGエレクトロニクスが「G Flex」を、Huaweiが「Ascend Mate2 4G」を、ZTEが「Grand S II」を発表・出展している。チップセットメーカーの出展も例年通り活発で、2013年と同様、NVIDIAは開幕前々日にあたる5日(現地時間)に、192のGPUを搭載した「Tegra K1」を披露したほか、Qualcommも2013年に発表した次期Snapdragonの「Snapdragon 805」を出展。CESには日本ではなじみの薄い中国メーカーもブースを構えており、TCLがオクタコアCPU搭載の「Alcatel One Touch Idol X+」を、PCメーカーとしておなじみのLenovoもLTE対応のハイエンドモデル「Vibe Z」を発表している。

photophoto ソニーモバイルが発表した、4.3インチのディスプレイを搭載するコンパクトモデル「Xperia Z1 Compact」。ドコモから発売中の「Xperia Z1 f」のグローバル版だ。T-Mobile版の「Xperia Z1」である「Xperia Z1S」も発表した
photophoto Huaweiは、6.1インチのディスプレイを採用したファブレット「Ascend Mate2 4G」を発表。4050mAhの大容量バッテリーを搭載したのも特徴だ(写真=左)。ZTEのフラッグシップモデルは「Grand S II」で、2013年のCESで発表した「Grand S」の後継機となる。5.5インチのディスプレイを搭載する(写真=右)
photophoto Qualcommは「Snapdragon 805」を、NVIDIAは「Tegra K1」を出展。どちらもGPUを強化したチップセットだ。Tegra K1はPC向けと同じアーキテクチャで、ゲームのグラフィックスが大幅に強化される
photophoto LenovoやTCLも、スマートフォンを発表した。左はLenovo初のLTE対応モデル「Vibe Z」。右はオクタコアCPU採用のTCL「Alcatel One Touch Idol X+」

 このように、会期中は新製品の発表ラッシュだった。一方で、2013年と比べるとインパクトが少々弱かったことも事実だ。例えば、ソニーは2013年のCESで、フラッグシップモデルの「Xperia Z」を発表している。従来のXperiaからデザインを一新し、ソニーグループの100%子会社となった新生ソニーモバイルを強く印象付ける端末で、ユーザーからの評価も高かった。Xperia Zは当時まだ一般的ではなかったフルHDディスプレイを搭載しているが、ほかにもHuaweiの「Ascend D2」やZTEの「Grand S」も同様のスペックを実現しており、ハイエンドのスマートフォンでフルHDディスプレイが一般的になるという傾向が見て取れた。

 チップセットについても同様で、2013年はQualcommがKrait 400 CPUを採用した「Snapdragon 800」を発表したことで、先々の大幅なパフォーマンス向上が予見できた。一言でまとめると、スペックが大幅に上がり、各社がさまざまな味つけをしていく方向性が見えてきたのが、2013年のCESだった。

 一方で、2014年のCESは、スマートフォン単体でのトレンドが見えにくかった。大きな傾向としては2013年と同じで、スペックは上がっているものの進化の幅が緩やかになったようにも感じられた。すでにスマートフォンの機能やスペックは普段使いに十分な状態にあり、「コモディティ化」が進んでいる証拠ともいえるかもしれない。ただ、その中でも各社がスマートフォンとほかの製品を連携させ、横に世界観を広げようとしている動きは見て取れた。CESで注目されていた分野の1つが、ウェアラブルだ。アプローチは異なるが、ソニー、LGエレクトロニクス、ZTEともにウェアラブルデバイスを発表、スマートフォンと連携させるデモを行っていた。

photophoto 会場のそこかしこで、ウェアラブル端末を見かけた。スマートウォッチやスマートグラスが多かったのは、2014年ならではの光景といえる

 LGエレクトロニクスは、タッチパネルを搭載したリストバンド型のヘルスケア端末の「Lifeband Touch」や、心拍数を計測できるイヤフォンの「Heart Rate Earphones」を発表。ZTEも、同社初のスマートウォッチである「BlueWatch」を発表し、ブースに展示していた。スマートフォンを開発する大手メーカーに加え、さまざまなベンチャー企業がリストバンド、スマートウォッチ、スマートグラスを展示していたのは、2014年のCESならではの光景といえるだろう。

photophoto LGエレクトロニクスは、タッチパネル対応のリストバンド「Lifeband Touch」や、心拍数を測定できる「Heart Rate Earphones」を発表
photo ZTEの開発したスマートウォッチ「BlueWatch」

 こうした製品単体を発表するのとは異なるアプローチを取ったのが、ソニーだ。同社は「Core」と呼ばれるセンサー内蔵のデバイスを発表した。同社はCoreを「プラットフォーム」と呼んでいるが、これは単なるリストバンド型の活動量計とは性格が異なる製品だ。Coreは親指よりややコンパクトなサイズで、必要最低限のセンサーや通信機能を内蔵した端末となる。これを、リストバンドや時計に埋め込み利用する。ソニー側でハードウェアと一体になるソフトウェアも用意するが、サードパーティのアプリを組み合わせることも可能だという。形状に自由度を持たせ、アプリによってさまざまなライフログを実現するツールといえるだろう。同社がCoreをプラットフォームと呼ぶ理由は、そこにある。現時点では詳細なスペックや機能は明かされていないが、詳細は2月に開催されるMobile World Congressで発表される見込みだ。ウェアラブルに対する新たなアプローチとして、注目しておきたい。

photophoto ソニーの開発した「Core」と、Coreを装着するためのリストバンド「SmartBand」。ライフログアプリと連携し、さまざまな状況を記録する
photo Coreを埋め込む“器”として、さまざまなアクセサリーが検討されている。コラボレーションに対してもオープンに取り組んでいくという

 Intelの発表した「Edison」も、考え方はソニーのCoreに近い。チップセットを開発するIntelだけに、Edisonはさらに高機能で、SDカードの筐体に、デュアルコアCPUやメモリ、ストレージを内蔵しており、その上でLinux OSやアプリケーションを動かすことができる。Intelのブースでは、応用例として、車のオモチャや、赤ちゃんの体温などをモニターするウェアラブル端末にEdisonを組み込み、デモを行っていた。ソニーとはアプローチは異なるものの、Edisonもまたウェアラブル端末の開発を容易にするプラットフォームといえるだろう。これに合わせ、Intelは「Make it Wearable challenge」というコンテストも開催する。

photophoto Intelが発表、出展したSDカード型のコンピューター「Edison」も、ウェアラブルのプラットフォームを志向するものだ
photo LINEを通じて、友だちと会話するように家電をコントロールする仕組みの「HomeChat」

 ウェアラブルのほか、目新しい取り組みとしては、LGエレクトロニクスが家電のコントロールに「LINE」を利用する「HomeChat」を発表していた。例えば、冷蔵庫に向かって「ビールは何本ある?」と聞くと、その答えが返ってくる。専用アプリでコントロールするよりも、自然に家電と対話できるというわけだ。日本では、北米ほど同社製の白物家電は一般的ではないが、テレビやロボット型掃除機「ホームボット」は発売されている。こうした製品とLGエレクトロニクス製スマートフォンの連携も、可能になるかもしれない。

 家電との連携という観点では、Qualcommの「AllJoyn」にも注目しておきたい。デバイス同士をP2Pでつなぐ仕組みで、2011年から開発が進められていた。CESの会場ではスマートフォンが受けた着信をテレビに表示するといったデモを行っていたが、ほかにも冷蔵庫やエアコンといった幅広い製品をスマートフォンからコントロールできるようになる。同社の開発したスマートウォッチ「Toq」から、スマートフォンを経由して腕元で電気を消したり、テレビをつけたりといったことも実現する。これまでは対応する家電が少ないのがネックだったが、2013年12月に「AllSeen Alliance」が発足。ここには、パナソニックやシャープといった日本でおなじみのメーカーも参画しているため、広がりが期待できそうだ。

photophoto テレビ側に、スマートフォンの着信を表示したところ。これは「AllJoyn」というプラットフォームで実現した。スマートフォンを経由して、スマートウォッチ経由で家電をコントロールするという利用スタイルも考えられる

 このように、CESではスマートフォン単体の縦方向の進化よりも、ウェアラブルやほかの製品との連携といった横方向の広がりが目立った。スマートフォンが成熟しつつある中、各メーカーが次の一手を模索している様子がうかがえた。

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